パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち/伊丹孝裕(2)

掲載日: 2013年05月23日(木) 更新日: 2014年06月25日(水)
この記事は2013年5月23日当時の情報に基づいて制作されています。

取材・写真・文=山下剛

アメリカ・コロラドで開催される「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」は、1916年にはじまった歴史ある公道レースで、標高2800m地点をスタートし、4300mの頂上を目指す。ガードレールがない区間も多く、ひとつ間違えれば崖下に真っ逆さま・・・という過酷なレースに今年、2人のサムライが挑む。

埼玉・川口にあるチューニング専門ショップ「JAM」にてRapid Bikeのセッティングと機能設定など、同店代表の成毛浄行さんからレクチャーを受ける伊丹さん(右)。パイクスピークの気圧変化に対応するためのベストな選択だ。

パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち
~ライダー・伊丹孝裕(2)~

サブコンをはじめとしてサスペンションやブレーキのセッティングをするため、袖ヶ浦フォレストレースウェイでシェイクダウンを行った。スピードトリプルRは保安部品を取り外してサブコンの追加とマフラーを換装した以外はほぼノーマルだ。

パイクスピークで勝つためのスピードトリプルR

パイクスピークの2輪クラスは排気量によるクラス分けが細かく設定されている。ダート混在だったこともあり、原則的にオフロードマシンの排気量に沿っているが、伊丹さんが参戦するのは2輪最高峰となる「1205クラス」だ。

「750クラスも考えたんですが、CBRやGSX-Rなどが出ていて混戦になりそうな感じがしたんです。でも1205クラスはドゥカティ・ムルティストラーダ1200が毎年エントリーしていて、コースレコードを持っている。さらにエントリーしているマシンの多くが2気筒なんですが、レギュレーションでは3気筒まで出られるんです。それなら3気筒の優位性を生かしたレースができるんじゃないかと」

そこで伊丹さんが選んだのが、トライアンフ・スピードトリプルRだ。水冷並列3気筒1050ccのエンジンに、前後オーリンズ製高性能サスペンションを装備。ブレーキもブレンボ製ラジアルマウントキャリパーを装備する上位グレードだ。パイクスピークは公道レースだから、そうした高性能パーツを標準装備するスピードトリプルRは、ベースマシンとして最適な選択だった。

「サスペンションもブレーキもそのままだし、外観をパッと見ただけだとほぼノーマル状態です(笑)。チューニングのメインはインジェクションセッティングで、Rapid Bike(サブコン)を入れて燃調マッピングを現地の気温や気圧に合わせられるようにしてます」

Rapid Bikeは最適な燃調を学習する機能を持っており、マッピングを随時書き換え、変更していく。それを基にしながら微妙なセッティング調整をマニュアルでセットしていくという。これについてはRapid Bikeを取り扱うチューニングのプロショップ「JAM」が豊富なデータを基に手がけた。

「タイヤについてはスリックも考えたんですけど、いかんせん情報が足りなくて実際に走ってみないとわからないことが多すぎるんです。気温や気圧にどう対応するかがむずかしく、スリックタイヤとタイヤウォーマーを前提にしてしまうと、外したときのリスクが大きいと判断して、ストリートタイヤで行くことにしました。あとは現地での練習走行と予選で、どれだけデータを取っていけるかですね」

4月末には袖ヶ浦フォレスト・レースウェイでシェイクダウンをし、リセッティングが必要な項目を洗い出した。マシン製作はトライアンフでのレース活動経験のある「トライアンフ横浜北」が担当。もちろんその経験を見込んでのことだが、それ以上に伊丹さんの挑戦する心意気に社長の那波誠さんが共感、全面的なバックアップとなったのだという。トライアンフ横浜北の協力なしに、この挑戦ははじまらなかっただろう。

「渡辺さんもそうですけど、僕の場合もエントリーが受理されたのが2月というタイミングだったのでマシン準備やら何やらでバタバタとしてしまいましたが、ようやくマシンもできあがって船便で送るための梱包も済みました。あとは現地での練習と予選でどれだけマシンのセットアップをできるか、レースに順応できるかですね」

標高の高い場所でのレースのため、気圧変化に対応できる体づくりも必要だが、これについては「なるべく早く現地に入って体を慣らす」ことにし、渡米までは体力作りに専念していくそうだ。伊丹さんの渡米は6月10日を予定しており、15~16日の練習走行と25日からはじまる予選走行で体制を整え、6月30日の決勝に挑む。

シェイクダウンで笑みを浮かべる伊丹さん。この日は一般ライダーのフリー走行に混ざってのシェイクダウンだったため、パイクスピーク参戦を知るライダーからも激励の言葉をもらい、ますます意気盛んの様子だった。

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(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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