バイクブロス×マガジンズ編集部 ムラヤマ=文
トロイ3位!BMW Motorrad初のWSBK表彰台を飾る!
http://www.bmw-motorrad.jp/brand/motorsport/supersport_2010/pdf/20100509.pdf
市販車ベースのレーシングマシンで戦う「スーパーバイク世界選手権」は、欧米では非常に人気のあるレースカテゴリだ。ここでの勝利がそのままメーカーの車輌売り上げに直結するとあって、日本の4メーカーのみならずアプリリア、ドゥカティといったイタリアンメーカーやドイツのBMWも参戦。メーカーの顔ぶれは、2輪ロードレースの最高峰であるMotoGPよりも豪華だと言えるだろう。そして、近年はドゥカティVS日本メーカーといった図式が続いていたが、今シーズンはニューマシンを投入したアプリリアが俄然速さを発揮。また、かつての名ライダー、ロン・ハスラムの息子であるレオン・ハスラムがスズキのマシンでトップ争いに絡んでくるなど、レース展開としても実に興味深い内容となっている。
そんな中、去る5月9日に開催された第5戦でサプライズが起こった。何とあのBMWが列強に混じり、表彰台を獲得したのだ。BMWと言えば、日本では“ツーリングバイクのメーカー”といった認識が強かったが、古くからさまざまなカテゴリのレースに積極的に参戦するなどモータースポーツに熱心な一面も持っている。また、近年では極めてスポーツ性の高いモデルを次々とリリースするなど、そのイメージも転換されつつある。現在のスーパーバイク世界選手権には最新モデルS1000RRをベースマシンとして、2009年からフル参戦を開始。ライダーにはドゥカティでチャンピオンを獲得した経験もあるトロイ・コーサーと、元MotoGPライダーであるルーベン・ザウスを起用しているが、当初は「さすがのBMWも容易に表彰台に立てないのでは」と言う予想が支配的だった。しかし、今シーズンに入ってからのBMWは、昨シーズンの苦戦が嘘のような上り調子。そしてついに、第5戦が行われたイタリアのモンツァ・サーキットでトロイ・コーサーが初表彰台に立ったのだ。
当初から「今年の目標は表彰台に立つことだ」としていたBMWのレーシングチームにとって、この3位は非常に大きな第一歩だと言える。また、強力なライバルに勝るとも劣らないスーパースポーツモデルを生産しうるメーカーであるということを改めて証明したことになる。今シーズンは先行するアプリリアに対して、ドゥカティ、スズキ、ホンダ、ヤマハが食いついていく激しい展開となっているが、そこにBMWという新たな役者が加わったのだ。日・独・伊の3メーカーが火花を散らす、スーパーバイク世界選手権。純粋なレースマシンが戦うMotoGPはもちろん、市販車の頂点を決めるこのレースにも、是非注目して欲しい。