写真/渡辺 昌彦 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI
交差点を右折したり左折したり、運転免許を持っている人なら特に考えなくても自然にできているはずですよね。ところが思わぬ勘違いをしている人も少なくないようです。
まず右折を考えてみましょう。右折レーンがある場合はそれに従えば良いのですが、例えば片側一車線の狭い道路ではどこで右折待ちをすれば良いのか迷うことがないでしょうか。たまに交差点の真ん中辺りでバイクを斜めに止めている姿を見かけます。ただでさえ狭い片側一車線では道を塞いでしまい、後続の車が抜けにくく対抗車からも邪魔になってしまいます。また、斜め停止だと自分自身も車に接触されるリスクが高まり、万が一追突された場合はバイクごと反対車線に飛び出してしまう危険もあります。
それを防止するためにも右折の場合はまず右折できる場所まで前進したら、車体を真っすぐにして止めます。車線と平行に止めることで対向車や後続車の交通の妨げにもなりにくく安全面でもメリットがあります。また、対向車から見るとヘッドライトやウインカーの光が真正面から見えて目立つため、夜でも自分の存在をアピールしやすくなります。
右折する場合のルールとして「交差点の中心の直近の内側を徐行」という決まりがあります。これには理由があって、速度を抑える意味も含まれますが、実際のところ直角に近いイメージで小さく曲がったほうが、車体も起きていてライン取りもコンパクトなので安全です。逆に悪い例としてコーナリングのように大きなRで交差点に入ってしまうと、その先で曲がり切れずに外側の遠石やガードレールぶつかってしまうかも。また、歩行者が急に横切ってきても止まれず、車体が傾いていればパニックブレーキで自分が転倒してしまうはずです。つまりリスクばかりが増すわけです。
左折の場合も同じでまずは十分減速すること。減速して早めにウインカーを出して、自分の車線の左側にピタッと寄せて交差点の角に沿うような形で曲がっていくのが理想です。
これも悪い例としては、左折をまるでコーナリングのように「アウト・イン・アウト」のライン取りで曲がるパターン。偏見ではないですが、交差点で観察していると原付バイクなど小排気量モデルが多いようです。手軽に乗れることが逆に気を大きくしているのかもしれませんが大変危険です。また、交差点手前でわざとバイクを外側に振って大回りでコーナーに入っていく姿も見かけます。こちらは大型バイクに多いようです。クルーザーなどホイールベースが長いモデルはたしかに小回りは苦手ですが、それであれば速度を落とせばいいだけ。ハンドルをフルに切れれば車体が起きていても曲がれない交差点はないはずです。
交通事故の7割は交差点とその付近で発生していることを思い出してください。交差点は練習用のコーナーではありません。そこをしっかり踏まえて、何かあってもすぐに止まれる速度とライン取りで確実に走りましょう。詳しくは下記の解説をご覧ください。動画も合わせてチェックしていただくと動きのイメージが分かりやすいと思います。
■斜めに止めるとリスクも増大
交差点を右折する場合、どこで待てばいいのか? 基本的にはセンターライン沿いに車体を真っすぐに寄せて交差点の中で待つのが正しい。ただし、道路の幅や交通状況によってはセンターに寄せられず、前に進んで待てない場合も多々ある。そこは臨機応変。曲がる前には前後左右の安全確認を忘れずに。
これは極端な例だが、車体を斜めにして右折待ちしていると、対向車からはヘッドライトや点滅しているウインカーも見えづらく、見落とされやすくなる。交通の妨げになるだけでなく対向車や後続車と接触するリスクも高まる。ハンドルを切って斜めに止まるのは難しく、立ちゴケの原因になりやすい。
■ショートカットは対向車からも見えにくい
右折では法規的にも交差点の中心の直近の内側を徐行しなければならない。極端に言えば、交差点の中心近くまで進んで「直角」に曲がるイメージだ(〇)。反対に速度を落とさずにショートカットすると先が見えにくく、対向車からも予測できないため大変危険。曲がり切れずにそのままコースアウトしてしまうかも(✕)。
正しい右折方法ならば車体は起きてコンパクトに曲がれるので安心・安全。交差点の中心を表す表示が無い場合もあるが、中心付近にマンホールがあれば、これを目安にするとライン取りが分かりやすい(〇)。コーナリングのように車体を寝かせてショートカットする悪い例。白線は滑りやすく、横断する歩行者がいても安全に停止できない。
■あおり左折は違反、コーナリングもNG
左折では予めできる限り道路の左端に寄り、道路の左端に沿って徐行しなければならない。対向右折車や左折した先の歩行者にも十分注意したい(〇)。交差点手前で一旦右に振ってから左折する「あおり左折」は法規違反。左折巻き込みや後続車との接触、左折した先の対向車との接触などリスクが増大する(✕)。
右折と同様、正しい左折方法ならば車体は起きてコンパクトに曲がれるので安心・安全だ。手前の横断歩道だけでなく左折した先の歩行者や自転車にも注意。左後方の死角は目視で確認したい(〇)。「あおり左折」から車体を傾けて曲がると何かあっても安全に停止できない。特に塀などで先が見えにくい場合は危険(✕)。
■車体を起こしてアクセル一定で
交差点など道が交差する場所にはだいたいマンホールがある。これは下水道が道路の下を走っているため。表面がツルツルに摩耗したマンホールは雨に濡れると特によく滑る。なるべく避けて通りたいが通過せざるを得ない場合は、車体をなるべく起こしてアクセル一定のまま、加速も減速もせずにやり過ごすのが無難だ。