【ドゥカティ】バルブ駆動システムを刷新しロングライフを実現! 新型エンジン「V4グランツーリスモ」を公開

掲載日: 2020年10月16日(金) 更新日: 2020年10月16日(金)
この記事は2020年10月16日当時の情報に基づいて制作されています。

ドゥカティ 新型エンジン「V4グランツーリスモ」を公開 メイン

2020年10月15日未明、ドゥカティはムルティストラーダ V4に搭載される予定の新型エンジン「V4グランツーリスモ」を公開した。

このエンジンは、これまで同社の代名詞でもあったバルブ駆動システム「デスモドロミック」を排し、スプリング・バルブ・リターン・システムや、近年のトレンドでもあるフィンガーフォロワーロッカーアームを採用。これにより6万キロというメンテナンスサイクルを実現するという。

気になる最高出力は170ps、最大トルクは12.7kgmを発揮。このほか同ユニットには逆回転クランクや、力強いトルクとスムーズな作動を実現するツインパルステクノロジー、快適性や燃費に寄与するリア・バンク休止機能などが採用されている。

V4グランツーリスモ:次世代ドゥカティ・ムルティストラーダのエンジン

・完全に新設計されたV4グランツーリスモ・エンジンを発表、このエンジンは11月4日に世界初公開されるムルティストラーダV4に搭載
・V4グランツーリスモは、最大限にスムーズな作動と、記録的に長いメインテナンス・インターバル(60,000km)を実現
・コンパクトで軽量、優れたパフォーマンス、力強いトルク、「adventouring」(アドベンツーリング:冒険の旅)のニーズに応えるために開発されたこのユニットは、最高にスリリングな走りと、スポーティなライド・フィールを完璧に融合

2020年10月15日 ボルゴ・パニガーレ(イタリア、ボローニャ)

ドゥカティは、新しい時代の扉を開くエンジン、V4グランツーリスモを発表します。このエンジンは、11月4日に世界初公開される新型ムルティストラーダに搭載されます。

ドゥカティ 新型エンジン「V4グランツーリスモ」を公開 記事1

V4グランツーリスモの特徴は、非常にコンパクトかつ軽量で、力強いトルクを備えている点です。最も過酷な「adventouring」(アドベンツーリング:冒険の旅)のニーズに応えるために開発されたこのエンジンは、スリリングな走りとスポーティなフィーリングを完璧に融合しています。

V4グランツーリスモは、耐久性と信頼性の両方を確保するために、最新鋭のテクノロジーと現在入手可能な最高の素材を使用することにより、モーターサイクルの世界では前例を見ない長期的なメインテナンス・インターバルを実現しています。このエンジンは、ハイパフォーマンスでダイナミックなモーターサイクルの心臓部に搭載され、地球上のあらゆる場所を探検することができるように設計されています。

このエンジンは、ドゥカティ最高経営責任者(CEO)のクラウディオ・ドメニカーリによって、ビデオで一般公開されました。さらに、開発エンジニア/技術者が、このユニットの秘密と特徴をドゥカティ・ファンの方々に説明しました。

V4グランツーリスモ・エンジンの開発中に行われたすべての技術的選択は、メインテナンス・インターバルを大幅に延長して、最大限にスムーズな作動を実現することを目的としていました。

ドゥカティ 新型エンジン「V4グランツーリスモ」を公開 記事2

バルブ駆動システムには、スプリング・バルブ・リターン・システムが採用され、優れたメインテナンス・インターバル(60,000km)を実現しました。これは、デスモドロミック・システムを中心に開発された素材、仕上げ処理、テクニカル・ソリューションの開発において、ドゥカティが蓄積してきた幅広い専門知識を活用することにより到達できた数値です。

これらの専門知識は、デスモドロミックと比較してコンポーネントへの負荷が少ないバルブ・スプリング・リターン・システムへ適用され、モーターサイクルエンジンとしては異例の優れたマイルストーンを達成しました。

しかも、このエンジンは、特に低回転域における非常にスムーズな作動を特徴としています。また、本格的なスポーツ・エンジンと同等のパフォーマンス、高回転域でのパワー、最高速度も同時に実現しています。V4グランツーリスモの最高出力は170ps(125kW)@10,500rpm、最大トルクは125Nm(12.7kgm)@8,750rpmです。このエンジンは、厳格なユーロ5規制に適合しています。

ドゥカティ 新型エンジン「V4グランツーリスモ」を公開 記事3

V4グランツーリスモ・エンジンの重量はわずか66.7kgで、ムルティストラーダ1260に搭載されているテスタストレッタ2気筒エンジンよりも1.2kg軽量です。V4エンジンならではのパフォーマンス、重量および寸法要件のすべてを満たすため、排気量は1,158ccに設定され、非常に軽量かつコンパクトなユニットに仕上がっています。先代モデルのエンジンと比較した場合、V4グランツーリスモの寸法は、85mm短く、95mm低く、20mm幅広くなっています。コンパクトなレイアウトにより、ドゥカティのエンジニアは、エンジンをフレーム中央のより理想的な位置に搭載して、モーターサイクルの重心にプラスの影響をもたらすことが可能になりました。

V4グランツーリスモには、ドゥカティがレースの世界で蓄積した数多くのテクノロジーが投入されています。その一例が、カウンター・ローテーティング(逆回転)クランクシャフトです。このクランクシャフトは、ハンドリングと俊敏性を向上させ、加速時のピッチングを低減します。力強いトルクとスムーズな作動を実現する「ツインパルス」テクノロジーも、レースの世界からフィードバックされたものです。

V4グランツーリスモは、リア・シリンダーから発生する熱の影響で快適性が低下するのを防止するため、アイドリング時に、リア・バンクの作動を休止する機能を採用しています。それにより、モーターサイクルが停止すると、リア・バンクの作動が休止し、シリンダー内の燃焼プロセスが停止して、燃料消費量を削減しながらエンジンの温度を下げることで、ライダーとパッセンジャーの快適性を向上させます。

V4グランツーリスモの主要なテクニカル・データ

・排気量/1,158cc、4気筒、90°V型4気筒エンジン
・ボア×ストローク:83×53.5mm
・圧縮比/14.0:1
・最高出力/170ps(125kW)@10,500rpm
・最大トルク/125Nm(12.7kgm)@8,750rpm
・ユーロ5規制に適合
・チェーンとギアを組み合わせたバルブ駆動システム、ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト(DOHC)、気筒あたり4バルブ
・カウンター・ローテーティング(逆回転)・クランクシャフト、クランクピン・オフセット:70°
・湿式多板アンチパター(スリッパー)・サーボ・クラッチ
・セミ・ドライサンプ潤滑システム、オイルポンプ×3(デリバリー×1、リターン×2)
・4つの楕円形スロットルボディ(直径46mm相当)による燃料供給
・6速ギアボックス、ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)アップ/ダウン・システム
・バルブ・クリアランス調整:60,000km毎
・リア・バンク休止機能

リリース

ドゥカティジャパン株式会社(2020年10月15日発行)

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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