世界生産累計台数1億台突破に王手をかけているホンダ・カブ。そんなカブの歴史に触れることのできるホンダコレクションホール(ツインリンクもてぎ内)で、2017年5月16日にプレス向け「歴代カブ 報道体験試乗会」が実施された。普段は貴重なコレクションとして鎮座している歴代のカブたちが、この時ばかりはエンジンをかき鳴らし準備万端とばかりに発進の瞬間を待っていた。
古いものは1952年生まれ、新しいものでも1967年生まれだが、長い年月を経てなお変わらぬその美しい姿から、どの車両も大切に保管されてきただろうことがうかがえる。「この車両たちに今から乗る」、その興奮と、やらかしたら終わる感がおそらくほとんどの試乗ライダーの心にどっと押し寄せていたであろう。
試乗に際し、1台ずつ車両の説明や発進方法などブリーフィングが行われたが、車両によっては、エンジン始動さえも説明を聞かねばわからないくらいだったり、お馴染みのキックスタートをしたあとも、シフトチェンジのやり方がそれぞれに違ったりで、時代ごとの試行錯誤や技術の研磨を感じることができた。
詳しい走行体験などはバイクブロス・マガジンにて後日記載させていただくが、まずは今回試乗会で活躍してくれた歴代のカブたちをご覧いただこう。
ホンダ カブ F型(1952)
”白いタンクに赤いエンジン”で親しまれた自転車用補助エンジン。全国の自転車店を新規販売網とし、段ボール箱詰め発送を採用するなど、斬新な拡販戦略がとられた。
これがアクセル。というかレバー。上の短いのがチョークで、下の長いのを左方向に動かすとスピードアップ、右方向に動かすとスピードダウンする。
ホンダ スーパーカブ C100(1960)
当時の2輪車のほとんどが2ストロークエンジンを搭載するなか、耐久性や低燃費、扱いやすさなどから4ストロークエンジンを採用。基本的なスタイルを変えることなく、世界各国で長く生産・愛用され続けている。
ホンダ スポーツカブ C110(1960)
「スーパーカブC100」のエンジンに、世界グランプリレーサー・RC系の吸排気技術を加え、高出力を確保。スポーティなアップマフラー、手動クラッチ操作で若者の人気を集めた。
ホンダ ポートカブ C240(1962)
「スーパーカブ」より、さらに大衆向けに開発されたモデル。エンジンは「C100」を基本に新設計、軽量化と装備の簡素化、扱いやすさ等に配慮して低価格を実現した。
ホンダ 90 トレイル CT200(1964)
スーパーカブの持つポテンシャルを生かしたトレイル(不整地)車。豊かな自然が多いアメリカ市場を考慮し、大型ハンドル、キャリアなど装備充実のハンター向けモデル。
ホンダ スーパーカブ C50(1967)
「スーパーカブ C100」発売から8年目、エンジンをOHVから新設計OHCに変更。外観もリフレッシュしてウインカーランプやテールランプを大型化、被視認性の向上を図った。