情報元 = YAMAHA FACTORY RACING
2017年7月30日(日)、三重県鈴鹿市で、”コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第40回記念大会の決勝が行われ、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の中須賀克行選手、アレックス・ローズ選手、マイケル・ファン・デル・マーク選手が、2015年、2016年に続き、ヤマハ初となる鈴鹿8耐3連覇、通算では7回目の優勝を達成、合わせて中須賀選手は、日本人初、8耐史上2人目となる3連覇を達成しました。
「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」は、29日(土)のTOP10 TRIALで、中須賀選手のタイムにより3年連続のポールポジションを獲得。ファーストライダーを務めた中須賀選手は、スタートでやや出遅れますが、高橋巧選手(ホンダ)、レオン・ハスラム選手(カワサキ)とともにトップ集団を形成し周回を重ねました。この時の西コースでは雨が降っており、ドライ用タイヤで出走したトップ3は我慢のライディングを強いられます。その中で14周目から高橋選手と中須賀選手のマッチレースとなりますが、最終的に中須賀選手はトップでYZF-R1をローズ選手に託しました。
そのローズ選手は、セーフティーカーの介入などで順位を落とすも、ジャック・ミラー選手(ホンダ)から、トップを取り戻し、ファン・デル・マーク選手にR1をつなぎます。そのファン・デル・マーク選手も安定したライディングでトップをキープ。徐々に中上貴晶選手(ホンダ)に詰められるも、ペースを上げて再び後方との差を広げ、さらにライバルの転倒もあり独走状態となります。
レース前半で大きなアドバンテージを築いた「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」は、その後も危なげないライディングで216周を走破し、鈴鹿8耐での3連覇を達成しました。
EWCにレギュラー参戦する「GMT94 Yamaha Official EWC Team」は予選15番手。迎えた決勝は、第1スティント中に雨が降り始める難しいコンディションとなりましたが、ファーストライダーを務めたニッコロ・カネパ選手が冷静に乗り切り、1時間を通過した時点で16番手とします。その後は、デビット・チェカ選手、マイク・ディ・メリオ選手も含め、耐久チームらしい堅実な走りを続け1時間ごとに着実にポジションを上げ6時間経過後には9番手としますが、黄旗区間での追越しにより30秒のピット&ストップが課せられ順位を落としてしまいます。
しかし、直接のライバルとなる「Suzuki Endurance Racing Team」も、序盤のトラブルで順位を落としていたことから影響は少なく、残り2時間を確実に走り11位でフィニッシュ。この瞬間、「GMT94 Yamaha Official EWC Team」の3度目のチャンピオンが決定しました。
一方、2016-2017 FIM 世界耐久選手権EWCに参戦、今大会をファクトリーチームとして参戦した「YART Yamaha Official EWC Team」のブロック・パークス選手、マービン・フリッツ選手、野左根航汰選手は、序盤から安定した走りを披露し常に上位をキープ。終盤にマシントラブルに見舞われますが、これを迅速に克服して5位でチェッカーを受け、EWCではランキング3位でシーズンを終えました。
■Pos.1
・No.21
中須賀 克行
アレックス・ローズ
マイケル・ファン・デル・マーク
・Team/YAMAHA FACTORY RACING TEAM
・Machine/YAMAHA
・Laps/216
■Pos.2
・No.11
渡辺 一馬
レオン・ハスラム
アズラン・シャー・ビン・カマルザマン
・Team/Kawasaki Team Green
・Machine/Kawasaki
・Laps/216
■Pos.3
・No.5
ドミニク・エガーター
ランディ・ドゥ・プニエ
ジョシュ・フック
・Team/F.C.C. TSR Honda
