山下剛 = 文 / 磯部孝夫 = 写真 ノーブレスト = 取材協力
「お洒落は足元から」という慣用句を聞いたことがあるだろう。ひょっとすると「靴はその人を映す鏡」というイタリアの格言も聞いたことがあるかもしれない。同じことはオートバイにもいえる。走る力を生み出しているのはエンジンだが、それを大地へと伝えているのはタイヤであり、タイヤを支えているホイールだ。
軽量ホイールの性能的な恩恵は今さら説明するまでもないが、ルックス的な効果もかなり大きく、しかも玄人好みのパーツであることもポイントが高い。要はホイールを社外品に変えていると、スタイリングが引き締まるだけではなく、キャリアのあるバイク乗りからも「ヤルな」と見られるのである。
たとえば、イタリアのITX社が手がけるアルミ鍛造ホイール『MA-5S』は、オートバイの格を確実に上げてくれる逸品だ。技術顧問のマッシミリアーノ・ボガーニ氏率いる4名の精鋭たちの、オートバイにかける情熱を形にしたこのホイールは、性能とコストパフォーマンス、ルックスが高次元でデザインされ、混じり気のない高純度の走りをもたらしてくれる。実際にホイール単体を手で持ってみても、当然ながらノーマルホイールの比ではなく、マグホイールに近い軽さだ。これならハンドリングにも好影響を与えてくれそう。リアホイールのハブ周りの耐久性を考慮した作りも斬新だ。
オートバイはただ走ればいいというものではない。乗り手とオートバイ、そして道と一体感ある走りを実現したい、そんなライダーのためのホイールだ。
【1】国土交通省や自動車技術会、ホイールメーカーが定める規格に準ずるMT型リムを採用。純正部品が採用するダイキャスト製法より薄く仕上がるため慣性モーメントを大きく軽減、ハンドリングも向上。
【2】ディスクフランジを装着しないワンピース構造とし、極限まで肉抜き加工して軽量化を達成。
【3】機能性・耐久性を理想まで追求したハブダンパー。良質なラバーを用いつつ余裕ある容量のためダンパーベアリングの耐久性に優れる。
【4】剛性と軽量化を両立するためスポークは回転方向背面をコの字にえぐった形状を採用。