ファンティックが2024年1月19日(日)に閉幕したダカール・ラリーのレポートを公開した。ファンティック・チームはライダーを若手主体の3人に刷新し、XEF450 Rally で出場。ジェーン=ダニエルズは総合48位(女性参加者の1位)、トマーソ=モンタナッリは総合95位、ジェレミー=ミロイアは総合31位の結果を残した。
車両は市販のXEF450 Rally。純イタリアチームとして唯一の参戦にして、目標を達成!
目標達成! - 1月19日、サウジアラビア西部、紅海に面したゴール、ヤンブーで3台のダカール・パイロットたちをファンティック・チームは待ち受けていた。2週間にわたる厳しいラリーを終え、出走した3台全員をゴールに迎えることができたことは、このラリーに唯一イタリアのメーカーとして挑戦するファンティックにとっても大いなる成功であり、目標達成といえることだった。
3人のライダーを走らせた2024年のダカール・ラリー。世界で最もタフで、過酷なラリーと言われるダカールへのファンティックとしてのチャレンジは、2年前のイタリアン・レジェンド、フランコ=ピコによるライディングから始まった。経験豊かなピコがダカールを走るという冒険を形にし、ファンティックはピコのフィードバックからオリジナル・ラリーマシン、XEF450 Rallyを市販化。
23年度はその市販モデルをベースにピコと、トマーソ=モンタナッリがダカールに挑戦した。3年目を迎えた24年、ダカールはファンティックにとっては「コミットメント、集中力、勇気、決断力が要求され、さらに狂気無くしてはなしえない」ラリーであり、欠かせないものとして、新しい挑戦のターゲットとなっていた。
24年度のライダーのうち、モンタナッリは昨年の序盤でのリタイヤという屈辱を跳ね返すべく再挑戦。新たに加わったフレンチマン、ジェレミー=ミロイアは2017年にISDE/ジュニアトロフィーで優勝を飾った経験を持つエンデューロライダーで、その後ラリーに転向、23年のモロッコ・ラリーでは19位に入賞し、このダカールが初挑戦になる。
もう一人のパイロット、ジェーン=ダニエルズはファンティックのエンデューロライダーとして3年の実績を誇る若きベテランだ。世界エンデューロ選手権のタイトルをすでに4回も獲得したトップ女性ライダーとして知られるダニエルズは、昨年のISDEにイギリス・女性チームの一人として参加し、見事に優勝を飾っている。
ファンティック・チームの24年のダカールラリーは、想像以上にタフな戦いの連続だった。前半のステージで唯一の経験者だったモンタナッリは最下位に沈む苦戦を強いられ、ダニエルズも初めての砂丘に苦しめられマシンを大破させながらも、リャドの休息地まで何とかたどり着いた。ミロイアはラリー伝統のフランス人らしく初挑戦ながらも折り返し時点で28位と悪くない出来だったが、17日のステージ8で岩にヒットさせ、走行不能に。しかし、続くダニエルズがロープでミロイアをけん引し、救出。チーム力を見せ、3台のパイロットが全員、フィニッシュラインを迎える結果となったのだ。
エンデューロ・チャンピオンでもあるダニエルズにとって、多くのライダーを苦しめた序盤や最終版の厳しいガレ場はむしろ得意とする路面であり、厳しかったのは深く厳しい砂漠と、これまで経験したことのないナビゲーティングだったという。「正直に言えば、本当にこんないタフなレースだとは思ってもいなかった―体力的にも、精神的にも。でも終わってみれば最高の経験で、来年ここに帰ってくるのをもう夢見ているの。女性部門での1位はもちろんうれしいけれど、それ以上に総合順位を上げていきたい」とフィニッシュ後に語ったダニエルズ。チームメイトを150km以上にわたってけん引しビバークに連れ帰った映像が世界中に配信され、「ダカール・スピリット」の受賞につながった。
初めてのダカールをこんな成績で終えることができるなんて、本当にファンティックとチームには感謝しかない。そう語るミロイアは、今年のレースのハイライトを「ベスト・ルーキー・アワード」につながった20位に入賞する走りができたステージだと振り返った。同時に、フィニッシュラインを超えるとき、後続のダニエルズを待って心からの感謝を伝え、彼女無くしてはこのリザルトはなしえなかった、本当に心から感謝している、とコメントしている。ミロイアの心からの「メルシー(フランス語でありがとう)」が映像を通じて世界に配信されている。
マシントラブルもあって総合順位は沈んだものの、チームで唯一2年目のダカールを迎えたモンタナッリはステージごとのスピードでは輝きを見せ、最終日を迎えたステージでは15位で走り切るなど、戦闘力の高いスピードを持つことを証明した。「何度も20位以内でステージを走らせることができて、今年は十分に満足しているよ。厳しい時もあってモチベーションを維持することがむつかしい2週間だったけど、もう来年のダカールが楽しみだ。きっとさらに上を目指すことができると思う」
ファンティックが用意する、文字通りそのままダカールを走れるマシンがXEF450 Rallyだ。3年目を迎えたFanticのダカールへのチャレンジのノウハウを惜しみなく注ぎ込み、確実に厳しい環境を走り切るマシンへと仕立て上げた。2024年モデルもラリーマシンとしての変更はなく、文字通りそのままラリーに出走できる装備が注目を集めている。
イタリア・ファンティック社の日本総代理店として、ファンティックのモーターサイクル並びにebikeの販売、テクニカルサービス&サポートの提供を行っている。ファンティックはそのレースでの多様な経験をストリートモデル群にも惜しげなくつぎ込んで高品質なモデルを多数ラインアップしていることでも知られており、日本でもファンを拡大している。モータリストはこうしたストリートモデルはもちろん、ラリーやエンデューロといったレースの場でもサービス&サポートに力を入れることで、モーターサイクルを購入した後の愉しみを積極的に応援し、末永くファンになっていただけるよう活動を継続している。
モータリスト合同会社(2024年1月20日発行)