Red bull KTM Factory Racing のケビン・ベナビデスが2023ダカールラリーで総合優勝した。2位はチームメイトであるトビー・プライス。ワンツーフィニッシュとなったこのレースでの勝利は KTM にとって19勝目となる。
Red bull KTM Factory Racingのケビン・ベナビデスが、2023年ダカールラリーで優勝しました。最終的にチームにとって大いなる成功だったレースと言えることは、ベナビデスは、44秒差で2位となったチームメイトのトビー・プライスとともに、KTMのワンツーフィニッシュを達成したことです。その結果として、KTMはこのアイコニックなラリーレイドイベントで19勝目を勝ち取りました。
最終ステージの前となる第13ステージで優勝したケビン・ベナビデスは、暫定ラリーリーダーだったトビー・プライスとの差をわずか12秒に縮めました。アル・ホフフからダンマームまでのレース最終日は、スタート順が逆転し、2台のKTM 450 RALLYは後方からのスタートとなり、ベナビデスはチームメイトの3分前にスタートを切りました。
最終ステージは、比較的複雑ではないスプリントと思われていましたが、136kmのグラベルコース、砂地、乾いた湖底はライダーにとって大きな挑戦となりました。しかし、ベナビデスは卓越したスピードで地形を攻略し、ステージ2連勝、そしてラリー総合優勝を果たしました。
ケビンの14ステージのレースは、一貫して素晴らしいものでした。オープニングステージで獲得したボーナスタイムは1秒もありませんでしたが、2週間のレース期間中、毎日トップ10に入る成績を収めました。このような巧みで計算されたアプローチが、ダカールラリーで2勝目を挙げた要因と言えます。
そして、ベナビデスは2021年、2023年と2度のダカール優勝、KTMはダカールでの19勝目を勝ち取りました。
“素晴らしい一日でした。最初から最後までずっと集中しました。順位や結果は考えず、全ステージで100%の力を出し切り、その日を楽しもうと心掛けました。スペシャルは本当に速くてトリッキーで、ぬかるんでいました。幸い、大きなミスはありませんでしたが、今日のような状態だったらトラブルが容易に発生したと思います。この優勝ために懸命に努力を重ねました。今年のラリーは、これまでで最も僅差の争いになったレースのひとつで、気を抜くことができる日は1日もありませんでした。チームや家族、友人たちのサポートがなければ、成し遂げることができなかったと思います。まだ実感が湧くには少し時間がかかりそうです。今のこの感覚は、言葉では言い表せません。”
最終ステージとなる第14ステージを12秒差でリードしていたトビー・プライスは、スペシャルステージの最後のライダーとして登場しました。3分前にスタートしたベナビデスを追いかけるため、トビーはスタート直後から全力で突き進みました。ステージ序盤でいくつかの問題が発生し、先頭に立つための貴重な時間を失いました。スペシャルの後半で1分近くを取り戻しましたが、快調に走るベナビデスを追い抜くには至りませんでした。
トビーは2週間のレース期間中、素晴らしいパフォーマンスを披露しました。5位以内のステージが10回、プロローグでも優勝したダカールの2冠王は、ラリーを通して間違いなく強者でした。44時間を超えるレースの末に1分未満の差で敗れたことはもちろん悔しいですが、毎日全力を尽くしたトビーは、自分の走りと世界一過酷なラリーレイドで手に入れた準優勝に満足しています。
“本当に接戦でした。ケビンは今日本当に良い走りをしました。タイトな展開になることは分かっていたので、もちろんスタートからずっとプッシュし続けました。ただ、3つのウェイポイントを数メートルの差で逃し、順位を落としてしまいました。もちろん、目標は勝つことですから、このような僅差で逃したことは悔しいです。しかし、私は健康で、トロフィーも持って帰れる、それが一番大事なことです。来年も頑張ります。”
第2ステージで激しく転倒し、手首を負傷したマティアス・ウォークナーは、不屈の精神でラリーを続行しました。コンディションが回復するにつれ、ステージの結果も向上していきました。そして第12ステージ終了時点で、マティアスは総合9位まで順位を戻していました。しかし、残り2ステージとなる第13ステージでは、砂丘の頂上で激しく転倒し、ウォークナーは背中に大きな痛みを負ってしまいました。幸いなことに、病院に空輸され、さらに検査を受けた結果、2018年のダカール優勝者は、骨折や深刻な怪我はしていないことが判明しました。マティアスの一刻も早い回復を祈っています。
“信じられないようなダカールでした。史上最もタフなダカールのひとつであり、最も接戦となったレースでした。Red Bull KTMチーム内では、トビーとケビンが12秒差で最終日を迎え、非常に接近したバトルが展開されました。ありがたいことに、2人のライダーの活躍により、KTMはワン・ツーを達成し、ケビンは2勝目、KTMにとっては19勝目を挙げました。もちろん、勝者が2人ということはありえませんが、トビーが2位を獲得したことは、この2週間のハードワークによるものであり、素晴らしい成果です。またチームも、レースだけでなく、ラリーに向けてこの1年間、見事な仕事をしてくれました。今は次のレースに向けて、お祝いをする時です。”
“ライダーを除けば、私は今、地球上で最も幸せな男かもしれません。長く厳しいレースを経て、最終日に2人の差が12秒しかないのは驚くべきことです。そして、このステージで2人が懸命にプッシュし、無事に1位と2位でゴールしたことは、信じられないことです。5,000キロ、40時間以上のレースで、これほど接戦になることは前代未聞であり、このポジションを勝ち取るために、チーム全体が素晴らしい仕事をしてくれました。いわば130kmのモトクロスレース。2人のライダーは素晴らしいレースをしました。勝者は一人しかいませんが、今日は本当にプレッシャーがかかっていたので、2人を心から誇りに思います。KTMはこれで、世界で最も過酷なオフロードレースで19勝を挙げましたが、これで終わりではありません。今シーズン、そして来年の2024年ダカールもすでに楽しみにしています。”
KTM Japan株式会社(2023年1月17日発行)