軽自動車税の引き上げ額を巡る攻防

掲載日: 2014年01月20日(月) 更新日: 2014年01月20日(月)
この記事は2014年1月20日当時の情報に基づいて制作されています。

取材・写真・文 = 山下剛


ライダーにとって2014年の「増税」は消費税だけではない(写真はイメージです)

2013年12月、軽自動車税が増税されるというニュースが流れた。軽自動車税はすべてのバイクに関わる税金だから、バイクユーザーすべてに関わるニュースだ。

この件が初めて報道されたのは12月6日で、「軽自動車税を1.5~2倍に引き上げ、同時に2,000~3,000円の最低徴収額を設ける」というもの。これをバイクに当てはめると、50cc原付は最悪の場合に1,000円から3,000円へと上がることになる。

この報道を受けて、全国オートバイ共同組合連合会(AJ)が反対意見を政府に陳情した。60名あまりの国会議員に「オートバイに関わる増税への反対意見」をファックスで送り、各議員に連絡をとって面会を求めて陳情活動を行った。

「税制小委員会に出席する議員に連絡をとり、オートバイに関する増税が理不尽であることを訴えてもらおうとしたのですが、ギリギリの土壇場だったこともあり、議員が発言する回数が限られていることもあって反対意見が通らなかったのです」(吉田純一・AJ会長)

自民党内では「2倍、3,000円」の増税案でまとまりつつあった。このままでは50cc原付は1,000円から3,000円、大型バイクは4,000円から8,000円へと増税されてしまう。そこでAJは公明党議員にも連絡をとり、税制小委員会の情報を得つつも妥協案を提出するための活動を続けた。その結果、総務省との最終調整案では「増税倍率1.5倍、最低徴収額2,000円」というところでまとまった。

「1.5倍の法則でいうのなら、50cc原付は1,500円でなければなりません。私たちもかなり粘ったのですが、徴税コストの問題で妥協しなければなりませんでした」(同)

そうした経緯をたどりつつもAJの陳情活動の結果、最悪のケースは逃れることができた。しかしもうひとつ問題が起きる。「軽自動車は新車のみを対象にするが、二輪車は新車と継続車を問わず増税」という案が総務省から上がってきたのだ。

「区や市が管轄する原付の場合、書類上で新車か継続車を区別する手段がないことが理由です。しかしそれは総務省の言い分でしかなく、であればその仕組みを作ることが妥当でしょう」(同)

AJはその後も公明党議員を中心に陳情を続ける。公明党内では「1.5倍、2,000円。二輪車も新車のみを対象」で意見がまとまり、自民党へもこの案でまとめるよう働きかけた。その結果、増税額については「原則1.5倍、最低2,000円」となり、原付における新車と継続車の区別を可能とする仕組みを、新税制開始までの間に作ることで決着がついた。また、この案では50ccと90ccが同額となるため、そこをどう調整するかが課題だ。


全国オートバイ共同組合連合会(AJ) 吉田純一会長

●平成27年度からの軽自動車税案
原付(~50cc) 2,000円
  (~90cc) 2,000円
  (~125cc) 2,400円
軽二輪(~250cc) 3,600円
小型二輪(251cc~)6,000円

●バイク増税に関する意見はこちらへ
電話の場合:総務省 自治税務局 市町村税課 TEL: 03-5253-5669
インターネットの場合:総務省ホームページ「ご意見・ご提案」
https://www.soumu.go.jp/common/opinions.html

●参考資料「軽自動車税の概要」(PDF)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000249723.pdf

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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