・Machine/Honda
・Laps/215
■Pos.4
・No.634
高橋 巧
ジャック・ミラー
中上 貴晶
・Team/MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
・Machine/Honda
・Laps/214
■Pos.5
・No.7
ブロック・パークス
マービン・フリッツ
野左根 航汰
・Team/YART Yamaha Official EWC Team
・Machine/YAMAHA
・Laps/212
■Pos.6
・No.104
山口 辰也
小山 知良
岩戸 亮介
・Team/Honda Dream Racing
・Machine/Honda
・Laps/212
■Pos.7
・No.12
津田 拓也
シルバン・ギントーリ
ジョシュ・ブルックス
・Team/YOSHIMURA SUZUKI MOTUL RACING
・Machine/Suzuki
・Laps/212
■Pos.8
・No.22
ディマス・エッキー・プラタマ
ラタポン・ウイライロー
ザクワン・ザイディ
・Team/SatuHATI Honda Team Asia
・Machine/Honda
・Laps/211
■Pos.9
・No.03
ジョシュ・ウォーターズ
青木 宣篤
今野 由寛
・Team/MotoMapSUPPLY FutureAccess
・Machine/Suzuki
・Laps/211
■Pos.10
・No.72
水野 涼
ジェイソン・オハローラン
ジェイミー・スタファー
・Team/Honda Dream RT SAKURAI HONDA
・Machine/Honda
・Laps/211
■Pos.11
・No.94
デビット・チェカ
ニッコロ・カネパ
マイク・ディ・メリオ
・Team/GMT94 Yamaha Official EWC Team
・Machine/YAMAHA
・Laps/210
■Pos.15
・No.75
前田 恵助
大崎 誠之
近藤 湧也
・Team/ITO・RACING・GMD & REDGRIFFIN
・Machine/YAMAHA
・Laps/209
■Pos.19
・No.6
津田 一磨
徳留 和樹
・Team/Titanium Power HOOTERS Racing
・Machine/YAMAHA
・Laps/206
■Pos.25
・No.502
國松 俊樹
吉田 忠幸
長尾 健吾
・Team/NCXX RACING
・Machine/YAMAHA
・Laps/203
■Pos.28
・No.24
斉藤 光雄
アレックス・PLANCASSAGNE
アンソニー・ドス・サントス
・Team/CLEVER WOLF Racing & 3ART
・Machine/YAMAHA
・Laps/201
■Pos.31
・No.32
シェリダン・モライス
ビョルン・エストメント
ブランドン・クレトゥ
・Team/TEAM Rabit Transit
・Machine/YAMAHA
・Laps/199
■Pos.33
・No.59
岸田 尊陽
朝比奈 正
行方 知基
・Team/HKC & IMT Racing
・Machine/YAMAHA
・Laps/199
■Pos.36
・No.903
福家 築
中井 恒和
田村 武士
・Team/NOI:Z RACING TEAM
・Machine/YAMAHA
・Laps/198
■Pos.38
・No.65
ジェフリー・デハヴェン
ジャン・フィーマン
フロリアン・グロート
・Team/MOTOBOX KREMER RACING
・Machine/YAMAHA
・Laps/197
■Pos.51
・No.74
アンソニー・ウエスト
稲垣 誠
アレックス・シャハト
・Team/AKENO SPEED・YAMAHA
・Machine/YAMAHA
・Laps/183
■Pos.56
・No.99
中本 翔
吉田 和憲
小倉 章太郎
・Team/oosakamobius icuRT99 & OUTRUN & motokids
・Machine/YAMAHA
・Laps/175
