バイクブロス×マガジンズ編集部 =文/写真
カワサキのZZR400の生産が終了して以来、ずっと空席だった400ccのフルカウルモデル。それが、奇しくも同メーカーのニューモデル「ニンジャ400R」のデビューにより復活する。1980年代から1990年代にかけて多くのライダーに愛されたこの種のバイクは、ストリートバイクブームの隆盛によって一気に衰退し、2006年のZZR400生産終了をもって国内向けラインナップから消滅した。最後に登場したフルカウルスポーツが1994年発売のホンダ・RVFだったことを考えると、むしろ12年間も新型車無しで生き延びたことに対して感銘を覚えてしまうほどだ。ブーム末期にはセールスの低迷に喘いだカテゴリではあるが、根強いファンがいることもまた事実。特にスポーツツーリングモデルには一定の需要があり、オンロードバイクでロングツーリングを楽しむライダーからは今も安定した支持を集めている。これに応えるためメーカーは、ネイキッドモデルにハーフカウルやビキニカウルを装着したモデルをツアラーとして販売してきたが、やはりそれは本格的なフルカウルモデルとは意味合いが異なるものであった。例えば、ウインドプロテクション性能ひとつとっても、専用に開発されたフルカウルを持つモデルには遠く及ばない。また、流麗なラインを纏ったスポーティな美しさもフルカウルモデルならでの魅力であり、現行ミドルクラスに欠けていた決定的な要素だ。実際、バイクブロスの人気ランキングでもZZR400は常に上位にランクインしており、フルカウルを持つ本格的なミドルクラス・スポーツツアラーに対する需要は決して少なくないと推察できる。ニンジャ400Rは、こうした需要の受け皿となる可能性を秘めた1台であり、仮にこれが人気モデルとなれば、他メーカーから対抗馬となるモデルが投入されることも十分考えられるだろう。現在のバイクシーンの低迷は、普通2輪免許で乗れるラインナップの少なさがひとつの要因だと考えられる。しかし、春から新車攻勢が続いている2010年シーズンは、そういった状況が大きく変わりつつあるという期待を感じさせてくれる。ニンジャ400Rがヒットモデルとなれば、その期待はより現実味を帯びてくるはずだ。