バイクブロス×マガジンズ編集部 ムラヤマ=文
2010年のMotoGPに、大きな変動の波が押し寄せているようだ。ランキングトップ5までを走るライダー顔ぶれは大きく変わっていないように見えるかもしれないが、彼らが所属するチーム単位で捉えると“下克上”とも言える動きが起きていることにお気づきだろうか。2009年シーズンは白熱したシーズンだったが、常に上位をキープしていたのはホンダ、ヤマハ、ドゥカティのワークスチームに所属するエースライダー達だった。しかし、今年は違う。ヤマハのエースであるロッシは、MotoGP3年目の若手ライダー・ロレンソの後塵を拝し、ホンダでは主役であるはずのペドロサがドヴィヅィオーソに抜き去られている。ドゥカティも例外ではなく、昨シーズンは体調を崩しながらも4勝を挙げたストーナーが未だ11ポイントしか獲得していない状況に対し、ヘイデンが開幕以来常に4位をキープし、タイトル争いの一角に食い込んでいるのだ。基本的にチームオーダーは無いとは言え、活躍中の3人はこれまで各チームの2番手的立場だったのだから、これぞまさにMotoGPに再現された“下克上”だろう。
とは言うものの、MotoGPのカレンダー上ではまだまだ序盤戦。アイスランド火山噴火の影響で日本GPが10月まで延期されたため、全18戦中の3戦を終えたに過ぎないのだ。ロレンソに次いでランキング2位につけている絶対王者ロッシ、3位のドヴィヅィオーソの後にはペドロサが控えており、プライド高きエースライダーの彼らがこのままの状況を許すとはとても考えられない。ストーナーはポイントリーダーであるロレンソと59ポイント差、チームメイトのヘイデンとも28ポイントが開いてしまい、チャンピオンシップはおろか、チーム内のライダーの序列を修正するにも相当な困難が伴うだろう。しかも、好調なヘイデンはランキング5位をキープしており、レプソルホンダ時代以来となるチャンピオン獲得の可能性も十分にある。ここ数年上位陣が固定だったMotoGPクラスだが、若手やステップアップ組の躍進が大きな変化をもたらす可能性は大きい。次戦はロッシの得意なサーキットであると同時に、ドゥカティにとってホームとも言えるムジェロで開催されるイタリアGP。ここでも再び下克上が起こるのか、是非皆さんの目で確認して欲しい。
フランスGP決勝レース:J.ロレンソも2連勝を達成(MotoGP.com)
http://www.motogp.com/ja/news/2010/motogp+race+le+mans+lorenzo