バイクブロス×マガジンズ編集部 =文/写真
強化された排気ガス規制や騒音規制に対応するため、バイクは年々価格が上昇してきた。特にフューエルインジェクションが搭載されたモデルの値上がりは顕著で、場合によっては10万円前後の価格上昇となってしまったものもあるほど。一昔前なら750ccが購入できた価格帯に400ccクラスが並び、ビッグバイクは当たり前のように100万円を越えている。また、リッタースポーツクラスでは海外メーカー製の輸入バイクと価格差がなくなり、“安価で高性能”という国産車ならではのアドバンテージは失われつつある。また、新車価格の高騰は購買力の弱い若年層を直撃、若者のバイク離れやライダーの高年齢化に拍車をかけているといっていいだろう。「免許を取っても価格が高すぎて…」ではバイク界の未来は暗い。このままバイク需要は先細りする一方なのか…という不安が具体化している中、国内トップシェアを占めるホンダから驚くべき発表が行われた。
「若者離れ」歯止め狙い、ホンダ全二輪車 値下げ(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/atcars/news/20100705-OYT8T00226.htm?from=os4
7月5日の読売新聞で発表された記事によると、ホンダはこうした現況を打破するために全モデルの値下げを決定。今後3年間かけてフルモデルチェンジやマイナーチェンジのタイミングで順次値下げを実行し、10%~30%程度の値下げを断行すると言うから驚きだ。ニュースでは値下げ対象となる車種は発表されていないが、予定どおりに価格改定が行われれば大半の車種は概ね2000年ごろの価格水準へ戻ることになる。現在の経済情勢を考えると、この決断はバイク市場と業界に大きな影響を与えることになるだろう。ホンダのニューモデルがリーズナブルな価格で手に入るようになるのはライダーにとって実に喜ばしいことだ。開発期間の短縮やコスト削減などメーカー側のハードルもかなり高いが、世界最大のバイクメーカーであるホンダならそういった難問もクリアしてくるだろう。また、最大手メーカーが動いたことによって、その他国内外のメーカーも対応を迫られることは必至だ。春から続く新車ラッシュに加え今回の値下げ発表と、何かと話題が豊富なバイク業界。何れにしても、この発表をきっかけとしてバイクを取り巻く状況が良い方向に向かうことを期待したい。