オートレース第32期選手候補生入所式レポート

掲載日: 2012年10月26日(金) 更新日: 2013年12月10日(火)
この記事は2012年10月26日当時の情報に基づいて制作されています。

取材協力 = 財団法人JKA

2012年10月9日に、茨城県の筑波サーキット内オートレース選手養成所で第32期選手候補生入所式が行なわれた。式に臨んだ選手候補生は20人(うち女子5人)は、749人の応募者から選ばれた逸材たちだ。候補生に挨拶を贈った財団法人JKAの石黒克巳会長は、公営競技全体が伸び悩む中で「良いレースをすることが、オートレースを盛り上げることになる」と選手たちを激励。凛とした空気が包む厳粛な式の中で、候補生らは一流のオートレーサーとなるための決意を一層強めていたようだった。

まとめ/バイクブロス・マガジンズ編集部 野呂瀬

オートレーサーをめざす20人の新星。女性候補生は5人
今期の女子合格者は5人で、唯一の女子特例合格者である2009年女子東洋太平洋スーパーフライ級チャンピオンの藤本梨恵のほか、2008~11年全日本モトクロス選手権レディスクラスで4年連続チャンピオンの益 春奈や、同選手権レディスクラスで2010年に年間6位、2011年には同8位となった岸 萌水(もえみ)が人を連ねている。また、男子候補生にも、スーパーモタードmoto1で2010年に年間チャンピオン、2011年には同2位の松本 康。全日本ロードレース選手権ST600クラスで2009年に年間3位、2011年に同6位の佐藤裕児の2人が特例合格者として入所式に臨んだ。

志望動機には国内モータースポーツの厳しい状況も
女子合格者と特例合格者は、入所式後に記者会見に参加。オートレーサーへの志望動機を聞かれ、「何かに挑戦したかった、そして、勝負の世界で生きていきたかった」(藤本)、「バイクと関わる仕事がしたかった」(岸)といった回答に加えて、「22年間ロードレースで戦ってきたが、この先の人生を考えてオートレースを選んだ」(佐藤)、「職業としてモトクロスを続けることは難しい。これまでの経験を活かせる仕事として選んだ」(益)という、トップクラスのライダーでも自身の将来を描けない国内モータースポーツの厳しい現実を理由にあげたライダーもいた。

バイクで食べていく、レースで食べていくために
候補生たちは、これから9ヵ月間の合宿生活の中で、選手として必要な知識と技能を習得し、選手資格検定に挑むことになる。養成訓練は入所式来賓が祝辞の中で「不条理に厳しいと聞いている」と語るほどのもので、まさしく試練の9ヵ月間となるだろう。しかし、それを見事に乗り越えることができれば、全国のオートレースファンはもちろん、その成績次第では、あらゆるモータースポーツファンも注目する存在になることができるだろう。「バイクで食べていく。レースで食べていく」そんな純粋だが険しい道を走り始めた、彼ら・彼女らの健闘を祈りたい。

(文中敬称略)

■養成所の主な日課
 起床 6:15
 点呼 6:30
 国旗掲揚 6:35
 教練・体操 6:40~7:20
 朝食 7:45
 掃除 8:15~8:30
 訓練 9:00~11:50
 昼食 12:00
 訓練 13:00~17:00
 夕食 18:00
 入浴 18:15~18:45(前班入浴)
     18:45~19:15(後班入浴)
 自習 19:30~20:15
 掃除 20:30~20:45
 点呼 21:00
 消灯 22:00


筑波サーキット内のホールで入所式は行なわれた。選手候補生宣誓をする藤本梨恵

奥・左から、岡谷美由紀、藤本梨恵、松本 康、佐藤裕児
手前・左から、片野利沙、益 春奈、岸 萌水

入所式後は競争車抽選が行なわれ9ヵ月間を共にする車両が受け渡された

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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