私はなるべく他人に「バイクっていいよ。バイクに乗りなよ」とはいわないようにします。家の前でバイクを洗っていると、近所の小学生が遠巻きにみているのですが、「またがってみるかい」と、声をかけることはありません。
バイクは事故を起こすと大きな被害を受けるので、軽々とはすすめられないからです。
しかし、やはり、バイクはいいものです。
そこで、こうしてみましょう。
私が、中学3年の私にバイクをすすめてみるのです。
私は中3の私に、まずはバイク雑誌を読むことをすすめますね。そして高校に入ったらすぐにバイトをしてお金を貯めるようにいいます。やっぱりバイクは自分のお金で買ったほうがいいからです。
バイトはガソリンスタンドがいいのではないでしょうか。仕事をしながらエンジンの仕組みがわかるからです。
週3日、1日4時間、なら、学業とバッティングしないでしょう。時給900円で働くと、1週間で10,800円になります。
1年間は52週あるので、全額貯金すれば年561,600円になります。
私のNSR250Rは1989年製で、2015年に買ったときの車体価格が31万円でした。諸費用込みで大体40万円くらいです。その後、大小3つの故障があり、その修理費は12万円くらいでした。
したがって、貯金が561,600円あれば、親から少し援助してもらえば、免許を取って中古のバイクを買うことができます。
高校生でバイクに乗れば、一生「高校のときにバイクに乗っててさあ」といえます。
バイクは、ライダーが手と胴と足の間にエンジンを抱える構造になっています。エンジンは気筒数と回転数にもよりますが、1秒間に100回くらいガソリンを爆発させています。
だからバイクを乗ることは、爆発を抱えて走る行為なのです。いかにも若者らしいと思いませんか。
私は16歳でバイクに乗りました。それから4年ぐらい乗ってバイクを降りました。
その後、45歳でNSR250Rでリターンしてきました。いま49歳なので、リターン後、もう4年も乗っています。
若いころに乗っていなかったら、50歳近くになって「バイクに乗ろう」とは発想しなかったと思います。だから心底、若いころに「バイクの洗礼」を受けておいてよかったと思っています。
50歳近くになってもまだ爆発を抱えて走っていると、大袈裟ではなく「生きている実感」を持てるのです。
この歳になると、老眼になって、酒の量が減っても、意味なく朝早く起きるようになります。そして闘争心が減り、妙に丸くなり、妥協しても葛藤(かっとう)せず、プライドの切り売りもできるようになります。
しかしバイクに乗っていると「まだまだいけるぜ、俺」と思えるんですよね。
PRIDE(プライド)にはRIDE(ライド、バイクに乗る)が含まれているぜ、なんですね。