GSシリーズに代表されるように、地球規模でのアドベンチャーツーリングも本気で楽しめるバイクづくりを行うBMWモトラッド。でも、せっかく出かけた長旅も不意のトラブルによってすべてが台無しになってしまいます。例えば北極圏でバルブキャップが寿命を迎えたり、アマゾンのぬかるみでシフトレバーが壊れたり。そんなとき運悪くスペアの部品を持っていなければ大抵の場合、旅はそこで終わりを迎えるか、長い中断を余儀なくされることでしょう。
でもそんな長旅に付きもののトラブルも、BMWモトラッドが発表した「3Dモバイルプリンター」さえあれば、すべて解決するのです!
BMWモトラッドがこの夏からオプションとして提供を開始する「BMW Motorrad iParts 3D Mobile Printer」。気になるシステム全貌が上の写真です。R1200GS Rallyeに装着されたCFRP製専用トップケースの中には小型高性能の3Dプリンターが収められています。
アルミ、スチール、チタンなどの金属はもちろん、プラスチックにも対応するこの高性能プリンターさえあれば、旅先でレバーが折れたり、ハンドルクランプが粉砕したり、ウインカーレンズが割れたりしても、その場でパーツをプリントすればOK。BMWのiCloud上には多くのパーツデータがアップされており、必要な3Dデータや材料データはスマホやPC経由でプリンターへダウンロードできます。また、壊れそうなパーツのデータはあらかじめダウンロードしておけば、ネット環境がない地球の僻地でもパーツをプリントできます。これでもうメカニカルトラブルの心配をせず、安心して長旅に出かけられるというわけです。
2018年4月1日に突如発表され、早速今年の9月から供給が開始されるというこの3Dモバイルプリンター……ん?4月1日? はい、そうなんです。この画期的な3Dモバイルプリンターは、毎年恒例のエイプリルフールネタでした。ここまで読んでいただいたみなさん、ごめんなさい。でも、BMWだったらやりかねないですよね。
毎年のことながら、BMWのエイプリルフールネタは「BMWならマジでやりそう」っていう妙なリアリティがあることで知られています。昨年なんてひどいものでした(笑)。
写真は2017年4月1日に発表された「R1200GS xDrive Hybrid」。BMW曰く、フロントハブにモーターを搭載して2WD化を実現した、と謳っていました。BMWの四輪ハイブリッドで用いる「xDrive」の呼び名をわざわざ使っているのもイヤラシイ……。
赤いハザードボタンの左にある<2WD>ボタンを押すとフロントハブに内蔵されたインホイールモーターが駆動するというもの。近年、四輪・二輪ともに電動化を推し進め、フルEVやハイブリッドのラインナップを増やしているBMWですから、こういうモデルが出てきてもなんら不思議ではありません。
自動車メーカーのエイプリルフールネタと聞くと「いかにもネタっぽいもの」を想像する人が多いと思います。しかし、ことBMWに関してはエイプリルフールネタが近い将来に登場するであろう新型モデル・新技術を示唆しているのでは……と勘ぐってしまうのは筆者だけでしょうか。
さて、今年も各国の自動車メーカーが趣向を凝らしたエイプリルフールネタを提供してくれましたね。でもその中には「瓢箪から駒」という可能性を含むものもあるかもしれませんよ。
情報元=BMW Motorrad
Text/RyoTsuchiyama