■中須賀克行選手談
「鈴鹿8耐の40回記念大会にふさわしい戦いができました。雨が降り始めた第1スティントではスリックタイヤを装着した状態だったため、攻めたい気持ちを抑え、冷静にアレックスにマシンを引き渡すことを考えました。もしここでタイムが遅れたとしても、アレックスやマイケルが巻き返してくれると信じていたからです。今回の優勝で、個人的には日本人初の鈴鹿8耐3連覇を成し遂げることができました。記録を作るというのは本当に気持ちがいいものですが、全日本では前半戦でうまくいかず、オートポリスでようやく勝ってチームの士気が上がり、これが今回の優勝、そして3連覇につながったと思っています。もちろん鈴鹿8耐は一人で勝つことはできません。チームメイト、スタッフ、そして応援してくれたファンのみなさんの力があったからこそ。本当に感謝しています」
■アレックス・ローズ選手談
「すばらしいレースイベントである鈴鹿8耐で再び勝つことができて、本当にうれしいです。最後のスティントはかなり緊張しました。中須賀サンとマイケルがいい仕事をしてくれて、優勝がすぐそこに見えていたためです。集中力を失いやすい難しい状況だったと思います。でも、チームがすばらしいマシンを作り上げてくれたおかげもあって、レースを楽しむことができました。また来年も鈴鹿8耐に参戦したいですね」
■マイケル・ファン・デル・マーク選手談
「ヤマハのライダーとして鈴鹿8耐に勝つことができたことを、とてもうれしく思います。すごく特別なフィーリングです。今日のレースはいつもの鈴鹿8耐とは違って、ずいぶんと気温が低かったですね。だから僕はいい走りができたのかもしれません(笑)。中須賀サンもアレックスも、とてもいいペースで走ってくれました。僕たちはファンタスティックなチームだったと思います。ヤマハもチームもすばらしい仕事をして、YZF-R1を最高のマシンに仕上げてくれました。また来年もこのチームで鈴鹿8耐に戻りたいです」
■吉川和多留監督談
「ヤマハにとって初の鈴鹿8耐3連覇であり、中須賀選手にとっては日本人ライダー初の鈴鹿8耐3連覇と記録が重なり、とてもうれしく思います。最終的には、スタッフそしてライダーが、冷静にやるべきことをしっかりとこなしたというのが大きな勝因であり、これは昨年とはまったく変わっていません。今回はレース中に雨が降り、セーフティーカーが介入するなどで昨年の周回数を上回ることはできませんでしたが、こうした難しい環境下でミスなく走りきることができたのは、昨年以上にチームがまとまっていた証拠でもあります。チームを支えてくださったみなさん、スタッフ、ライダー、そしてYAMAHA FACTORY RACING TEAMを応援してくださったすべての方々に今回の鈴鹿8耐3連覇を捧げるとともに感謝いたします。ありがとうございました」
■ブロック・パークス選手
「5位という結果は、今回の自分たちのベストリザルトだと思います。大きなクラッシュやトラブルもなく、レースウィークを過ごすことができましたからね。決勝の最初のスティントは難しい状況だったけど、まずまずうまくこなすことができました。2度目のスティントではもっといい走りができたし、3度目は自分の強さを示すこともできたと思う。最後に走った航汰は、ポジションを守るために本当に全力を尽くしてくれました。すばらしい走りでしたね。マービンも航汰もシーズンを通して大きく成長したと思うし、僕も彼らの先生として自分の経験を伝えることができました。EWCのランキングは3位になれたけど、正直言ってチャンピオン以外は何位でも同じ。来年はタイトルをめざします」
■マービン・フリッツ選手
「5位はチームがベストを尽くしたすばらしい成果。ファクトリーチームに勝つのは本当に難しいですからね。終盤にちょっとトラブルが出ましたが、メカニックたちがすぐに修復してくれました。5位を守れたのは、メカニックたちの頑張りと最終スティントで航汰が全力を尽くしてくれたおかげ。僕にとっては初の鈴鹿8耐だったけど、自分としてはまずまずいい仕事ができたかな、と満足しています。決勝レースをミスなくこなすことができましたからね。こんなすばらしいレースに参戦する機会を与えてくれたヤマハには感謝しています。鈴鹿8耐に来る前、みんなに”すごいビッグレースだよ!”と聞いていましたが、表彰台からの眺めは本当に信じられないものでした。たくさんの人たちが拍手を送ってくれて、すごくうれしかったし、来年もまたここに来たいですね」
