リリース = 20世紀フォックス映画
文 = バイクブロス×マガジンズ編集部
[映画情報]
タイトル:『ナイト&デイ』
配給:20世紀フォックス映画
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:デイナ・フォックス
出演:トム・クルーズ/キャメロン・ディアス
制作:2010年アメリカ映画
上映時間:1時間49分
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[STORY]
ボストンの整備工場で米国製ヴィンテージ・カーのレストアをするジューン(キャメロン・ディアス)は、妹の結婚祝いの準備のために訪れていたカンザス州ウィチタから飛行機で帰ろうとしていた。空港で搭乗口へ向かう途中、偶然2度もぶつかった男性ロイ(トム・クルーズ)と機内で席が近くなり、彼の素敵な笑顔に心を惹かれてゆく。化粧室に入り、チャンス到来とばかりに気合を入れるジューンだったが、その間ロイは、機内に潜んでいた敵たちと格闘を開始する。何者かに追われているロイは優れた格闘術で全員ノックアウトするが、そんなこととは知らずに席へ戻ろうとするジューン。ロマンスに期待するジューンは揺れる機内でロイに抱きつき、キスをする。しかしロイの口からは「この飛行機のパイロットは死んだ。僕が殺したんだ」という衝撃の言葉が。パニックに陥るジューンをあやしながら操縦桿を握ったロイは、飛行機を不時着させることに成功。脱出したジューンはロイの腕の中で、炎上する飛行機を背に意識を遠のかせていく…。
翌朝、自分の部屋で目覚めたジューンに「昨日はありがとう」と書かれたロイのメモが残されていた。現実味のないまま妹と一緒に結婚式用の衣装合わせをしていたところ、CIAを名乗る男が現れ、ロイはカンザスの研究所から重要な「ある物」を盗み、逃亡中だと告げる。
CIAや謎の組織を敵に回し、ボストン、ニューヨーク、アルプス、オーストリア、スペイン、さらには大西洋の絶海の孤島まで、世界を股に掛け決死の逃走劇を繰り広げているロイ。そしてその道連れとなったジューンは、幾度も絶体絶命の危機を颯爽と切り抜けるロイに導かれ、迷う暇も与えられないまま、これまでの平凡な人生とはまったく別の世界へと巻き込まれてゆく。そんななか、自分の生き延びる道はこの男と行動を共にするしかないことを知る。
果たしてロイは裏切り者のスパイなのか? それとも巨悪の組織を相手にたった独りで戦いを挑む正義の味方なのか? 戸惑うジューンをよそに、事態はさらなるステージへ進んでゆく…。
[REVIEW]
映画『ナイト&デイ』は『バニラ・スカイ』で相性の良さを見せたハリウッドの2大トップスター、トム・クルーズとキャメロン・ディアスの共演作第2弾だ。この作品をシンプルに表してしまうと「爽快なスパイ・アクション・エンターテインメント」と言ったところ。
PRカットを見ればお分かりの通り、この映画には DUCATI HYPERMOTARD が登場する。石畳の街で狭い路地を2人乗りで激走するのだが、敵のクルマに追われながら、ハンドルを握るロイに代わってジューンが2丁拳銃を披露したり、豪快にジャンプしたり、すれ違う路面電車の鼻先をすれすれで駆け抜けたり…と、ヒヤヒヤさせるシーンが満載だ。
「そのスピードでそのコーナーは曲がれないだろう~、石畳だし!」というツッコミは置いといて、一部シーンではトム・クルーズ自身が実際にハンドルを握って走っている。マシンの軸に乗って操る姿に「あ、乗れるヒトなんだ」と感じる方も、きっといると思う。
全編にわたってトム・クルーズ演じる主人公、ロイ・ミラーの無敵っぷりが愉快痛快でたまらない。敵の放つ弾はほとんど当らないし、格闘シーンでは相手が凄腕の殺し屋だろうが複数だろうがスタイリッシュに危機を脱してしまう。とにかくクールでタフでミスを犯さない優秀なエージェントだ。
一方、キャメロン・ディアス演じるヒロイン、ジューン・ヘイヴンスは、結婚で妹に先を越された感のあるクルマオタクという役どころ。設定では「平凡な女性」ということらしいが、とてもそう思えないのは仕方が無い。キャラが強すぎる。最近ようやく1972年生まれに見えてきたものの、相変わらずキュートなキャラクターのヒロイン役がよく似合うし、実際キュートだ。
この映画を見て個人的に思うのは、かつてフライトジャケットを着てカワサキに跨り、滑走路を走るトム・クルーズの姿が、当時モーターサイクルを趣味とする人たちへ与えた強烈な影響力を改めて知った、ということだ。これまでも映画にモーターサイクルが登場したことはたくさんあったが、あれほどの威力を持った作品は他に思い当たらない。ただまっすぐ走っていただけなのに。
この作品はスタイリッシュ・エンターテインメントの要素が凝縮されている。さらにロマンスとコミカルな要素が散りばめられ、シリアスで残酷なシーン、いやらしさは無い。重苦しく生々しいストーリーは好まないという方には無条件でオススメ出来る作品だ。解り易く、テンポよく展開してゆくので老若男女問わず楽しめるハズ。小さなお子さんを持つオトーサンには、是非一緒にご覧になっていただきたい。なぜなら子どもたちの記憶に、モーターサイクルのカッコイイ姿を印象付けるのに良いきっかけになると思うから。