多バイカーの勝っちゃん(41歳)が、5台のコレクションのなかからスズキGS1200SSを手放したと聞いたとき、意外な感じがしました。
ちなみに多バイカーとは、バイクを複数台持っている人のことです。
勝っちゃんはGS以外に、ドゥカティ・ポールスマート1000LE、ヤマハYZF-R1、ホンダ・シャドウ400、XL250ディグリーを持っています。
なぜ私が意外に感じたかというと、勝っちゃんはGSを気に入っていたと思っていたからです。私も勝っちゃんのGSをみて、「こんな格好いいバイクがあったんだ」と気づかされました。
GSは2002年に突如現れ、あまり注目されることなく生産が中止になり、その後評価が高まり、いまでは中古車が新車時より高い値段で取引されているカルトバイクです。
スズキはすでに油冷エンジンをあきらめていて、スーパースポーツにもメガスポーツにも水冷エンジンを積んでいました。それにも関わらず、わざわざ古い油冷のエンジンを引っ張り出してきて、それに1980年代の耐久レーサーのようなぽっちゃりしたカウルをつけてGSをつくったのです。
私は、GSは禁じ手だと思っています。カスタムショップがこのようなバイクを提案するのは理解できます。しかし、スズキのような巨大メーカーが「セルフコピー」のようなバイクをつくってしまうのはいかがなものかと思います。しかも1200ccという大排気量バイクのジャンルで。
しかしだからこそ、GSには禁断の果実の香りが漂います。
勝っちゃんがGSを手放した理由は明確で、「懐古主義で走るバイクならポールスマートがあるし、走りの鋭さならR1があるから」です。
なるほど。
1台だけ選ぶなら、オールドスタイルで現代的な走りができるGSは万能ですが、勝っちゃんのような多バイカーは「一点豪華主義」バイクを持つことができるので、GSのようなオールマイティなバイクは要らないということなんですね。