【ドゥカティ】可変バルブタイミングの新エンジン発表

掲載日: 2014年10月17日(金) 更新日: 2014年10月17日(金)
この記事は2014年10月17日当時の情報に基づいて制作されています。

リリース = ドゥカティジャパン株式会社

ドゥカティは、新開発エンジン『ドゥカティ・テスタストレッタ DVT(デスモドロミック可変タイミング)』を発表した。バイクでは初となる吸気、排気両カムシャフトにバルブの開閉タイミングを制御する機構をもつ。新エンジンのスペックは、排気量1,198ccで160psを出力するという。

可変タイミング
以下リリースより
2014年10月16日


Ducati Testastretta DVT
ドゥカティ・テスタストレッタ DVT(デスモドロミック可変タイミング)発表

ドゥカティは、インテークおよびエグゾースト・カムシャフトの両方に可変タイミングを搭載した最初のモーターサイクル用エンジンを発表します。ドゥカティ・テストストレッタDVT、デスモドロミック可変タイミングと名付けられたドゥカティの新しいエンジンは、インテークおよびエグゾースト・カムシャフトの両方に可変タイミングを搭載する世界初のデスモドロミック・エンジンで、まったく新しいエンジン世代の方向性を示しています。この画期的な新しい設計は、現在量産されているモーターサイクル・エンジンの技術的な壁を克服し、革新的エンジンとモーターサイクル・テクノロジーにおけるドゥカティの高い開発力を強調するものです。可変タイミング・システムは、インテークとエグゾースト・カムシャフトを個別に制御することで、バルブ・タイミングを連続的に調整します。このシステムは、より高いパワー、スムーズな出力特性、低回転域での力強いトルク、低燃費を実現するため、あらゆる回転域と作動条件でエンジン性能を最適化します。Euro-4 排ガス規制に完全に適合するDVTは、パワー、出力特性、扱い易さの点で、モーターサイクル用エンジンの新たな基準を設定します。

ドゥカティ・テスタストレッタ DVTエンジンの特徴
?新設計 DVT(デスモドロミック可変タイミング)システム
?ボア/106mm×ストローク 67.9mm
?排気量/1,198cc
?最高出力/160HP/9,500rpm
?最大トルク/136Nm/7,500rpm
?デスモドロミック・バルブ開閉システム
?デュアル・スパーク(DS)イグニッション
?アンチノック・センサー
?Euro-4 適合

可変タイミング

新世代のエンジン
インテーク・カムシャフトとエグゾースト・カムシャフトのタイミングを独立して制御することで、ドゥカティ・テスタストレッタDVTエンジンは、低中回転域でのパワーを犠牲にすることなく、高回転域での最高出力を引き上げ、スムーズな作動、滑らかな出力特性、そして高いトルクを発生しています。これによって、常に排ガス基準に適合し、燃料消費量を削減しながら、エンジン回転数に応じた最適な特性を実現しています。この新エンジンを設計する際に、その「キャラクター」を決定するもっとも重要なパラメーターは、インテークおよびエグゾーストバルブのオーバーラップをどのように設定するかということでした。オーバーラップ・アングルとは、クランクシャフト回転の間隔で定義され、「°」で表わされます。この間、インテークおよびエグゾーストの両方のバルブが同時に開いています。オーバーラップは、エグゾーストバルブのストローク終了時とインテークバルブのストローク開始時に発生し、通常は単一の値で変化することはありません。しかし、テスタストレッタ DVTの、バルブ・オーバーラップ・アングルは決まった値に固定されることはありません。ドゥカティ・テスタストレッタDVTのオーバーラップ・アングルは、DVT(デスモドロミック可変タイミング)システムによって変化することができます。バルブは、各シリンダーヘッドの 2本のカムシャフト端に装着されたバルブ・タイミング・アジャスターによって制御されます。DVTシステムは、カムプーリーに固定された外部ハウジングと、カムシャフトに接続され、ハウジング内で自由に回転することのできる内部メカニズムによって構成されています。この内部メカニズムの回転(進角または遅角)は、特殊なチャンバー内の油圧が変化することによって精密に制御されます。この油圧は、専用のバルブによって調整され、各カムの作動タイミングは、カムカバーに設置されたセンサーによって動的に制御されます。

