SBKにニューヒーローが誕生した。
2018年5月26日、イギリスのドニントンパークで行われたSBK(世界スーパーバイク選手権)第6戦レース1で、PATAヤマハのマイケル・ファンデルマーク(Michael van der Mark)が優勝。嬉しいSBK初勝利を手にした。また、オランダ人ライダーによる優勝もSBKでは初めて。さらに今回の勝利は、ヤマハにとっても2011年最終戦ポルトガル以来となる7年ぶりという記念すべきものとなった。
<写真>レース序盤、サイクスとレイのカワサキの二人に食らいつくファンデルマーク(#60)。Photo/SBK.com
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ポールスタートはカワサキのトム・サイクス(Tom Sykes)。このところ調子を挙げているサイクスは、予選のスーパーポールでSBK通算44回目のポールポジションを獲得。これまでトロイ・コーサー(Troy Corser)が持っていた歴代最多ポール記録を塗り替えた。
<写真>レース1スタート直後。カワサキのレイ(#1)とサイクス(#66)の後方にファンデルマーク、さらにチームメイトのアレックス・ロウズ(Alex Lowes #22)が続き、カワサキvsヤマハの構図に。Photo/SBK.com
レース序盤は先行するカワサキのサイクスと、チームメイトでランキングトップのジョナサン・レイ(Jonathan Rea)をファンデルマークが追走。レース中盤までその状態が続いたが、残り11周で2位を走っていたレイがミス。すかさずファンデルマークがレイをかわして2位に浮上する。勢いに乗るファンデルマークは残り9周に入ると、トップを走るサイクスをブレーキングでパス。遂にトップに浮上した。その後は安定したレース展開でカワサキワークスの2人を寄せ付けることなくトップでチェッカーを受けた。
2位にはレイ、3位にはサイクスが入った。ドゥカティ勢はワークス、サテライトともにまったくいいところなく、地元デイビスの8位入賞が最上位という惨状だった。
<写真>レース中盤でトップを奪取して以降、一度もトップを譲ることなくチェッカーを受けたファンデルマーク。Photo/SBK.com
ファンデルマークは、地元グランプリとなる第4戦のアッセンであと少しで優勝というほどの速さを見せつけ、以降は毎レーストップ争いに食い込み調子は上向きだった。しかしイギリスのドニントンパークは過去のSBKでもイギリス人ライダーが圧倒的に速いコース。カワサキワークスの二人はもちろん、ドゥカティのデイビスやホンダのレオン・キャミアもイギリス人ライダー。さらにBSB(ブリティッシュスーパーバイク)のライダーもワイルドカードで参戦するなどイギリス人ライダーの優位性は明らか。事実、2012年以降のSBK・ドニントンパークではイギリス人ライダーしか優勝していないという状況だった。そんな中で見せたファンデルマークの速さはやはり本物。自身初、オランダ人としても初、ヤマハとしては2011年の最終戦以来(当時のライダーは現ドゥカティのマルコ・メランドリ)となるSBK勝利は、1勝という数字以上に大きな価値のあるものだったに違いない。
<写真>ポディウムの中心に立つファンデルマーク。表彰台の上にはオランダ国旗がたなびき、表彰式ではオランダ国歌が鳴り響いた。カワサキのレイはSBK通算最多優勝記録がかかったレースだったが「ベストを尽くしたけど、ファンデルマークには勝てなかった」とニューヒーローに賛辞を送った。Photo/SBK.com
レース後のインタビューでは「調子もよかったし、楽しめた」というほどの余裕を見せていたファンデルマーク。今日のレース2にも期待がかかる。
Text/RyoTsuchiyama
情報元=SBK.com