48歳の私が1989年製のNSR250Rに乗る理由はノスタルジーです。おじいさんになる前にやり残したことをやっておこう、というわけです。
しかし80年代の日本のバイクにこだわる理由はもう1つあります。それは情熱です。
スマホのような「最新技術を集めればこれくらいのことができますよ」という製品もいいのですが、「死ぬ気でつくりました」といったふうに生み出された工業製品を持っていたいのです。
NSRの歴史はとても人間味あふれるものです。
NSRの長兄はMVX250Fになるのですが、これはホンダ史上最悪の失敗作といわれています。250ccでV型3気筒という気合が入ったエンジンを積みながら、外観がVT250Fとうり二つなのです。市場に媚びるような戦略が完全に裏目に出ました。
ホンダはすぐに大反省します。そうして生まれたのがNS250Rです。当時の世界最強バイクNS500にそっくりのカウルを装着した妥協ゼロの逸品です。
そしてホンダは、NS250Rを発表してわずか2年でNSR250Rを投入するわけです。
当時私は中3から高1ですから、ビジネスモデルも企業戦略もまったく知りませんでした。NSRのモデルチェンジも「ガンダムの敵がザクからグフに進化した」ぐらいの感覚でした。
しかしビジネスにどっぷりつかったいまの私が80年代のバイクを眺めると、「だから当時の日本企業は世界最強だったんだ」と思えるのです。失敗と反省を経て30年経っても色褪せない製品をつくった軌跡は、なんだかとても胸キュンなわけです。
ホンダMVX250Fの詳細、当時のカタログの解説は以下のリンクからどうぞ!
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ホンダNS250F/Rの詳細、当時のカタログの解説は以下のリンクからどうぞ!
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