今日から使えるライディングテクニック実践講座【最新版 スマテク2.0】8.スポーツライディング (1)コーナー進入の5段階アプローチ(動画あり)

掲載日: 2025年06月11日(水) 更新日: 2025年06月11日(水)

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写真/渡辺 昌彦 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI

作業を分けることで
コーナー進入が楽になる

今回からいよいよスポーツライディング編になります。場所をサーキットに移して練習してみたいと思います。なぜサーキットなのか? それはライディングの基礎を安全に学ぶのに適した場所だからです。サーキットは対向車もなければ歩行者が飛び出すこともないクローズドコースです。思いっきりバイクの性能を引き出しつつ、安全に操れる場所としてのサーキットと考えています。

スポーツライディングと言っても、サーキットでタイムを縮めるのが目的ではありません。目的は自分の引き出しをたくさん増やすこと。バイクを操るための様々なスキルを身に付けることで安全マージンが増えるわけです。そこで蓄えたマージンを余裕として、日々の公道走行やツーリングでの安全な走りに活かすこと。より安全にバイクライフを楽しむためにサーキットを活用して、安全・確実にライディングスキルを学んで上達しましょう。

スキルアップのために大事なことがあります。私たち社会人ライダーは大好きなバイクで転んで怪我するわけにはいきません。そこで、安全に上達するためにはいくつかのポイントがあります。まず理論を知ること。次に正しい方法で練習すること。そして反復して練習することです。自己流でいつまでも自信が持てないまま、最初に間違った方法を身に付けてしまうと後で修正するのも難しくなってしまいます。また基本に立ち返るためにも、安全で効率的にスキルアップできるクローズドコースで練習してみましょう。

今回のテーマは「5段階アプローチ」です。コーナリングの中でも最も難しいのがアプローチ(進入)の部分でしょう。コーナー手前ではブレーキングやシフトダウンや倒し込むためのキッカケ作りなど、やるべき操作や動作がたくさんありますよね。コーナー直前で全てをいっぺんにやろうとしても、忙しくなりすぎてタイミングを外してしまったり、パニックになって操作ミスをしてしまったり、となかなか上手くいかないはずです。そこで、コーナー進入をいくつかのプロセスに分けて整理してみたいと思います。サーキットは同じ場所を繰り返し周回する言わばルーティンワークなので、やるべきことは大体決まってきます。逆に言うと、自分の中でそのプロセスを組み立てられると後々楽になります。

そのための効果的な手法が「5段階アプローチ」です。頭で考えなくても体が自然に動くようになるまで、その操作や動作を体に刻みつけることが大事。今回はスポーツライディング編の導入として、最初にその考え方をお伝えしています。では早速実践していきましょう。詳しくは下記の解説をご覧ください。動画も合わせてチェックしていただくと動きのイメージが分かりやすいと思います。

これを見れば完璧! 速く! 安全に! サーキットのコーナリングをマスター

Point
「5段階アプローチ」

■プロセスを分けて確実にこなす
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コーナーに向けての動作・操作を5つのプロセスに分けて組み立てていきます。手順としては、①コーナーへ向けて加速。②重心を移動して準備。③一定に長くブレーキング。④減速してからシフトダウン。⑤ステップイン(倒し込み)。「青線」は加速区間、「赤線」は減速区間を表しています。
このプロセスを頭で考えるのではなく、体で覚えるのが大事。コーナー進入のプロセスを細分化してそれぞれを確実にこなすことで、安全でスムーズなコーナリングへとつなげていくことが可能になります。但しこれは速く走るためではなく、安全なコーナリングを楽しむためのスキルと考えてください。次回から、それぞれのプロセスについて詳しく解説していきます。

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余談ですが、このメソッドはかつてのWGP500ccクラス王者、ケヴィン・シュワンツ氏が米国・アトランタで開催していた『KSSS ケヴィン・シュワンツ・スズキ・スクール』で学んだライディング理論がベースになっています。もう20年近く前になりますが、まさに目からウロコで、目の前の霧がさっと晴れた気がしたものです。その経験は今でも自分にとって大きな財産になっています。

スマテク2.0 講師 プロフィール

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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