■野左根航汰選手談
「今日はマービンとブロックがとても速く、自分もレースペースは問題ありませんでした。しかし、ウイークを通してもう少し速く走りたかったので、少しがっかりしていますが、これから改善していきたいと思います。この結果に貢献できたことはうれしいですし、このような機会を与えてくれたYARTと、ヤマハに感謝するとともに、一緒に戦ってくれたチームメイトにも感謝の気持ちでいっぱいです。そして、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの鈴鹿8耐3連覇、中須賀さんの日本人初となる鈴鹿8耐3連覇に脱帽するとともに、本当におめでとうございます」
■マンディ・カインツ監督談
「自分たちの持てる力を最大限に発揮したレースでした。レースをしている限り、表彰台を狙っていたのは当然ですが、今回のパッケージでは我々の前にいる4チームに勝つことは難しかったと思います。レース終盤でリアまわりにトラブルが出てしまいましたが、レースに不運は付き物です。もっと大きな不運に見舞われたチームもたくさんある中、5位という結果には満足しなければいけません」
■デビット・チェカ選手談
「ひとつのミスでタイトル争いをフイにする可能性があったため、難しいウィークエンドでした。各走行セッションでライバルより上の位置にいたため、プレッシャーはなかったのですが、”マシンに何かあったらどうしよう””誰かにぶつけられたらどうしよう”と不安だらけでした。その中で、このチームで自分にとっても3回目のタイトルを獲得できて本当にうれしく思います。精神的にもかなりタフなシーズンでしたが、チームやヤマハのおかげで成し遂げることができました。鈴鹿8耐ではYAMAHA FACTORY RACING TEAMが優勝し、僕たちはEWCのタイトルを獲得。まさにYZF-R1のポテンシャルを示すことができて誇りに思います」
■ニッコロ・カネパ選手談
「信じられない気分! 鈴鹿8耐は世界的にも有名なレース。MotoGPやMoto2、スーパーバイクからたくさんのライダーたちが参戦するレースは、他にはありませんからね。たくさんのファンの前で表彰台に立ったことは、僕の忘れられない記憶になりました。僕たちは本当にすばらしいシーズンを送り、3戦で勝つことができましたが、難しい状況の時もありました。それでも鈴鹿8耐でチャンピオンを獲得できたのは、チーム全員が、諦めないことの大切さを知っていたからと思います。ヤマハと、ダンロップと、チームと、そしてチームメイトに心から感謝します。どれかひとつでも欠けてもこのタイトルは得られませんでした」
■マイク・ディ・メリオ選手談
「シーズンを通していい戦いができました。こんなチャンスを与えてくれたヤマハには感謝しています。レースで得た経験をチームメイトとシェアしながら共に進化していくなんて、MotoGPでもできないことだからね(笑)。今回の鈴鹿8耐ではちょっとしたトラブルも出てしまいましたが、自分としてはラップタイムを短縮できたし、何よりも目標通りライバルの前でフィニッシュしてチャンピオンを獲得できました。応援してくれたたくさんの日本のファンの前でタイトルを獲れたことを誇りに思います」
■クリストフ・グィオ監督談
「何て言えばいいのでしょうか! 鈴鹿8耐は世界的にも偉大なレースのひとつでタイトルを決めることができて誇りに思います。EWCにレギュラー参戦するチームとしては、F.C.C.TSR Hondaが3位、YART Yamaha Official EWC Teamが5位に入り、我々は11位となかなかタフなレースでした。それでも、ポイント争いをしていたSERTより前にいたため、安全策をとったためです。ライダーたちはF.C.C.やYARTと戦いたかったはずなので、フラストレーションの溜まるレースだったと思います。でも、みんながチームの戦略をよく理解してくれたおかげで、タイトルを獲得できました。彼らには心から感謝しています」