【ライターコラム】40代リターンライダー「NSR250R」を買う/その9「俺の89が一番」説

掲載日: 2018年07月11日(水) 更新日: 2019年01月16日(水)
カテゴリー: 日刊バイクブロス  タグ: ,  
この記事は2018年7月11日当時の情報に基づいて制作されています。

NSR250Rには5世代あり、私の1989年型のNSR250R(89MC18)は、その他の4代のNSRと比較して地味である、という話を以前にしました。
確かに、国産レプリカバイク史上最高のカラーリングといわれるロスマンズカラーは、88MC18前期とMC21とMC28にはありますが、89MC18後期にはありません。

88MC18前期のロスマンズカラーは純粋に格好いい。

MC28のロスマンズカラーは紺色が少し薄めです。

89MC18後期には最上級モデルのSPでもロスマンズカラーは奢られませんでした。

しかし、89NSRは、88のわずか1年後に出ているのです。マイナーチェンジは普通、販売のテコ入れのために行います。しかし当時、88NSRの販売は絶好調でした。
すなわち89NSRは「勝ち続けるためにやらなければならない」ことがあったので、採算度外視で生まれたわけです。だから89NSRは、ある意味で最良のNSRなのではないかと思うわけです。それでは89NSRのハイライトを紹介しましょう。

89NSRのメーター回りです。これでノーマルです。

NSRのメーター回りはご覧のとおりスカスカです。「メーター? どうせすぐに取り外してしまうんでしょ」とでもいいたげなつくりです。社外品を取りつけたようにも見えますが、純正かつノーマルの姿です。

89NSRのチャンバーとサイレンサーの位置は独特。

そして他のNSRにはない、89NSRだけの特徴がこれです。チャンバーを無理やり細いパイプで持ち上げて、リアシートの「跳ね上がり」と平行になるようにサイレンサーを置いているのです。その結果どうなったかというと、この美しいリア回りをつくり出したのです。

89NSRのリア回りはとても美しい。

どうですかこの格好よさといったら。リアランプの2つの丸とサイレンサーの2つの丸で、計4個の丸をつくっています。V4レーサーNSR500を彷彿とさせます。

2000年代に入って、SSでセンターアップマフラーが大流行しますが、89NSRのこのヒップは、そのはしりといえなくもないでしょう。
バイクのマフラーは、「上」そして「中央」に近いほど格好よくなるという方程式があり、89NSRは見事に当てはまるのです。

2004年型CBR1000RRのセンターアップマフラー。うん、格好いいです。

そしてこれは89に限ったことではないのですが、NSRはアルミとステンレスを贅沢に使っています。

NSRにはアルミ部品とステンレス部品がたっぷり使われています。

私は洗車が好きなのですが、この部分を洗うときは本当に楽しいです。「コストダウンなんて一切考えていないつくり」であることはひと目でわかります。
さらにNSRはプラスチック部分のつくりも巧みです。

シートカウルのエアダクト。

上の写真はリアシートのエアダクト部分です。わざわざ2つ穴をあけているところに、妥協のなさを感じます。
次に見ていただきたいのは、フロントブレーキのブレーキフルード容器です。

フロントブレーキのブレーキフルード容器。これでノーマル。

これでノーマルなのだから驚きます。
そして最後に紹介したいのは、シートです。

NSRのシートは意外にしっかりしています。

NSRのシートは一見するとレーサーのように「スポンジのようなもの」を貼り付けているだけにみえますが、実は肉厚のしっかりしたつくりになっています。
89NSRはNSRのなかでは最も不人気ですが、それでも所有欲を満たす要素がこれほどあるのです。

ホンダNSR250Rの当時のカタログを見る

(ライター アサオカミツヒサ)

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