【ライターコラム】40代リターンライダー「NSR250R」を買う/その12「完全ノーマルであることの価値」
掲載日:
2018年11月14日(水) 更新日:
2018年11月12日(月)
この記事は2018年11月14日当時の情報に基づいて制作されています。
私が2015年に購入した1989年型NSR250Rは、完璧なノーマル車です。
私のNSRはネジ1本交換されていない無改造車。
NSRの中古車のほとんどは、社外のチャンバーに付け替えられています。
バイクブロスでもNSR用チャンバーの記事が掲載されています。(出展:バイクブロス)
私も、このノーマルNSRを手に入れたときは、社外チャンバーの購入を検討しました。ところがノーマル部品からメーカーの息吹を感じるようになったのです。
NSRの開発では1グラム単位で減量がなされたはずなのに、これをみてください。
ノーマルNSRのチャンバーとサイレンサーのつなぎ目に、10センチほどのカバー部品が付いています。走行にまったく貢献しない部品です。タンデムステップに乗せる足を守るためのものでしょうか。
タンデムステップとチャンバーの位置関係はこんな感じです。
このような部品をみつけると、私はホンダのNSR開発シーンを想像してしまうわけです。
チャンバー担当者 「ボス、この部品、本当に必要なんですか?」
開発統括者 「必要だ。この部品こそ、俺たち市販車開発者のプライドなんだ」
チャンバー担当者 「といってもNSRはレーサーレプリカじゃないっすか」
開発統括者 「だからだよ。市販車っぽい部品をつけないと、レプリカじゃなくなっちゃうんだよ」
(*この会話は私の100%想像です)
もっとすごいのは、引き出し式のタンデムステップです。89NSRは、通常状態ではタンデムステップは見えません。
タンデムステップはどこにあると思いますか。
ズームアップするとこんなボタンがあります。
「押せ(PUSH)」と書いてあるので押してみましょう。
あれれ、こんな部品が出てきたぞ。
タンデムステップは折りたたまれて収納されていました。
タンデムステップにもしっかりラバーが張られています。
いかにも「取って付けた」部品ですが、これが実にしっかり取り付けられているのです。
私は48歳なのですが、この年齢になると、こういう職人仕事がたまらなく嬉しいわけです。
ホンダNSR250Rの当時のカタログを見る
(ライター アサオカミツヒサ)