武蔵精密工業、デルタ、豊田通商の3社がインドに2輪 EV 用駆動ユニットの製造販売を行う合弁会社を設立した。現在、インドでは政府主導のもと二輪車のEV化が進められており、現地のニーズも高まっているという。同社はこれを背景に世界トップシェアのユニットメーカーを目指すとのことだ。
武蔵精密工業株式会社(以下ムサシ)とDelta Electronics, Inc.(以下デルタ)ならびに豊田通商株式会社(以下豊田通商)はこのたび、インド市場における2輪車用EV駆動ユニット(以下EV駆動ユニット)の製造・販売を目的とした新しい合弁会社(以下本合弁会社)の設立に合意しました。本合弁会社は、インド市場においてEV駆動ユニットの量産ならびに幅広い顧客への受注活動を行ってまいります。
世界各国が2050年までのカーボンニュートラルの実現を相次いで表明するなか、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量削減は必須の課題となっています。特に2輪車が人々の生活の足として欠かせない新興国においては2輪車の排気ガスによる環境問題やCO2排出による温暖化が深刻な問題となっており、クリーンかつ快適な移動手段である新たなEモビリティの普及への期待が高まっています。
このうち世界最大の2輪車市場であるインド市場では、政府が2030年までに二輪車の80%をEV化するという目標を掲げています。こうした政府主導のもとで、4輪車に先行して2輪車のEV化が加速しており、2輪EVの現地生産ニーズも高まっています。
このような背景から、本合弁会社ではムサシとデルタが共同開発したEV駆動ユニットの製造・販売を行います。さらに、市場ニーズに対応したEV駆動ユニットのラインナップを拡充し、更なる製造・販売に取り組み、世界トップシェアのユニットメーカーを目指します。
EV駆動ユニットの供給を通じ、インド市場をはじめ全世界での2輪EVの普及をリードするともに、カーボンニュートラルの実現にも貢献してまいります。
EV駆動ユニットは、主にギアボックスとモーターによって構成されています。本合弁会社では、EVに求められる小型・軽量・静粛性を兼ね備えた高性能の駆動ユニットを一体のシステムとして開発・製造・販売することにより、品質保証を含めた高い付加価値を提供します。さらには、市場や技術の変化を先取りした迅速かつ柔軟な研究開発や、ムサシ、デルタ、豊田通商それぞれの事業基盤を活用した効率的な調達・販売も可能となります。
▲2輪車用EV駆動ユニット
■名称/Musashi Delta e-Axle India Private Limited
■所在地
Doddaballapura 3rd Phase Industrial Area, Village-Raghunathpura, Hobli-Kasaba,Taluk-Doddaballapura, District-Bangalore Rural Karnataka 561203. India
Musashi Auto Parts India Pvt. Ltd. 敷地内
■代表者の役職・氏名/CEO 瀬戸川 健二
■出資比率
・Musashi Auto Parts India Pvt. Ltd. /51%
・Delta Electronics, Inc. /34%
・豊田通商株式会社/15%
インド市場においては、ムサシの出資・協業先であるEVスタートアップ企業のBNC(本社/インド・タミル・ナードゥ州コインバトール、CEO: Anirudh Ravi Narayanan)との間で、EV駆動ユニットを搭載した2輪EVを2024年2月から販売することで合意しております。今後はインド市場における2輪車のボリュームゾーンである125ccクラスをメインターゲットとし、幅広いお客様へのEV駆動ユニットの供給を目指します。
【武蔵精密工業/代表取締役社長 大塚浩史 コメント】
「インドにおいて2輪車は庶民の生活に欠かせない移動手段であり、2030年に向けてEV化が急速に進むと見込まれています。当社には二輪車向けトランスミッション世界トップシェアの強みがあり、電子機器のリーディングメーカーであるデルタ、グローバル物流ネットワークを持つ豊田通商とのシナジー発揮により、インドをはじめ世界に画期的なEV化ソリューションを提供してまいります。当社の使命である人と環境が“調和”した豊かな地球社会の
