今日から使えるライディングテクニック実践講座【最新版 スマテク2.0】 2.ブレーキング (2)ブレーキは3段階でかける!(動画あり)

掲載日: 2024年02月22日(木) 更新日: 2024年02月22日(木)

今日から使えるライディングテクニック実践講座【最新版 スマテク2.0】
2.ブレーキング (2)ブレーキは3段階でかける!(動画あり) メイン
写真/渡辺 昌彦 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI

リアからフロントへ
姿勢を作って制動する

今回はブレーキのかけ方についてです。効果的に制動力を引き出すためには手順が重要になりますが、そこで思い出してほしいのが前回お伝えしたバイクのブレーキ特性です。

バイクは不安定な乗り物。安心して強いブレーキをかけるためには車体の安定がまず大事です。車体垂直でハンドルも真っすぐであることを基本として、まずはリアブレーキをかけます。前回お伝えしたとおりリアブレーキを使うことでリアサスペンションが沈み込み、タイヤが路面に押し付けられてバイクの姿勢が安定します。次にフロントブレーキを軽くかけることでフォークが沈み込み、フロントタイヤが路面に押し付けられて面圧が上がり、ブレーキがかけやすい状態になります。そこからさらにブレーキレバーへの入力を強めることで制動力が高まり、本格的なブレーキングが始まります。

逆に悪い例としては、最初からフロントブレーキをガツンとかけてしまうこと。バイクの荷重が一気にフロントに移って車体が急激に前のめりになり、バイクの挙動も不安定になってしまいます。最悪は前輪ロックしてしまうかリアタイヤが地面から浮いてしまい、それ以上はブレーキをかけられなくなってしまいます。実際にあった話として、以前ツーリング中に私の前を走っていたライダーが道路脇から飛び出してきた動物を避けようとして急ブレーキをかけた途端、バイクごと「ゴロン」と前転してしいました。幸い大きなケガはなかったのですが今思い出しても身の毛がよだつ恐ろしい光景でした。強力なブレーキとハイグリップタイヤを履いたスポーツモデルでしたが、それがかえって仇になったのかも……。ABSがあったとしても電子制御が作動する間もない急激な姿勢変化のためと思われます。

話を戻してブレーキのかけ方としては、「(1)リア→(2)フロント弱→(3)フロント強」の順番でかけていくのが理想。そうすることでバイクの姿勢も安定し、より強くブレーキをかけられ、結果的に制動距離を詰めることができます。(1)(2)(3)の操作に慣れてきたら、なるべく短時間に同じ操作ができるよう意識してみてください。詳しくは下記の解説をご覧ください。動画も合わせてチェックしていただくと動きのイメージが分かりやすいと思います。

これを見れば完璧!ブレーキは3段階でかける!【最新版 スマテク2.0】

Point1「リアブレーキで姿勢安定」

今日から使えるライディングテクニック実践講座【最新版 スマテク2.0】2.ブレーキング (2)ブレーキは3段階でかける!(動画あり)
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■微調整が難しいので一定に踏む
ブレーキの手順としては最初にリアブレーキをかけてバイクの姿勢を安定させる。ただし、リアブレーキはブーツを履いた足でペダルを踏むため繊細な操作が苦手。踏んだら踏みっぱなしで完全停止まで一定にかけ続けるのがポイントだ。かけ方としては、踝を中心に足先を回転されるイメージで、親や指の付け根辺りでじんわりと入力していく感じ。親指を曲げて力を入れながらやると感触をつかみやすいはず。

Point2「フロントブレーキで止める」

今日から使えるライディングテクニック実践講座【最新版 スマテク2.0】2.ブレーキング (2)ブレーキは3段階でかける!(動画あり)
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■徐々に強めることで制動力が増す
次にフロントブレーキを軽くかけてフォークを沈ませる。レバーを軽く引いてブレーキディスクにパッドを押し当てるイメージだ。ある程度フォークがボトムしてフロントタイヤの接地感が増してくる手応えを感じつつ、レバーをさらに握り込んでいく。ここからが本当の制動だ。悪い例(✕)として、最初からブレーキレバーをがっつり握ってしまうと急激なピッチングモーションが起きて制御不能に。

Point3「コの字型のアーチ」

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■レバーは滑らせるように引きこむ
基本的にレバーにかけるのは人差し指と中指の2本掛けをおすすめしている。繊細な入力コントロールがしやすいからだ。もちろん個人差もあるので、4本でも3本でも自分がやりやすい方法でオーケー。重要なのはブレーキレバーの位置で、第一・第二関節で作る「コの字」のアーチに収まる位置に調整するのがポイントだ。そしてレバーは握るのではなく、滑らせるように「引きこむ」イメージを持つと上手くいく。

Point4「入力カープは滑らかに」

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■ロック寸前で一定キープが最大制動力
図はリアとフロントそれぞれのブレーキ入力のイメージ。縦軸は入力の強さで横軸は入力の時間を表している。操作のタイミングは分かりやすくするために「(1)リア→(2)フロント弱→(3)フロント強」と3段階としているが、実際は機械的ではなくグラデーション的に滑らかな入力になる。そして最終的には前後ブレーキとも入力が一定に。つまりロック寸前をキープするのが最大効率で止まれるコツ。

Point5「ブレーキングフォーム」

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■骨盤を寝かせて尾てい骨を押し付ける
安定したブレーキングのためにはライダーの姿勢も重要になる。急加速や急減速で発生する大きなG(加速度)に対抗するため、加速では腕をたたんで上体を前傾させるが、減速では上体を起こして(場合によってはやや後傾させて)ヒザと太腿で車体をしっかりホールド。それだけで足りないときは、骨盤を寝かせて尾てい骨をシートに押し付けるイメージで、尻と座面との接地面積を稼ぐと前ズレしにくくなる。

スマテク2.0 講師 プロフィール

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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