2018年10月1日に、ドイツのケルンでアメリカのモーターサイクルブランド「Indian Motorcycle:インディアン・モーターサイクル」が2019年に発売予定の新型ストリートバイク「FTR1200S」と「FTR1200」を発表、インターモト2018に出展された。
FTR1200シリーズは、フラットトラックレースで活躍するインディアンのワークスレーサー「FTR750」をイメージソースとしたモデル。フラットトラック(Flat Track)とは、古くからアメリカで親しまれているモータースポーツのことで、現在は「American Flat Track」という名称で全米選手権が行われている。
<写真>右がワークスレーサーのFTR750で、左がFTR1200Sだ。
2017年、インディアンはその選手権の最高峰クラスとなる「AFT Twins」クラスへインディアンワークスチームとして60年ぶりの復帰を果たすと、圧倒的な強さを発揮してワークスライダーのJared Mees(ジャレッド・ミース)選手が年間タイトルを獲得。なんと復帰初年度でチャンピオンとなった。
そして参戦2年目となる2018年も、最終戦を待たずして再びJared Mees選手が年間チャンピオンを奪取。インディアンFTR750は2年連続でアメリカンフラットトラックのシリーズタイトルをもぎ取った、まさに現代最強のフラットトラックマシンなのだ。
今回発表されたFTR1200シリーズは、そのワークスFTR750が持つDNAをストリートバイクに落とし込んだモデルとも言える。ここからはフラッグシップモデルであるFTR1200Sの車体各部詳細について紹介しよう。
専用サス、フルアジャスタブルサス、LCDディスプレイ、エンジンモード切替、トラクション&スタビリティコントロールなどを装備するのがフラッグシップのFTR1200S。スタンダードのFTR1200はこうした装備を簡略化したモデルとなる。
新設計のエンジンは排気量1,203cc、狭角60度の水冷Vツインで、最高出力は120hp(90kW)、最大トルクは115Nm。フラットなトルク特性で低回転から力強さを発揮するという。燃焼室は吸気抵抗を抑えた形状として、ふたつのスロットルボディから混合気を供給。圧縮比は12.5:1と発表されている。
エンジン各部にはマグネシウム合金を多用して、エンジン単体重量の低減を図っている新型エンジン。クランクシャフトは慣性質量を抑えた設計としてレブリミットまで軽快にふけ上がるエンジン特性を実現している。FTR1200Sでは「スポーツ」「スタンダード」「レイン」の3つのエンジンモードを用意し、トラクションコントロールとの組み合わせで様々な走行条件にマッチした出力特性を任意に設定可能だ。さらに、バンク角と連動したスタビリティコントロール、ウィリーコントロールも装備されている。
大きく跳ね上がったサイレンサーを持つエキゾーストシステム。後輪前方にキャタライザーを設けている。トラス構造が印象的なメインフレームはスチールパイプで構成されている。
FTR1200Sのフロントサスペンションはフルアジャスタブルの倒立フォークで、ブレーキにはブレンボ製のラジアルマウントキャリパーを採用。ABSも装備する。
フラットトラックレーサーにならってフロントホイール径は19インチとしている。タイヤサイズは120/70R19で、タイヤにはダンロップが新開発した「DT3-R」を純正装着する。左回りのコースで行われるフラットトラックレース用のタイヤをイメージした「DT3-R」は、同社のストリートタイヤ「K180」にもよく似た左右非対称パターンを採用している。
FTR1200シリーズでは、エンジンパフォーマンスを最大限に高めるためにワークスレーサーFTR750同様にエンジンVバンクの真上にエアクリーナーボックスを設けている。一般的なバイクで燃料タンクに相当する部分の大半はエアクリーナーボックスなのだ。
そのため燃料タンクはシート下にセットされるが、このレイアウトにより低重心化とマスの集中が実現している。シートは薄型だがパッセンジャーエリアも設けてあり、タンデム走行が可能。タンデムステップはシートレールに装備している。
車体右側にオフセットしたリアサスペンションはピギーバック式で、プリロード、伸び側・圧側減衰調整が可能なフルアジャスタブルとしている。見たところリンクレスの直押し式のようだ。
6速ミッションとなるFTR1200シリーズは、駆動方式にチェーンドライブを採用。スイングアームはスチールチューブだ。スイングアーム後端から後ろへ伸びているのはナンバープレート&リアフェンダーのステーで、こちらもしっかりとした作りのスチールパイプとなる。リアホイール径は18インチで、タイヤサイズは150/70R18となる。
FTR1200シリーズではすべての灯火類をLEDとしていることもトピック。ヘッドライトユニットは個性的なレイアウトだ。
まさに「トラッカーバー」という表現がぴったりのバーハンドルは、ProTaper社のアルミテーパーバーを採用。左側のスイッチボックスには、モード切替やクルーズコントロール用のファンクションボタンが配置されている。
Bluetoothを介してスマートフォンとも連携可能なデジタルメーターは、4.3インチのLCDタッチパネル式。画面には速度、回転数、時刻などの情報のほかエンジンモードやトラクションコントロールについても表示される。また、ユーティリティ機能として車体にはUSB急速充電器も標準装備している。FTR1200ではシンプルな指針式単眼メーターを採用する。
2019年上半期にデリバリーが開始されるFTR1200シリーズは、FTR1200SとFTR1200の2機種が設定されている。カラーバリエーションは、FTR1200Sで3種類、FTR1200では1種類。
FTR1200S<Race-Replica Paint Scheme>
「レース・レプリカ・ペイント・スキーム」は
その名の通りワークスレーサーFTR750のレプリカカラーという位置づけだ。
FTR1200S<Indian Motorcycle Red / Steel Gray>
インディアン・モーターサイクル・レッド/スチール・グレイ
FTR1200S<Titanium Metalic / Thunder Black Pearl>
チタニウム・メタリック/サンダー・ブラックパール
FTR1200<Thunder Black>
サンダー・ブラックパール
日本仕様の導入時期、価格などは現段階では不明だが、詳細が分かり次第お伝えする予定だ。
情報元=Indian Motorcycles
Text=RyoTsuchiyama