実現に向け、高性能のEV駆動ユニットの供給を通じてクリーンなEモビリティの普及をリードしてまいります。」
【デルタ/Industrial Automation Business Group, General Manager, Andy Liu コメント】
「デルタは長年にわたり、高効率パワーエレクトロニクス技術と、培ってきた専門知識・ノウハウを融合したソリューションの提供に取り組んできました。特に運輸機械は世界のCO2排出量の23%を占めており、その電化は温室効果ガスの削減に寄与し、持続可能な未来を作るという当社の創業以来の使命に呼応しています。本日、ムサシと豊田通商との合弁会社設立を発表できることを大変うれしく思います。今回の協業により、3社はそれぞれの強みを結集し、高性能EVパワートレインの開発・提供を行ってまいります。私たちの製品を通じて、EV二輪車のさらなる普及に向けて、より良い明日の創造に貢献していきたいと考えております。」
【豊田通商/グローバル部品・ロジスティクス本部COO 堀崎 太 コメント】
「この度、世界最大の二輪市場であるインドにおいて、ムサシおよびデルタと共に、EV二輪用コア部品である「e-Axle」の製造事業にチャレンジをすることとなりました。この新たな取組みは、当社が掲げる「7つの重点分野※」に有機的に結びつけることが期待できる事業です。当社のグローバルネットワークと基盤事業、モビリティ分野で培った専門性を掛け合わせたシナジーを創出することで、パートナーおよび社会に対して新しい価値を提供してまいります。」
※「ネクストモビリティ」、「再生可能エネルギー・エネルギーマネジメント」、「アフリカ」、「循環型静脈事業」、「バッテリー」、「水素・代替燃料」、「Economy of Life」
武蔵精密工業は四輪/二輪車用向けに、デファレンシャル/トランスミッションギア/プラネタリィ/ボールジョイント/カムシャフト等の開発/製造/販売を行っています。コア事業における電動、自動運転といった次世代モビリティ向け商品展開を進める一方、先端AI技術開発によるインダストリー4.0の推進、カーボンニュートラルへの貢献を目指したエネルギーソリューション事業、更にSDGsの幅広い領域での達成貢献に向けたオープンイノベーション展開等、広く新事業の創出・拡大にも注力しています。
■Musashi Web Site
・URL/http://www.musashi.co.jp/
デルタグループは、スイッチング電源、冷却ファンの世界的リーディングメーカーであり、インダストリアルオートメーション、ビルオートメーション、通信電源インフラ、データセンター用インフラ、EV充電システム、再生可能エネルギー及びエネルギー貯蔵ソリューション、ディスプレイソリューションまで広範にわたる機器とサービスを提供することで、スマートマニュファクチュアリングやサステナブルな都市開発に貢献しています。「より良い明日のために革新的でクリーンな高効率エネルギーソリューションを提供する」というミッションステートメントのもと、高効率パワーエレクトロニクスにおけるコアコンピタンスとESGを重視した企業文化を活かし、気候変動などの世界的な環境問題にも積極的に取り組んでいます。1971年に台湾で創業し、現在では世界各地に約200の営業拠点と製造拠点を擁しクライアントをサポートしています。
■デルタ Website
・URL/https://www.deltaww.com/
豊田通商は1948年にトヨタグループの商社として設立されました。完成車輸出や自動車生産支援を軸に事業を拡大。7つの営業本部を有し、「ネクストモビリティ」、「再生可能エネルギー・エネルギーマネジメント」、「アフリカ」、「循環型静脈事業」、「バッテリー」、「水素・代替燃料」、「Economy of Life」の7つの重点分野で戦略を加速させ、「豊田通商ならでは」の事業領域を確立します。
■豊田通商 Web Site
・URL/https://www.toyota-tsusho.com/
武蔵精密工業株式会社(2023年9月22日発行)