今日から使えるライディングテクニック実践講座【最新版 スマテク2.0】2.ブレーキング (4)危険回避のブレーキング(動画あり)

掲載日: 2024年03月20日(水) 更新日: 2024年03月20日(水)

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写真/渡辺 昌彦 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI

基本は速度を落とすこと
緊急回避には逆操舵を使う

今回は危険回避のためのブレーキングです。バイク事故で最も多いパターンをご存じでしょうか。警視庁のデータによると昨年の「二輪車の死亡事故」で最も多かったのが「右折時(右直事故含む)」です。皆さんも交差点などでヒヤリとした経験があると思います。脇道から歩行者や自転車が飛び出してくる、右折待ちのクルマが急に曲がってくるなど、相手がいる以上、自分が注意していても事故に巻き込まれる可能性は常にあります。

事故を未然に防ぐためにまず大事なのは危険予測です。この先に待ち受けているかもしれない危険を予測し、そうならない運転を心がけることです。たとえば交差点を通過するときに右折待ちのクルマが見えたら、自分が優先道路を走っていたとしても万が一に備える必要があります。スロットルを閉じてブレーキレバーに指を伸ばしていつでも減速できる準備をしつつ慎重に通過する。対向車のドライバーがこちらに気付いているか、相手の目を見てアイコンタクトする。そして、必要であれば迷わず早めに減速することです。

危険回避の基本は「減速」することです。速度を落とすことで障害物を回避しやすくなるし、たとえ避けきれなかったとして衝突の衝撃を減らすことができます。運動エネルギーは速度の 2 乗に比例するので、たとえば40km/hから80km/hになれば制動距離は4倍に増えるし、衝突時にライダーが受ける衝撃も4倍になる計算です。想像するだけで恐ろしいですよね。ですから、最初にやるべきは速度を落とすこと! 次に障害物を回避しますが、そのときに有効なテクニックが「逆操舵」です。バイクのステアリング機能として、ハンドルを切るとその反対側に車体が傾いて曲がっていく特性があります。つまり、右に避けたい場合は左にハンドルを切る、左に避けたい場合は右にハンドルを切るといった具合。緊急回避が必要なときに逆操舵を積極的に使うことでクイックに車体の向きを変えることができます。

ちなみに白バイ隊員が行う「回避制動」の訓練でもガッツリと逆操舵を練習します。もちろんライダーは普段そんなことを意識せずに曲がっていますが、実は曲がるキッカケは逆操舵から始まっています。覚えておいて損はないスキルなので、ぜひ安全な範囲で試してみてください。詳しくは下記の解説をご覧ください。動画も合わせてチェックしていただくと動きのイメージが分かりやすいと思います。

これを見れば完璧!危険回避のブレーキング!

Point1
「逆操舵とは」

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■ハンドルを切ると反対側に車体は傾く
2輪車にはハンドルを切るとその反対側に車体が傾いて曲がっていく特性がある。たとえば写真のように(1)車体が垂直の状態から(2)ライダーがハンドルを右に切ると(3)瞬間的に車体は左に傾く。実際の走行では車体が傾くと同時にハンドルも戻って左に切れて、バイクも左に曲がっていく。自転車も同じで、逆操舵とは2輪車が曲がるための原理原則のようなもの。普段から無意識に行っているが、それを積極的に引き出してやろうというわけだ。

Point2
「避けたい方向にハンドルを押す」

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■グイッと押し込んでやるのがコツ
逆操舵の原理は分かったが、実際に使うとなると頭がこんがらがるという人も多いだろう。そこでシンプルに「避けたい方向にハンドルを押す」と覚えておくといい。たとえば写真では(1)障害物を発見、左に避けたいので左グリップを押した途端、車体は左に傾く。(2)さらに車体は傾いてハンドルは切れて曲がり始める。(3)回避に成功したら車体を起こして減速。必要に応じて周囲の安全を確認しつつ停止。グリップを押す動作は瞬間芸ではなく、わりと長めに「グイッ」と押し込んでやるイメージだ。

Point3
「ABSを使いこなす」

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■緊急時は迷わずABSを効かせて止まる
最近のバイクにはABSが装備されている。ABSはブレーキロックを制御して安全に減速してくれる優れたシステムだ。一方で制動距離が若干伸びると言われているが、最近のABSは電子制御の進化によりプロライダー顔負けの精緻なコントロールで、最短距離で減速・停止してくれる。特にパニック時はライダー自身でブレーキ入力を加減することなど到底無理。緊急時には迷わず前後ブレーキを思い切りかけてABSを作動させて止まるのが正解。ただし、車体が傾いているとABS付きでも転倒リスクが高まるので車体垂直が基本だ。

スマテク2.0 講師 プロフィール

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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