今日から使えるライディングテクニック実践講座【最新版 スマテク2.0】4.コーナリング (3)倒し込みのテクニック(動画あり)

掲載日: 2024年07月01日(月) 更新日: 2024年06月28日(金)

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写真/伊勢 悟 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI

キッカケ作りの5つの方法を
組み合わせて使い分ける

今回のテーマは倒し込みのテクニックです。直進しているバイクをコーナーに向けて曲げていくには一度バランスを崩してやる必要があります。これを「キッカケ作り」と呼んでいますが、倒し込みテクニックの主な要素になります。

キッカケ作りにはいろいろな方法がありますが、どれが正しいという決定打はありません。ひとつ言えるのは、いろんな方法を知っていたほうが良いということです。それだけ自分の引き出しが増えるわけですから。そこで私は次の5つの方法をおすすめしています。

(1)「体重移動」。自分の重心をコーナーのイン側へ移動することで曲がるキッカケを作る方法です。自転車に乗れる人ならだけもが自然にやっていることです。

(2)「抜重」は自分の体重を抜いていく感覚。コーナー手前では外足に力を入れて体重を支えておいて、倒し込みのポイントに来たらスッと外足の力を抜いてやる。するとシートイン側に体重が乗って自然とバイクが倒れていくはずです。

(3)「ステップ荷重」はコーナーに向けてイン側のステップを意識的に踏んでいくことでキッカケを作る方法です。ポイントは斜め下方向に向けて踏み込むこと。足の力は大きいので効果てきめんです。

(4)「外足プッシュ」は逆に外側のヒザを使ってタンクを押してやる方法。このとき外足でステップを外側に蹴り出すイメージにするとヒザに力を入れやすいです。

(5)「逆操舵」は他とは異なり、ハンドルに直接入力する方法です。ハンドルを曲がりたい方と反対側に切っていくので逆操舵と言いますが、シンプルに「曲がりたい側のハンドルグリップを押す」と覚えておくのが簡単です。右コーナーなら右グリップ、左コーナーなら左グリップを推すということです。これは「ブレーキング編(4)危険回避のブレーキング」でもやった回避制動のテクニックでもあり、キッカケ作りの中では最も機敏に反応する方法となります。

実際には5つの方法を組み合わせて使っていきますが、速度やコーナーの曲率、バイクの種類によって入力の配分なども変わっていきます。理想的には全部を使えて、ケース・バイ・ケースで使い分けられるとベストですね。詳しくは下記の解説をご覧ください。動画も合わせてチェックしていただくと動きのイメージが分かりやすいと思います。

これを見れば完璧!倒し込みのテクニック

Point1
「体重移動」

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■上体を入れる
コーナー進入はリーンウィズでアプローチ。倒し込みのポイントに来たら、リーンインの要領で上体を車体のイン側に入れていく。腰はずらさず両ヒザでしっかりとニーグリップすることで、体重移動の効果をバイクに伝えることができる。

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上半身だけでなく頭もイン側の前方に持っていくイメージ。大きくアクションすることで重心移動の効果を発揮しやすくなる。また、上体を入れていく動きの速さでバンキングスピードもコントロールできる。

Point2
「抜重」

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■上体の力を抜く
たとえば右に曲がりたい時はあらかじめ腰を右に少しオフセットして重心をイン側にずらしておく。減速中は外足(この場合は左足)に力を入れて保持しつつ、倒し込みポイントに来たら上体の力を抜いてシートに体重を預けてやる。

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外足の力を抜くことでインシートに荷重が乗りバイクは倒れ始める。そのとき、ぐしゃっと潰れるイメージでイン側の脇腹を緩めてやると、イン側の尻が下がるとともに重心が下がり、より強いキッカケが作れるのでさらに効果的だ。

Point3
「インステップ荷重」

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■斜め下に踏み込む
倒し込みポイントでイン側ステップを踏み込むことで俊敏に倒し込むことができる。真下ではなく斜め下に向かって弧を描くように踏んでいくのがコツ。写真は大げさに動作しているが、実際にはステップから足を離す必要はない。

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後輪の接地点(斜め下方向)に向かって荷重するイメージ。ベクトルを見ても分かるとおり、ヒザを開きながらステップを踏み込むとより効果的に力を伝えやすい。ステップも先端近くを踏むとテコの原理で強く入力できる。

Point4
「外ヒザプッシュ」

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■タンクを押し込む
外側のヒザを使ってタンクを押してやることで、簡単に倒し込みのキッカケを作ることができる。ライダーの内なる感覚のため、傍から見ても何をしているのか分かりづらいが、大きなアクションを必要とせずに効果的な方法。

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左コーナーであれば右ヒザでタンクを押してやる。バイクが倒れ込もうとする動き、つまりロール方向をイメージしてぐいっとプッシュ。このとき、外側ステップを外向きにずらす方向で踏むとヒザに力が入りやすい。

Point5
「逆操舵」

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■曲がりたい方に押す
ステアリングを切るとその反対側に傾こうとする2輪の特性を利用したもので、倒し込みポイントでイン側のグリップを押す。直接ハンドルに入力するため、最も機敏にバイクが反応するキッカケ作りの方法だ。フォームはリーンアウト的になる。

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左コーナーなら左グリップを斜め下方向に押すイメージ。瞬間技ではなく掌で少し長めにぐいっと押し込む感じだ。オフロードモデルなどハンドル幅が広いとテコの原理でやりやすい。インステップや外ヒザを併用するとさらに効果的。

スマテク2.0 講師 プロフィール

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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