【ドゥカティ】多くの新技術を自社で生み出す開発方式 「ドゥカティ・ウェイ」とは

掲載日: 2023年06月23日(金) 更新日: 2023年06月23日(金)
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【ドゥカティ】多くの新技術を自社で生み出す開発方式 「ドゥカティ・ウェイ」とは 記事1

現在、多くのバイクに標準装備される電子技術の一部にはドゥカティが世界で初めて量産車に導入したものが多数存在するという。同社は新技術の開発にあたり外部のサプライヤーに頼ることなくテストを実施できるよう社内にいくつかの研究所を設けており、そこでは品質・耐久性のテストなどが行われてきた。

革新的なエレクトロニクス開発方式 「ドゥカティ・ウェイ」

・現在、さまざまなセグメントのモーターサイクルに標準装備されているエレクトロニクス・システムの多くは、ドゥカティが最初に導入。ドゥカティは、長年にわたって、この分野で最も先進的な企業としての地位を確立。
・今日、ドゥカティの各モデルは、研究開発への継続的な投資、モータースポーツからフィードバックされたソリューションとノウハウの継続的な量産車への移転により、それぞれのカテゴリーにおいて、技術的なベンチマークを設定。
・可能な限り最高のライディング体験を提供するため、ドゥカティは、電子制御システムのほとんどを社内で開発し、すでに販売されているモーターサイクルに関しても、継続的なアップデートを提供。

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2023年6月21日 ボルゴパニガーレ(イタリア、ボローニャ)

すべてのドゥカティ・モーターサイクルは、美しいスタイルと最先端のテクノロジーを見事に融合しています。ドゥカティは、デザインに対するこだわりと、革新技術に対する研究開発を長年にわたって継続することで、この魔法のような組み合わせを実現しています。ムルティストラーダV4からスクランブラー、そしてパニガーレV4に至るまで、各モデルは、洗練されたテクノロジーにより、最高レベルの忘れがたいライディング体験を提供できるように設計されています。

このようなライディング体験において、エレクトロニクスは重要な役割を果たしており、過去15年間、ドゥカティが最先端テクノロジーの開発に投資してきた成果が明確に表れています。

ドゥカティのエレクトロニクス・ソリューションにより、パニガーレV4ではサーキットで最高のパフォーマンスを発揮することが可能になる一方で、ムルティストラーダV4では、可能な限り快適でエキサイティングな旅を実現し、それぞれのモデルの用途に応じて、バイクの特性を自在に変化させることが可能になっています。

このようなコンセプトに基づき、ドゥカティは長年にわたり、後にさまざまなセグメントのモーターサイクルの標準となる数多くのソリューションを導入してきました。

ドゥカティが導入したイノベーション

ドゥカティは、2008年モデルの1098Rに、モーターサイクル初のトラクション・コントロールを導入し、スーパースポーツ・バイクのパフォーマンスと安全性のベンチマークを引き上げました。

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そのわずか1年後、ストリートファイター1100に採用したLEDヘッドライトも、ドゥカティが世界に先駆けて導入したテクノロジーです。2010年、ドゥカティは、ライディングモードを切り替えることにより、「バイクのキャラクターを変化させる」ことができる世界初のモーターサイクル、ムルティストラーダ1200 Sを発表しました。ドゥカティが導入したその他の革新的なエレクトロニクスには、2011年モデルのディアベルに採用したTFTメーターパネルなどが挙げられます。

これは現在、あらゆるセグメントのモーターサイクルの標準となっているテクニカル・ソリューションです。2012年に権威あるデザイン賞である「コンパッソ・ドーロ」を受賞した1199パニガーレは、モーターサイクル・セグメントにフルLEDテクノロジーとエレクトロニック・エンジンブレーキ・マネージメント・システムを導入しました。

ドゥカティは、モーターサイクルの開発において安全性を最重視しており、2014年にはダイネーゼと共同で、ジャケットに内蔵されたエアバッグと通信できるシステムを備えた初のモーターサイクル、ムルティストラーダ1200ツーリング D|Airを発表しました。その当時、エアバッグ・システムは現在の安全基準に達していませんでしたが、ムルティストラーダ1200ツーリング D|Airの高度なシステムは、衝突または転倒した場合に、わずか20ミリ秒でエアバッグ展開信号を送信することができました。

2018年には、パニガーレV4に、ブレーキング時のパワースライドをコントロール可能なスライド・バイ・ブレーキ・システムを導入しました。その一方で、2020年にはムルティストラーダV4に、アダプティブ・クルーズコントロールとブラインドスポット検出システムを可能にするモーターサイクル初のレーダー・システムを導入しました。

2023年には、ムルティストラーダV4ラリーに、エクステンデッド・シリンダー・ディアクティベーション・システムを導入しました。これは、2つのリア・シリンダー・バンクの作動を休止させることで、燃料消費量と発熱量を削減する洗練されたシステムです。これらはすべて、ドゥカティがモーターサイクルの世界に導入した革新技術であり、その多くは現在「500cc以上」のモーターサイクルに標準装備されています。

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新しいテクニカル・ソリューションを市場に導入することに加え、ドゥカティの研究開発部門は、既存のモーターサイクルを進化・熟成させるために日々取り組んでおり、毎年改良を施しています。たとえば、ムルティストラーダV4を購入したオーナーは、後継モデルに導入されたミニマムプリロード・システムやイージーリフト・システムを無料で導入することが可能で、ナビゲーション・システムも最新版にアップグレードすることができます。また、パニガーレV4は、2018年から今日に至るまで継続的な進化を続けています。

