取材・写真・文=山下剛
標高2,800m地点をスタートして、4,300mの頂上まで駆け上がる公道レース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」がアメリカ・コロラドで開催されている。今年、このレースに挑戦する二人の日本人選手にフォーカスし、現地取材を続ける山下剛による決勝直前の最新情報をお伝えしよう。
5月26日、公式練習。ミドルセクションを走行する渡辺・安田組。ドライバーとパッセンジャー、そしてマシンともにコンディションは順調で、決勝レースに期待がかかる!
パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち
~決勝直前レポート~
こちらも5月26日の公式練習、ミドルセクションを走る伊丹選手。ムルティストラーダを駆るミッキー・ダイモンド選手とブルーノ・ラングロア選手にどこまで迫り、抜けるかが勝負だ。
渡辺正人選手と伊丹孝裕選手がチャレンジしている、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムの予選&公式練習がはじまり、30日の決勝レースがいよいよ迫ってきた。
「事前にセットアップしたインジェクションとタイヤセレクトや空気圧についてのセッティングが、公式練習を何本か走った結果、ほぼ予想通りに決まってます。予選走行はまだこれからですが、今のところ順調です」
伊丹選手はそう語り、決勝レースへの自信をのぞかせる。トライアンフ・スピードトリプルは2輪クラス「1205」に出場。ここ数年優勝を続けているドゥカティ・ムルティストラーダ1200との勝負となる。
「ミッキー・ダイモンド選手とブルーノ・ラングロア選手は、やっぱり速いです。それからエキシビション・パワースポーツクラスに出場している電気バイクのカーリン・ダン選手が速いのには驚いてます。パワーについては標高差も関係ないですし、脅威の速さですね」
伊丹選手とはクラスが異なるが、オーバーオール(全クラス)での入賞を狙っている立場としては、かなり気になる存在だ。
「ここまで順調に来ているし、天気もよくコンディションは良好です。このままのペースで決勝レースを無事に走って、満足できるリザルトを残したいですね」
いっぽう、渡辺正人選手(ドライバー)と安田武司選手(パッセンジャー)も順調な仕上がりで、決勝レースでの好成績を期待できるポジションにつけている。
「タイヤセットやインジェクションセッティングなど、まだまだ詰められる余地がないわけではないですが、初回チャレンジとしては十分すぎる結果を出せていますし、入賞は十分に狙える範囲に来ていると思ってます。渡米前のトレーニングやこちらに来てからのトレーニングも順調ですし、僕の肉体もマシンコンディションもバッチリです」
渡辺選手はサイドカーのコースレコードを狙いつつも、タイトでクイックなコーナリングと慎重なドライビングで、他のエントラントからも注目の存在となっている。パッセンジャーの安田選手は、「公式練習の初めのうちはコースの怖さも感じていましたが、今はもう怖さもなく、楽しめるようになってきました」と自信のコメントをくれた。
「準備をしっかりとしてきた結果が、今につながっていますね。まだ決勝レースはこれからですが、レースを楽しみながらもいい結果を残せるよう、全力を尽くしたいと思ってます。応援してください!」
渡辺選手の計画と準備、そして実行力はたしかに実を結びつつある。
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムの決勝レースは、30日午前8時(日本時間:7月1日午前11時)よりスタートする。決勝レースの模様は公式サイト(http://www.ppihc.com/)でライブ中継されるので、ぜひ渡辺選手・安田選手、伊丹選手を応援しよう!
5月27日、公式練習はアッパーセクションでの走行。スタート地点へ向かう山岳路のゲートは午前3時にオープンとなり、エントラントたちは午前4時頃からスタート準備をはじめ、明るくなった午前5時30分頃から走行開始となる。
■関連する過去のニューストピックス
●パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち/伊丹孝裕(1)
●パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち/伊丹孝裕(2)
●パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち/伊丹孝裕(3)
●パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち/渡辺正人(1)
●パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち/渡辺正人(2)
●パイクスピーク・ヒルクライムに挑むサムライたち/渡辺正人(3)