2018年11月6日、ミラノショー(EICMA2018)の会場でMVアグスタ(Agusta)が2019年後半に発売予定のスーパー・ヴェローチェ800(Super Veloce800)をお披露目した。
MVアグスタの3気筒シリーズをベースにしたスーパー・ヴェローチェ800は、MVの持つ輝かしいヒストリーと最先端のデザインを融合させたモデル。今回発表された車両は、プロトタイプながら、2019年後半には発売開始とアナウンスされている。
デザインを手がけたのはMVのデザイン・ディレクター、Adrian Morton(アドリアン・モートン)氏。スタイルで特徴的なのは何と言ってもこのロケットカウルだ。
先端にかけて徐々にスラントしていくロケットカウル。鋭角的にスラントする今時のスーパースポーツモデルのカウルとは一線を画す丸みを帯びた形状は、MVが世界グランプリで活躍した時代のクラシックレーサーもモチーフにしたようだ。当時のMVレーサーのゼッケンベースはイエローだったが、このスーパーヴェローチェがLEDヘッドライトの色をイエローとしているのも、そうしたヒストリーへのリスペクトを感じるものだ。
タンクキャップもクラシック風。革製のタンクバンド(もちろんダミーと思われる)もクラシックレーサー的ディテールだ。
後端に向かって絞り込まれたシート。表皮はアルカンターラ。
テールには小さなLEDテールランプが埋め込まれている。テールカウルほか、各部にはカーボンも用いられている。
立体的なタンクの造形と丸みを帯びたテールカウルが個性的なスタイルを生み出している。
前後のホイールはスポークが星型に組まれたもの。F4など多くのモデルで星型キャストを採用するMVらしいこだわりかもしれない。
ちなみにこのホイールは「Kineo」という欧州のカスタムホイールブランドのプロダクツ。ここ数年、欧州を中心に多くのカスタムビルダーがKineoのスポークホイールを使用しており、特に17インチの極太キャストをスポーク化する際にはよく使用されている。
ブースには古いピックアップトラックに載せられた1台のマシンが。
こちらはF4 Claudio(クラウディオ)。クラウディオとは1978年にカジバを創業し、1990年代にはMVブランド再興に尽力した、故クラウディオ・カスティリオーニ氏のこと。これはかつてのMV総帥の名を冠した特別な1台なのだ。
外装はもちろん、ホイールまであらゆるパーツがカーボンで構成された贅沢なマシン。
カウルやスクリーンにもCLAUDIOの文字が入る。
天才技術者マッシモ・タンブリーニ氏によって設計された初代F4(750cc)も展示。
ブースには1999年に登場した初代F4 Serie Oroや、アイルトン・セナのシグネチャーモデル「SENNA」も展示し、ここ20年に渡るF4シリーズの変遷も伺えた。
Text&Photo/RyoTsuchiyama
取材協力/MV Agusta, ITA(Italian Trade Agency)