2018年8月8日は普通の水曜日で、こんな日に北海道の東部を走っている人はこの地に相当強い思い入れがあるはずなので、「道東引力」に吸い寄せられた人を探しに出ることにしました。
道東を走ると砂利の広場を頻繁に目にするでしょう。これは干場(かんば)といい、昆布を干す場所です。
この日の目的地は、カキの養殖で有名な厚岸町です。この地に最近、ウイスキーの蒸留所ができました。この真っ白な建物に黒のゴシック書体でブランド名を描くのは、本場イギリスのウイスキー蒸留所と同じで、とても格好いいです。
道の駅「厚岸味覚ターミナル・コンキリエ」の駐車場に入ると、停まっていたバイクはハーレーFXRSローライダーのチョッパーだけでした。しかも大阪ナンバーです。
道の駅の建物に向かうと、オーナーとおぼしき人がいたので、勇気を振り絞ってインタビューを申し込むと、「いいっすよ」と快諾してくれました。
納谷靖さん(50歳)は、札幌出身で18歳から大阪市に移りました。以来30年以上大阪にいます。今回は8月1日にフェリーで小樽に入り、札幌の実家→稚内→羅臼→根室、そして厚岸に到着しました。
納谷さんは札幌出身にもかかわらず、これまで道東も最北端・稚内も行ったことがありませんでした。羅臼のライダーハウスでごちそうになった魚尽くしの夕食がおいしかったとのこと。ニシン、ソイ、カレイなど地元の魚を刺身、焼き魚、フライなどでいただいたそうです。
人生初の道東の印象は「地獄の寒さだね」。太陽が見えなくなると道東は8月でも寒くなります。
納谷さんは今回、久しぶりに長期の休みが取れ、気分転換のために髪の毛を染め、北海道ツーリングを計画しました。
「何を考えながら走ってきたんですか」と尋ねると、「人生かな」と答えてくれました。
「バイクはどのような存在ですか」と尋ねたら、「一番の楽しみ」と教えてくれました。
2人の娘さんがまだ小さかったころ、かわりばんこにこのハーレーの後ろに乗せ、四国や九州に行ったそうです。ご本人曰く「そのお陰でいまも娘たちと仲がいいんだと思いますよ」。
納谷さんに頼んで、今回の旅の前半の、天気がいいときに撮った写真をいただきました。
納谷さんの話を聞きながら、私も「NSRで道内一周しなきゃならないな」と強く思いました。