バイクブロス×マガジンズ編集部 =文/写真
4輪用立体式駐車場の一部が月極めのバイク用駐車スペースとなっている心斎橋のパルクプラッツ。
エンジンを搭載した2輪車、バイクという奇跡の乗り物が現在まで生き長らえてこれたのは、それが実用性と利便性に優れる移動手段であったからにほかならない。もちろん、現代のバイク乗りである我々にとっては趣味性の高さが大きな魅力なのかもしれないが、ホンダ・スーパーカブなどの実用車が戦後の日本や発展途上国の経済的躍進を支えたという歴史を見ても、実用性や利便性がバイクの根源的な存在意義であることは揺るがない事実だ。
しかし、バイクの路上駐車取り締まりが実施され、しかも絶対的な駐車スペース不足という問題に直面して以降、日本のバイク市場が停滞に陥ってしまったのは皆さんご存知の通り。確かに無秩序な路上駐車は制限されてしかるべきだが、特に都市部での駐車スペース不足という問題が解決されない限り、バイクの片翼は折れたも同然。簡便な移動手段としての魅力を失えばバイク市場の停滞も当然のことと言えるだろう。
そして、解決が遅々として進まないこの駐車スペース不足という問題。半ば諦め気味という方も多いのかもしれないが、これを解決しようとする動きも実は官民合同で継続されているのだ。そのひとつが4輪車用の立体駐車場にバイクを駐輪するための自動二輪車駐車システムの共同開発。これは国土交通省の公募に参加するという形で幾つかの企業が進めているものだが、すでに大阪ではテスト的に稼動を開始したシステムも存在する。
キタコが中心となって開発したバイクの固定システムを採用。震度5強の地震でもバイクは倒れないという。
若者の街の心斎橋・アメリカ村にある立体駐車場パルクプラッツ。ここで採用された自動二輪車駐車システムはバイク用パーツなどで有名なキタコが中心となって開発したもので、震度5強の地震に見舞われてもバイクが倒れない安全性を確保しているという。残念ながらこのスペースは月極めで、現段階では時間貸しに対応する予定は無いとのことだが、こうしたシステムが時間貸し立体駐車場にも採用されれば問題解決に向けて大きな一歩となるに違いない。また、立体駐車場は混雑する都市部に多く、比較的バイク盗難が多いエリアでのセキュリティ確保という点でもメリットは大きい。我々バイク乗りとしては1日も早い普及を願うばかりだ。