取材協力/本田技研工業株式会社
取材・写真・文=河合宏介
日本GP参戦マシンを中央にして、写真左がレプソル・ホンダ・チーム #1 トニー・ボウ選手、そして右は同チーム #5 藤波貴久選手。
7年連続世界チャンピオンの王者トニー・ボウ選手
追撃主は開幕戦の初日に優勝した藤波貴久選手
2014年4月23日に、Hondaウェルカムプラザ青山(東京・青山)で「2014 FIM トライアル世界選手権 第2戦 STIHL 日本グランプリ(以下日本GP)」に参戦するレプソル・ホンダ・チームのトニー・ボウ(Toni Bow)選手と藤波貴久(ふじなみ たかひさ)選手の公開記者会見が行なわれました。そこでの主な質疑応答を紹介します。
■4月12・13日の開幕戦オーストラリアGPでは、1日目に藤波が優勝、2日目はトニーが優勝したことについて。
藤波「誰も予想しなかった優勝ができて、ファンやスタッフに嬉しいサプライズができて良かった。いいスタートだと思います」
トニー「1日目はシーズン初日だったので手こずりました。しかし2日目は圧倒的な点数差で優勝できました」
■2014年から「レプソル・ホンダ・チーム」というワークス体勢で参戦になったことについて。
藤波「勝たないといけないという重圧はありますが、今までより強力な体勢なので感謝しています」
トニー「子どもの頃からの夢だった、憧れのワークスチームに入れたことは非常に嬉しいことです」
■お互いの印象をどう思っている?
藤波「一緒に練習したりするライバルですが、プライベートでは一緒に遊びに行ったり家に泊めてもらったりするほど仲良しです」
トニー「今年はより手強いライバルになりましたが、素晴らしく頼りになる友人であることに変わりはありません」
■2年目のノーストップルールはいかがでしょう?
藤波「流れるようなきれいな走りはできますが、オブザーバーやセクションにより判定が異なる点が難しいです」
他のモータースポーツに比べて、トライアルはライダーとオーディエンスの距離が近く、声や表情がわかる位置から観戦できるのが大きな特徴といえます。もちろん、ライダーにも観客の声援は届いています。そうした環境によって生み出される選手と観客の一体感を味わえることが、トライアル観戦の大きな魅力といえるでしょう。よりコンパクトで観戦しやすいセクションへと毎年進化を続けているもてぎというフィールドを、世界屈指のライディングテクニックをもつライダーたちがどう攻略するのか楽しみです。
【 レース情報 】
■大会名称/2014 FIM トライアル世界選手権 第2戦 STIHL 日本グランプリ
■開催日/2014年4月26日(土)・27日(日)
■主催/一般財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)/株式会社 モビリティランド
■冠協賛/株式会社スチール
■公認/国際モーターサイクリズム連盟(FIM)
■後援/文部科学省/観光庁/栃木県/茂木町
■協力/MFJ加盟団体 関東モーターサイクルスポーツ協会/エムオースポーツクラブ(M.O.S.C)
「ライバルも力を付けているので難しいですが、8回目の世界タイトルを目指して、ファンとチームのためにベストを尽くして戦います」と意気込みを語るトニー選手。
「今年は34才です。いまだに20代の頃のように緊張しますが、緊張の質は違うと感じます。みんなの期待をパワーに変えて、優勝できるように全開で走りたいと思います」と藤波選手。
お互いの印象を聞かれ「プライベートでも仲はよく、日本GPの後は3日間一緒に日本を観光する約束をしています」と、トニー選手がそう答えた瞬間、今日一番の笑顔を見せた。
日本GPでトニー選手の乗る「COTA 4RT」は、全長2010mm×全幅830mm×全高1135mm、70kg以下という車両重量。
フロントはミシュランのトライアルコンペティションライトを履く。
水冷4ストローク、OHC4バルブ単気筒で17kW以上の最高出力を発揮するエンジン。排気量は公表されていないが、推定300ccちょっとくらい。
リアはフロントと同じトライアルコンペティションライトだがチューブレス。サイズは120/100-18インチ。
ラジエーターは破損防止のために、フレームの間に収まるサイズになっている
会見のMCをつとめた小林直樹さんは「日本GPの会場では、トライアルを全く知らない人でも分かるように、私がずっと喋りっぱなしで解説します」と宣言。
全日本トライアルに参戦中で、現在日本ランキング6位のHRCクラブMITANIの柴田暁選手。日本GPにスポット参戦する。
ウェルカムプラザ青山前の小さな広場で、柴田暁選手のトライアルデモンストレーションが行なわれた。