株式会社アイディエーションは「電動キックボードに関する調査」を実施しその結果を公開した。この調査の中で電動キックボードを「利用してみたい」と回答した500人中、約46%が電動キックボードの公道走行に関する交通ルールを「ひとつも知らない」と回答したことが判明。また、全年代における利用経験者は9.8%となっており、このなかで20代以下の利用率が最多となった。
電動キックボードの利用率は10%、今後の利用意向率は29%
株式会社アイディエーション(本社/東京都渋谷区、代表取締役/白石章兼)は、「電動キックボードに関する調査」を実施しました。この調査は、2024年2月23日~2月27日の期間、全国の16歳から59歳の男女10,000人を対象に実施しました。
■調査背景・目的
都市部における交通混雑の解消や環境に優しい移動手段として、電動キックボードの利用が増加しています。特に、若年層を中心にその利便性や楽しさが認識され始めていますが、安全面や利用に関する知識の不足も指摘されています。そこで、本調査では、電動キックボードに対する認知度や利用経験、利用意向、そしてイメージに関する実態を把握することを目的とし、調査を実施致しました。
■調査方法
全国の16歳から59歳の男女10,000人を対象にインターネットリサーチを用いて、スクリーニング調査を実施しました。このスクリーニング調査では、電動キックボードの認知、利用経験、利用意向についての3つの質問を行いました。スクリーニング調査の結果、電動キックボードを「利用してみたい」と回答した500人に対して本調査を実施しました。
電動キックボードに関連する知識について確認したところ、全体のスコアで「交通ルールを破ると道路交通法違反となり罰則がある」と「公道を走るのにヘルメットの着用は努力義務である」ことを知っている人の割合が30%を超えましたが、「ひとつも知らない」という回答も約46%に達しました(図1)。特に年齢が高くなるほど「ひとつも知らない」と回答した方のスコアが高くなっています。全体的に知識の普及が課題であると考えられます。なお、法的な規則は地域によって異なるため、電動キックボードを利用する際には現地の法規を確認することも必要となります。
全体の90.2%が電動キックボードを「利用したことがない」と回答しており、利用経験者はわずか9.8%でした。20代以下の利用経験が最も高く18.0%が何らかの電動キックボードを利用していました。男性の利用経験が13.2%と女性の6.4%に比べて高く、特にシェアサービスの利用が多くなっています。中高年齢層(40代、50代)は利用経験が非常に低く、電動キックボードの普及にはさらなる啓発が必要と感じます。また、「ナンバーを取得していない電動キックボード」の利用者も他の利用形態と同等のスコアがあり、知識不足のため違法な電動キックボードを違法と知らずに乗っている可能性が窺えます。(図2)
全体の71.2%が「いずれも利用してみたいと思わない」と回答し、電動キックボードの利用意向が低い結果となりました。年代別に見ると、20代以下は37.2%が利用意向を示しており、新しい移動手段としての電動キックボードへの関心が強いことがわかります。購入よりもシェアの利用意向が高く、年代別に見ると、特に20代以下が高い結果となりました。(図3)
全体の75.0%が「事故のリスクが高そうで、安全面での懸念がある」と回答し、これが最も高いスコアとなりました。その他にも、「法律や規制が不明確で、どのように利用すべきかわかりにくい」(72.0%)、「歩道での使用など、他の人に迷惑をかけそう」(71.8%)「適切な駐輪場や専用走行レーンが不足しているため、利用しにくそう」(71.4%)、といったネガティブな項目が上位に挙がっています。一方で、全体の72.2%が「移動が早く、便利な交通手段だと思う」と回答しており、これはネガティブな項目と同等のスコアとなっています。また、66.4%が「運転が楽しく、新しい体験を提供するものだと思う」と答えており、新しい移動手段としての魅力が評価されています。電動キックボードに対する安全面や規制に関する懸念が強い一方で、利便性や楽しさといったポジティブなイメージも同様に高く評価されています。(図4)
質問を聴取するにあたり、以下2枚の画像を提示して聴取しました。
