全裸でレザースーツを身にまとい、ハーレーにまたがる美女がスクリーンを駆け抜ける……。
これ何の映画かわかりますか?
古い映画やバイク映画が好きな方なら、ピンとくるかもしれませんね。
© 2013 EUROLONDON FILMS, LTD. All Rights Reserved.
1968年に製作された映画『あの胸にもういちど(原題:The Girl On A Motorcycle)』。
60年代にイギリスのポップアイコンだったシンガー、マリアンヌ・フェイスフルがフランスの名優アラン・ドロンを相手に情熱的な女性を演じる映画作品です。劇中でマリアンヌ演じる「レベッカ」が見せるそのセクシーな姿は、一説ではルパン三世の「峰不二子」のモデルになったとも言われるほど。
この映画に登場するファッションや音楽、漂う映像美は90年代の渋谷系カルチャーによって再評価されて、いまも一部でカルト的な人気を誇る作品だったりします。
そんな伝説の映画が『あの胸にもういちど デジタル・リマスター版』としてヒューマントラストシネマ渋谷で7月21日(土)〜27日(金)までの期間限定レイトショーで銀幕に帰ってくるのです!
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ひと目見てオシャレな雰囲気が漂っていますね。90年代の渋谷系カルチャーが大きな影響を受けたっていうのも分かる気がします。実際、あのピチカート・ファイブもこの作品をモチーフにしたと思われるアートワークでジャケットを制作してたり……。
ちょっと話が脱線してしまいましたが、フライヤーにある「la motorcyclette」とはフランス語のタイトルです。レザースーツで佇むマリアンヌ・フェイスフルの何と美しいことでしょう……。この映画で彼女とともにアイコンとして登場するのはハーレー・ダビッドソンのエレクトラ・グライド(エンジンはアーリー・ショベル)です。
同じ60年代の映画でハーレーが登場する作品といえばアメリカン・ニューシネマの金字塔「イージー・ライダー」が有名ですよね。あちらはヒッピーカルチャーを軸にしたストーリーでしたが、「あの胸にもういちど」は男女の恋模様を描く作品なのでまったく路線の違う作品になります。とはいえ、スクリーンに映し出される登場人物のファッションやヨーロッパの風景には、イージー・ライダーとは違った60年代の空気感を存分に感じられることでしょう。
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また「あの胸にもういちど」は、60年代を代表する名優としても知られるアラン・ドロンの色男ぶりもやはり大きな見どころです。今回はデジタル・リマスター版での上映ですから、VHSやDVDとは違う美しい映像を大きなスクリーンで楽しむことができます。
古い映画って劇場で観る機会がなかなかないですよね。せっかくの機会ですからこの作品を愛してやまない方も、初めて知ったという方も、劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか?
▪️作品名/あの胸にもういちど デジタル・リマスター版
原題『THE GIRL ON A MOTORCYCLE』
監督・脚色・撮影:ジャック・カーディフ
原作:アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ
脚本:ロナルド・ダンカン
音楽:レス・リード
出演:アラン・ドロン、マリアンヌ・フェイスフル
1968年/イギリス・フランス/英語/カラー/88分/ヴィスタサイズ/DCP
▪️公開期間/7月21日(土)〜27日(金):1週間限定レイトショー
▪️劇場/ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区渋谷1丁目23-16 ココチビル)
じつは今回の「あの胸にもういちど デジタル・リマスター版」レイトショーでは、この作品にインスパイアされたアニメーション作品も同時上映されます。
それが「誘拐アンナ(英題:ANNA Voleuse)」という短編アニメーションです。映像作家の佐藤懐智氏が手がける3D CGアニメーションは「あの胸にもういちど」のマリアンヌを彷彿とさせる女性がやはりハーレーで登場します。
元ネタ「あの胸にもういちど」で全編に漂う雰囲気をスタイリッシュにアニメ化した作品はオリジナルストーリーで展開する短編とのこと。一体どんなストーリーなのでしょう?
こちらも楽しみですね。
▪️作品名/『誘拐アンナ』
英題『ANNA Voleuse』
監督・脚本・原作:佐藤懐智
音楽:猫沢エミ
声の出演:森川智之 武田華
制作:スタジオディーン 2017年/日本・フランス/日本語・フランス語/30分/水彩画3DCGアニメーション
情報元=マーメイドフィルム
Text/RyoTsuchiyama