ブレンボが2023シーズンに MotoGP/Moto2/Moto3 で使われるブレーキシステムの詳細を発表(動画あり)

掲載日: 2023年03月31日(金) 更新日: 2023年03月31日(金)
この記事は2023年3月31日当時の情報に基づいて制作されています。

ディスク、キャリパー、マスターシリンダーなど、ブレンボのMotoGP、Moto2、Moto3向け2023年ブレーキシステムについて

ブレンボが2023シーズンのロードレース世界選手権  MotoGP・Moto2・Moto3 クラスに採用されるブレーキシステムの詳細を発表した。本年度も MotoGP クラスには4ピストンキャリパー「GP4」とカーボンディスクを採用。Moto2 クラスには新型4ピストン・フィン付きキャリパー、Moto3 クラスには2ピストン・フィン付きキャリパーが採用されており共にフィン付きスチールディスク、およびスタンダードディスクが組み合わされるという。

ディスク、キャリパー、マスターシリンダーなど、ブレンボのMotoGP、Moto2、Moto3向け2023年ブレーキシステムについて

ブレンボは8シーズン連続でMotoGPの全ライダーにカスタマイズした製品を供給。Moto2では新型キャリパー、Moto3では新ソリューションが登場。

ステッツァーノ(イタリア)、2023年3月21日―2023年、ブレンボは来る第22回MotoGP世界選手権に参戦する全22名のライダーにカスタマイズしたブレーキシステムを供給する予定です。Moto GP / 500cc時代を含む最高峰47回の世界選手権の中で、ブレンボのブレーキを搭載したマシンはライダーチャンピオンシップ34勝、コンストラクターズチャンピオンシップ35勝を達成、さらに主要チームとともに500回を超える勝利をGP戦で挙げました。

参戦する11チームは、ブレーキキャリパー、カーボンディスク、ブレーキマスターシリンダー、クラッチマスターシリンダー、パッドなどのパーツにおいて、今回もまた高性能・信頼性・安全が約束されたブレンボの製品に勝利を託すことを決定しました。

2023年シーズン、ブレンボは技術的ソリューションを幅広く取り揃え、各ライダーのライディングスタイル、サーキット、レース戦略に合わせた最適なブレーキシステムのカスタマイズを可能にします。

MotoGPにおけるブレンボのブレーキングシステム―特徴と技術詳細

参戦する全ライダーは、2020年登場のMotoGP選手権専用4ピストンキャリパー、「GP4」を使用します。GP4は無垢のアルミニウムインゴッドから切削加工されたモノブロックキャリパーで、ラジアルマウントと4ピストンを特徴とします。外側にフィンを設けるなど各種の革新的な機能を組み合わせるデザイン設計により、制動時のトルク向上を図り、さらにアンチドラッグシステムを備えています。

ディスク、キャリパー、マスターシリンダーなど、ブレンボのMotoGP、Moto2、Moto3向け2023年ブレーキシステムについて

補完する力を発生させることでブレーキフルードの油圧によりピストンに加わる圧力を高め、同じ力でブレーキレバーを操作しても、より高い制動力が得られるという仕組みです。一方、アンチドラッグシステムのスプリング機構により残留トルクが減少し、パッドとディスクの接触によるマシンの減速を防ぎます。

ディスクについては、ブレンボは各チームに幅広いカーボンブレーキディスクを提供しています。直径は5種類あり、それぞれにハイマスとスタンダードマスがあります。これらの組み合わせで、合計10種類のソリューションが可能になります。

大多数のライダーは直径340mmのディスクを選択し、その中でハイマスかスタンダードマスを選択すると見られています。ただし、一部のチームでは引き続き両タイプともに直径320mmのディスクを採用する可能性があります。

ディスク、キャリパー、マスターシリンダーなど、ブレンボのMotoGP、Moto2、Moto3向け2023年ブレーキシステムについて

ディスクのラインナップで特に注目したいのがベンチレーテッドディスクです。2種類の直径(340mmと355mm)から選択可能となります。直径355mmのものは、2022年の選手権からブレンボのラインナップに加わった最新イノベーションです。この2種類のソリューションは、スピルバーグやもてぎ、セパン、ブリーラムといった、ブレーキシステムにとって非常に過酷なサーキットに臨むマシンに特化して開発されました。

ディスクの厚さは直径にかかわらず8mm、重量は直径と適用される仕様によって異なり、1kgから1.4kgとなります。MotoGP用ブレーキシステムの総重量は、フロントとリアで約5.5kgです。

カーボンディスクの動作温度は、250°C~850°Cである必要がありますが、ブレンボは、カーボンの3つのメリットを挙げています。それは、バネ下重量の低減、ブレーキング開始からリリースまでの安定した摩擦係数、スチールディスクにみられる残留トルクの問題がないことです。

グループのSBSフリクションとホタ・ホアンブランドとともに、Moto2およびMoto3への参加も確定

ポルティマオでのテストを経て、ブレンボはMoto2およびMoto3においても、ブレーキングシステムをリードする立場を確立しました。2023年のMoto2に参戦する15チーム・Moto3に参戦する14チームの100%にキャリパー、約50%にスチールディスク、80%にパッド、90%にマスターシリンダー、30%近くにマルケジーニ製ホイールを供給する予定です。

Moto2において、MotoGP由来の設計と技術による新型4ピストン・フィン付きキャリパーが登場。このキャリパーと、2021年の選手権で登場した、同じくフィンのあるMoto3向け2ピストンキャリパーとで、3つのレースにおけるフィン付きキャリパーのラインナップが更新・完成されます。ディスクについては、Moto2とMoto3の両クラスでサーキットの過酷さに合わせてフィン付きスチールディスクまたはスタンダードディスクを選択することになります。どちらのクラスでも、動作温度は100°C~650°Cを維持する必要があります。

ディスクの重量はMoto3で約0.5kg、Moto2では1.3kgと、小さいサイズのディスクと比較して約3倍となります。ブレーキングシステムの総重量はフロントとリアで、Moto2向けは約6kg、Moto3向けは4.5kg前後です。

ディスク、キャリパー、マスターシリンダーなど、ブレンボのMotoGP、Moto2、Moto3向け2023年ブレーキシステムについて

2021年にブレンボグループに加わった2つのブランド、SBSフリクションとホタ・ホアンでも、Moto2およびMoto3の一部チームに供給を行っています。SBSフリクションはオートバイ・スクーター・ATVおよびUTV・自動車・産業分野における、アフターマーケット向けブレーキパッドと摩擦材の開発・製造・販売をリードしています。また、ホタ・ホアンはオートバイ産業向け金属メッシュブレーキホースおよびブレーキシステムパーツの開発・製造のリーダー的存在です。

マルケジーニホイール

2023年シーズンは、11チーム中8チームがマルケジーニ製鍛造マグネシウムホイールを採用します。マルケジーニ製ホイールは、フロントが5本または7本のY字型スポーク、リアが7本のスポークです。ブレンボグループの一員であるマルケジーニ製の軽量ホイールは、加速時や方向転換時に加え、コーナー進入の際の制動や大きなバンク角(最大60°)でのコーナリング、フルスロットルでのコーナー立ち上がりといった、マシンが傾く非常に重要な場面でその軽さによるメリットを発揮します。

ディスク、キャリパー、マスターシリンダーなど、ブレンボのMotoGP、Moto2、Moto3向け2023年ブレーキシステムについて

リリース

株式会社ブレンボ・ジャパン(2023年3月7日発行)

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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