「デスモ」の魅力
ドゥカティ・テスタストレッタDVTエンジンには、ボローニャを本拠地とし、世界的に有名なモーターサイクル・メーカーであるドゥカティ独自のバルブ駆動システムが採用されています。この独自のシステムにより、インテークとエグゾーストバルブは、開く時とまったく同じ精度で機械的に閉じられます。デスモドロミックとは、ギリシャ語の「デスモス(desmos)=リンク」と「ドロモス(dromos)=ストローク、トラベル」に由来し、バルブの開放と閉鎖の両方を機械工学的に作動させることを意味しています。すべてのドゥカティ・モデルに採用されているこのエンジンは、Ducati Corseが参戦しているスーパーバイク世界選手権や、MotoGPにおけるデスモセディッチ・レーシングマシンでも大きな成功を収めています。DVTを開発するにあたって、デスモドロミック・バルブトレーンは、一般的なスプリング・ベースのバルブタイミング・システムに対して大きなアドバンテージを発揮します。デスモドロミックでは、バルブスプリングを押し下げる必要がないため、エンジン低回転域においてより少ない力でバルブを作動させることができ、カムプーリーのサイズを小さくすることが可能になりました。これによって、エンジンの軽量化とコンパクトな設計という大きなメリットが生み出されるのです。

可変タイミング

全回転域で力強いトルクを発生
新開発されたドゥカティ・テスタストレッタDVTエンジンのボア×ストロークは 106mm×67.9mm、排気量は1,198cc、最高出力は160HP/9,500rpm、最大トルクは136Nm/7,500rpm で、その出力特性は完全にリニアなパワーカーブを描いています。3,500rpmという低い回転域から80Nmのトルクを発生するこのエンジンは、5,750~9,500rpmで100Nmを超えるトルクをコンスタントに発生し続けます。パワーが引き上げられたにもかかわらず、可変タイミング・システムが搭載されていない従来のエンジンと比較して燃料効率が向上し、燃料消費量は平均8%削減されています。ドゥカティの継続的な研究・開発努力は、インジェクション・システムにも適用されています。フューエル・インジェクターは、従来の(表面温度が低い)インテークポートから、(表面温度が高い)インテークバルブ背面へ直接燃料を噴射するように、位置が見直されました。その結果、燃料の気化が促進されて燃焼効率が向上し、よりスムーズな作動が実現しています。テスタストレッタDVTには、各シリンダーヘッドに2本の点火プラグを備えるデュアル・スパーク(DS)システムが採用され、2か所で点火することにより、極めて短時間に完全な燃焼を実現しています。各点火プラグは独立して制御され、全回転域およびあらゆる作動条件において、燃焼効率を最適化しています。アンチノック・センサーは、低いオクタン価の燃料を使用した場合や、燃焼効率に悪影響を与える状況(例:高い標高)などでも、安全なエンジン作動を実現しています。よりスムーズな作動サイクルを達成するため、ドゥカティは、特別なハイパフォーマンス・エンジンに採用されているものと同様のセカンダリー・エア・システムも採用しています。このシステムは、未燃焼の炭化水素の酸化を促してHCおよびCOレベルを削減することによって、エミッションを増加させることなしに、燃焼を最適化しています。

あらゆる条件に適合
このような特性により、テスタストレッタDVTは、ドゥカティLツイン・エンジンの新たな基準を設定し、最高出力、スムーズな出力特性、低回転域でのトルク、低燃費、エミッションの削減といったすべての面において、新しい革新的な数値を達成し、もっとも技術的に進化したデスモドロミックLツイン・エンジンとして傑出した存在となっています。ドゥカティ・テスタストレッタDVTシステムは、バルブクリアランスの点検・調整間隔についても一切妥協することはありません。実際、主要なサービス・インターバルは、オーナーに優しい30,000km毎となっています。このエンジンは、優れたパフォーマンス、ユーザーフレンドリーな扱いやすさ、安全性とエキサイティングな走りを常に提供しながら、幅広い走行条件で使用することが可能です。

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(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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