私のNSR250Rは1989年製ですので、もう29年も経過しています。3年前に31万円で買ったのですが、買ったときからとても良い状態でした。前オーナーが大切に乗っていたのでしょう。
私はこのNSRを、いま住んでいる北海道釧路市のバイクチェーン店で購入しました。NSRを買うにあたって、私は店長に「コミコミ50万円、極力改造箇所が少なく、社外ステッカーはゼロだと嬉しい」とかなり無理な注文をしました。
1週間後に店長から電話があって店に行くと、このNSRの写真を見せてもらいました。
「これ、サバイバーです」
店長はそう言いました。サバイバー(生き残り)とは、奇跡的に良好な保存状態で見つかる古いバイクのことだそうです。
店長は大げさなことを言わない方なのですが、「アサオカさんのためのバイクですよ、これ」とまで言い切りました。私はすぐに「取り寄せてください。これを買います」と答えました。
もちろん、傷はところどころにありました。
目立つ傷は、フロントカウルの右ナックルカバー部分とホイールのペンキ剥がれと、右ミラーの根元が割れていたくらいでした。しかし「目立つ」といっても、オーナーになってよくよく観察すればわかる程度で、ほとんど気になりません。
NSRは5世代あるのですが、私の89年型NSR(MC18後期)はそのなかで最も地味な存在です。
初代のNSRはMC16といい、これは宿敵TZRを打ち負かした実績があります。
2代目のMC18前期は「88(ハチハチ)」の異名を持ち、NSR史のなかで最もインパクトがあるモデルです。
私の89は3代目にあたります。88を正常進化させたものですから、実質的には88を上回っていますが、型式は88と同じMC18ですし、見た目も88と見分けがつきません。
4代目のMC21は、NSRのなかで最も完成度が高いとされています。リアシートがスリムになって攻撃的な印象が格段にアップしています。
5代目のMC28は、自主規制で馬力が落ちているのですが、しかし最終型なので保存状態がよい個体が多いため中古市場で人気が高く、中古でも軽く100万円を超えてきます。
私は89NSRのオーナーなので「NSR250Rは5代ある」と言いたいのですが、しかし89を88のマイナーチェンジとみなし「NSR250Rは4.5代だ」と言う人もいます。
しかし89NSRにはほかのNSRにない魅力がたくさんあります。それを次回紹介します。