調査結果は以下のとおりです。
全体の49.0%が電動キックボードを利用するとしたら、「レンタル(シェア)のほうが良い」と回答し、30.8%が「購入のほうが良い」と回答しました。20.2%は「どちらともいえない・わからない」と答えています。全体的にレンタル(シェア)を好む傾向が強く、特に20代以下の若年層と女性においてその意向が顕著です。(図7)
最も高かったのは「インターネットの通販サイト」で、42.8%となりました。特に30代が高いです。次いで「大型家電量販店」(36.4%)、「専門のスポーツ用品店」(32.8%)、「自宅近くの自転車屋」(32.0%)という順でした。「中古品を扱う店舗またはウェブサイト」は6.6%程度となり、全属性共通して低い結果となりました。利便性を重視してネットで購入する方と、実物を見て買いたい派と二分した結果となり、中古品はあまり求められていないということが示されています。(図8)
日常の移動手段として、最も使いやすそうだと感じるものについては、「10万円弱の高機能自転車」が49.0%で最も高く、次いで「10万円台の電動自転車」と「10万円台の電動キックボード」が同率で30.8%でした。「10万円台のキックボード」は女性よりも男性の方が高く、年代でみると50代が最も高い結果となりました。(図9)
電動キックボードが設置されている宿泊施設を優先的に選びたいかという質問に対して、「そう思う」と回答したのは全体の8.8%、「ややそう思う」と回答したのは30.0%で、合わせて38.8%が電動キックボードが設置されている宿泊施設を選びたいと考えています。男性は41.4%が「そう思う」または「ややそう思う」と回答し、女性(33.5%)よりも高い割合で電動キックボードが設置されている宿泊施設を選びたいと考えています。年代別にみると、20代以下の若年層は電動キックボードが設置されている宿泊施設を選びたいと考える割合が51.6%と最も高く、新しい移動手段としての電動キックボードに対する関心が強いことがわかります。(図10)
今回の調査結果から、電動キックボードに対する認識や利用意向、イメージ、購入場所の選定基準などについて多くの知見が得られました。全体の46%が電動キックボードに関する基本的な知識を持っていないことが明らかになり、特に年齢が高くなるほどその傾向が高まります。知識の普及が重要な課題であり、地域によって異なる法規を正確に理解することも安全な利用のために不可欠です。また、電動キックボードの利用経験は全体でわずか9.8%と低く、特に中高年齢層での利用率が非常に低いことが分かりました。電動キックボードの利用意向については、全体の71.2%が利用意向を示さなかったものの、20代以下の若年層では37%が利用意向を示しており、新しい移動手段としての関心が高いことがわかりました。特にシェアサービスの利用意向が高い結果となりました。
電動キックボードに対する安全面や規制に関する懸念が強い一方で、移動手段としての利便性や楽しさといったポジティブなイメージも高く評価されています。特に「移動が早く、便利な交通手段だと思う」との回答が72%と高いスコアを示しています。全体的にレンタル(シェア)を好む傾向が強く、特に若年層と女性にその意向が顕著です。一方で、購入意向者も一定数存在し、購入者向けのサービス提供も重要です。インターネットの通販サイトでの購入意向が最も高く、特に30代で顕著でした。実物を見たいというニーズも一定数ありそうなので、各種量販店での販売も重要なチャネルとなりそうです。
身近な移動手段としては、高機能自転車が最も人気があり、特に女性や若年層でその傾向が強いです。電動自転車と電動キックボードも同等の評価を受けており、これらの市場にも十分な可能性があることが示されています。
若年層と男性が特に電動キックボードが設置されている宿泊施設に対する関心が高く、新しい移動手段としての関心が強いことがわかりました。
【調査概要】
■調査対象/16歳~59歳の男女(全国)
■調査手法/インターネットリサーチ
■調査期間/2024年2月23日(金)~2024年2月27日(火)
■有効回答数/事前調査10,000サンプル ⇒ 本調査500サンプル
■調査主体/株式会社アイディエーション
株式会社アイディエーション(2024年5月28日発行)