【ライターコラム】40代リターンライダー「NSR250R」を買う/その4「NSRの兄たち」

掲載日: 2018年06月06日(水) 更新日: 2019年01月17日(木)
カテゴリー: 日刊バイクブロス  タグ: ,  
この記事は2018年6月6日当時の情報に基づいて制作されています。

48歳の私が1989年製のNSR250Rに乗る理由はノスタルジーです。おじいさんになる前にやり残したことをやっておこう、というわけです。

私の89年製NSR250R。2015年に走行1.2万kmで購入しました。

しかし80年代の日本のバイクにこだわる理由はもう1つあります。それは情熱です。
スマホのような「最新技術を集めればこれくらいのことができますよ」という製品もいいのですが、「死ぬ気でつくりました」といったふうに生み出された工業製品を持っていたいのです。

NSRの歴史はとても人間味あふれるものです。
NSRの長兄はMVX250Fになるのですが、これはホンダ史上最悪の失敗作といわれています。250ccでV型3気筒という気合が入ったエンジンを積みながら、外観がVT250Fとうり二つなのです。市場に媚びるような戦略が完全に裏目に出ました。

MVX250Fのカタログにはスペンサーが登場しています。「売る気満々」なのは伝わってきますが。

MVXのビキニカウルは初代のVT250Fとうり二つ。いかがなものでしょうか。

ホンダはすぐに大反省します。そうして生まれたのがNS250Rです。当時の世界最強バイクNS500にそっくりのカウルを装着した妥協ゼロの逸品です。

NS250Rのこの丸みの帯び方は、弟のNSRにはないテイストです。

当時の世界最強バイクNS500のカウルも丸っこくてかわいい。かわいいのに強い奴って怖くないですか。

そしてホンダは、NS250Rを発表してわずか2年でNSR250Rを投入するわけです。

とうとう「レーサーに保安部品をつけただけ」のNSRが登場。

当時私は中3から高1ですから、ビジネスモデルも企業戦略もまったく知りませんでした。NSRのモデルチェンジも「ガンダムの敵がザクからグフに進化した」ぐらいの感覚でした。

しかしビジネスにどっぷりつかったいまの私が80年代のバイクを眺めると、「だから当時の日本企業は世界最強だったんだ」と思えるのです。失敗と反省を経て30年経っても色褪せない製品をつくった軌跡は、なんだかとても胸キュンなわけです。

ホンダMVX250Fの詳細、当時のカタログの解説は以下のリンクからどうぞ!
ホンダMVX250Fの当時のカタログを見る

ホンダNS250F/Rの詳細、当時のカタログの解説は以下のリンクからどうぞ!
ホンダNS250F/Rの当時のカタログを見る

(ライター アサオカミツヒサ)

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