安全、高性能で扱いやすいモーターサイクルを製造することは、基本的な要素であり、ドゥカティが開発したすべての革新技術と、既に市場に導入されているソリューションの継続的な進化により、現在、ドゥカティの各モデルは世界におけるテクニカル・ベンチマークとなっています。これは、安全性の面においても同様で、すべてのドゥカティ・モーターサイクルには、コーナリングABSとトラクション・コントロールが標準装備されています。

ドゥカティのアプローチは、導入するテクノロジーをサプライヤーとともに社内で開発し、同時に社内にノウハウを蓄積することです。具体的な例としては、ピレリ、ブレンボ、ボッシュ、およびドゥカティ・モーターサイクルに初搭載されるコンポーネントの開発に参加している、その他のサプライヤーとの緊密な連携が挙げられます。

このアプローチにより、テクノロジーを各モデルに合わせて完全に調整できるため、エレクトロニクス分野ではさらに価値が高まります。つまり、パニガーレV4、ストリートファイター、ディアベル、デザートX、ムルティストラーダV4、そしてスクランブラーに至るまで、それぞれのバイクの用途に応じて制約なくシステムをカスタマイズして、ドゥカティの電子制御テクノロジーを最大限に発揮させることが可能になります。

エレクトリカル&エレクトロニクス・システム:専門知識の開発と創造

エレクトロニクス分野における革新技術開発への取り組みは、エレクトリカル&エレクトロニクス・システム部門の成長と連動しており、わずか10年余りで開発に関わる人材は4倍に増加しました。ドゥカティは、研究開発の一環として、エレクトリカル&エレクトロニクス・システム部門による革新的な新しいシステムを量産車に導入していますが、その一方で、レースから得られたノウハウも活用しています。

テクニカル・ソリューションの継続的な開発と改良により、製品ラインナップ全体にわたって非常に幅広い機能とデバイスが導入されました。現在では、パニガーレV4やムルティストラーダV4に採用されている最先端テクノロジーから、スクランブラーに代表される、より扱いやすいバイクに至るまで、その範囲は多岐にわたります。それらの一例は、ライド・バイ・ワイヤ、トラクション・コントロール、クイックシフト、ライディングモード、コーナリングABS、TFTメーターパネルなどです。(モデルごとのエレクトロニクス・システム詳細)。

ドゥカティのイノベーションには、新しい作業方法も含まれます。ドゥカティは、社内で新技術を開発することに加えて、必ずしも外部のリソースやサプライヤーに頼ることなく、開発段階でテストを実施できるよう、数年前から社内にいくつかの研究所を設けてきました。

その1つであるエレクトリカル&エレクトロニクス・テストでは、製品の電子制御コンポーネントをテストし、品質および耐久性を測定しています。この作業の目的は2つあります。一つは、開発段階で発生する可能性のある問題を迅速に解決すること、そしてもう一つは、既存のモデルの品質を監視することです。

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エレクトリカル&エレクトロニクス研究所の経験豊富な専門家によって実施されるテストの中には、極端な熱条件や環境条件におけるコンポーネントの機能を検証するテストも含まれています。このテストでは、40℃~180℃の温度および大雨や塩霧などの大気現象を再現できるセルを使用します。各コンポーネントは、何千回も同じ動作を繰り返すロボットによって耐久性がテストされます。具体的には、ハンドルバーを回転させて配線の信頼性を確認したり、ブレーキレバーを操作してブレーキライトを点灯させたりして、実際の使用条件における耐久性を検証します。

さらに、研究所内では、半導体のチップを分解して顕微鏡で分析し、構成を確認し、開発仕様との整合性を検証する作業も行っています。

ソフトウェアのデバッグやモバイル・アプリに関する作業も、エレクトリカル&エレクトロニクス部門で実施しています。近年、モーターサイクル分野でも、コネクティビティは非常に重要な要素になっています。

スマートフォン・メーカーの数が増加し、さまざまなOSが継続的に更新されていることを受け、常に時代に合わせた付加価値を提供できるように、ドゥカティ社内には、この側面に専門的に取り組むグループが存在します。この取り組みの一例は、ナビゲーション・システムに見ることができます。

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ムルティストラーダ4に採用された、スマートフォンのミラーリング・ソリューションにより、メーターパネルを、ライディングに必要なすべての情報を含むカラー・マップ・ナビゲーション画面に変えることができます。さらに、ターンバイターン・ナビゲーション・システムは、2023年モデルのデザートXおよびディアベルV4に導入されています。

これら2つのソリューションは、特定のオペレーティング・システムに依存せず、iOSおよびAndroidシステムとの互換性があるため、ソフトウェアの継続的な進化が可能になります。お客様は、更新されたソフトウェアを無料でアップデートすることが可能です。

以上、これら全てが「ドゥカティ・ウェイ」です。ドゥカティは年々品質を向上し、ますます革新的な製品を生み出すことが可能になっています。ドゥカティは、レースへの参戦、研究開発、テストへの投資を通じて、毎年ドゥカティスタに夢のバイクを提供することを目指しています。

ドゥカティが世界で初めて導入した革新技術:

・2008年/DTCトラクション・コントロール – 1098 R
・2009年/LEDヘッドライト – ストリートファイター1100
・2010年/ライディングモード – ムルティストラーダ1200 S
・2011年/TFTメーターパネル – ディアベル
・2012年/エレクトロニック・エンジンブレーキ・マネージメント(EBC) – パニガーレ1199
・2012年/フルLEDヘッドライト – パニガーレ1199
・2021年/アダプティブ・クルーズコントロール/ブラインドスポット検出機能 – ムルティストラーダV4
・2023年/エクステンデッド・シリンダー・ディアクティベーション – ムルティストラーダV4ラリー

リリース

ドゥカティジャパン株式会社(2023年6月23日発行)

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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