バイクブロス×マガジンズ編集部 =文
もうご存知の方も多いと思うが、9月5日に行われたMotoGP第12戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPで、Moto2クラス決勝レースに参戦していた富沢祥也選手(テクノマグ‐CIP)が不幸な事故により亡くなった。
果敢な走りでトップ争いに加わっていた富沢選手は、コーナー出口の縁石ギリギリで立ち上がろうとしたが車体が激しく振られ転倒、不運にもコース上に投げ出された。至近距離で順位争いをしていたため後続車がそれを避け切れず、2台が次々と富沢選手の体に衝突。頭部、胸部、腹部の負傷が確認されたことからサーキットのメディカルセンターで人工呼吸を行い、その後2人の医師が治療しながら近郊のリッチョーネ市内の病院に救急車で搬送、緊急治療を試みたが14時20分に死亡が確認された。富沢選手に衝突してしまった1人、アレックス・デ・アンジェリス選手も「自分の競技人生で最悪の事故だ。ぶつかるなら(富沢選手の)体ではなくバイクにと思って、できる限りのことをしたのだが…。信じられない」とショックを隠し切れない様子だったという。
この事故でMotoGP界は深い悲しみに包まれたが、各ライダーや関係者が富沢選手に対して哀悼の念と共にコメントを寄せている。
【トニ・エリアス】
「この瞬間、みんなが悲しみを感じている。昨日、クリニカ・モービルでショーヤと冗談を交えて話したけど、もう僕たちと一緒にいないと考えると、本当に恐ろしい。彼は僕の人生で決して消すことができない記憶を残した」
【ファウスト・グレシーニ】
「今日のレースは、勝利の喜びを全く味わうことができません。ライダーを失うという意味はよく理解している。彼の家族と彼のチームが今どのような気持ちなのかよく分かる」
【ダニ・ペドロサ】
「気持ちを表す言葉はない。すごく悲しく、恐ろしい。起きてはいけないことだ。彼はとても楽しい存在で、いつもハッピーだった。僅かな時間でみんなからライダーとしての敬意を勝ち得た。速く勇敢だった。」
【ホルヘ・ロレンソ】
「富沢選手に起きたことの後で、レースのことをあまり話す気にならない。今日の事件はとても残念だ。彼はナイスガイで、ストロングなライダーだった。すごく悲しい。彼の家族と友人たちに申し訳ない。」
【バレンティーノ・ロッシ】
「こんなに悲しいことが起きてしまうと、全てがゼロになってしまう。リザルトは重要ではない。本当に申し訳ない気持ちだ。彼は非常にストロングなライダーだったが、なによりも好感をもたれる存在で、いつも笑顔だった。まだ若く、この先に偉大なキャリアが控えていたはずだ。すごく悲しい。」
【ケーシー・ストーナー】
「1週間前のピーター・レンツのアクシデントのように、呼吸が止まってしまうほどの恐ろしいことだ。彼の走りを見ることはひとつの喜びだった。彼のグレートなレースをもっと見たかった。」
【ニッキー・ヘイデン】
「彼の家族とチームのことを考えると…。パドック中がこの悲劇に強烈に打ちのめされた感じだ。結局、僕たちはみんなが兄弟なんだ。ビッグなタレントとグレートなパーソナリティーを持ったライダーを失ってしまった。彼のスタイル、決定力、そしていつも絶えない笑顔が好きだった」
富沢選手は、2006年に全日本ロードレース選手権GP125 クラスにデビュー。同年開催されたWGP日本グランプリ125ccクラスにワイルドカードでスポット参戦を果たし、2008年には全日本ロードレース選手権GP250クラスにステップアップ。ランキング2位を獲得した。さらに翌2009年には活躍の場をWGP250ccへと移し、フル参戦を開始。今シーズンは新設されたMoto2クラスに参戦し、開幕戦カタールで見事優勝を遂げるなど、世界で戦える日本人ライダーとして活躍が期待されていた。
謹んでお悔やみを申し上げますと共に心よりご冥福をお祈り申し上げます。