今日から使えるライディングテクニック実践講座【最新版 スマテク2.0】4.コーナリング(1)峠のコーナリングライン(動画あり)

掲載日: 2024年05月17日(金) 更新日: 2024年05月17日(金)

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写真/伊勢 悟 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI

「1/3ミドル」で走れば
安全マージンは飛躍的に増える

今回からコーナリング編です。公道での安全確実な曲がり方について考えていきましょう。右に左にくねくねと曲がる峠道(ワインディングロード)で、次々に迫るコーナーを思い通りに曲がれたときの快感は忘れがたいものです。一方でワインディングには危険も潜んでいます。先が見えないブラインドコーナーや対向車など、予期せぬアクシデントにつながりかねないワナも待ち受けています。ワインディングは誰もが利用する公道でもあり、自分や他者の安全を守りながら走ることが最優先であることは言うまでもありません。そこでまず大事なのが「自分の車線をはみ出さずに走る」ことです。

2輪はスリムでコンパクトな乗り物なので、4輪に比べると車線内でのライン取りにも自由度がありますが、実はそこが盲点でもあります。ペースを上げていくと、ついつい車線の幅を目いっぱい使った走りになりがち。ライン取りと言えば「アウト・イン・アウト」が有名ですが、これはコーナーのR(旋回半径)を大きく取ることで実質的なラインを緩くし、なるべく速度を落とさずに曲がるためのレーシングテクニックです。ただ、サーキットのようなエスケープゾーンがなく、ブラインドも多く対向車やガードレールが待ち受けるワインディングでは自分の車線からはみ出したら一発アウトです。

そこでお薦めしたいのが「1/3ミドル(3分の1ミドル)」のライン取り。自分の車線を3分割した真ん中のゾーンからはみ出さないように意識して走ります。車線の幅は一般的に3m前後なので、車線の中央の幅1mのゾーンをキープすることで、自分の左右には1mずつの安全地帯を確保しながら走ることができます。3分の1ミドルを意識することで、心にも余裕が持てるし多少ラインをミスしても安全にリカバリーしやすくなります。

また、路肩近くの落ち葉や砂利で滑りやすい路面を避けて、センターラインを割ってくる対向車に対しても安全マージンを稼げることになります。もちろん、路面状況などにより3分の1ミドルを守れないケースも出てくることでしょう。大事なのは臨機応変に考えてベストなラインを組み立てることです。速度を抑えることが大前提になりますが、ライン取りを工夫することでより安全で健全なワインディングの走りを楽しめるはずです。詳しくは下記の解説をご覧ください。動画も合わせてチェックしていただくと動きのイメージが分かりやすいと思います。

これを見れば完璧!峠のコーナリングライン

Point1
「1/3ミドル」

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■車線を3分割した真ん中のゾーンを走る
一般道の車線の幅は概ね3m前後に設定されている。自分の車線を3分割してその真ん中のゾーン、つまり幅1mの細い道路からはみ出さずに走る意識でコーナーを曲がることで安全マージンを飛躍的に増やすことができる。これを自分では「1/3ミドル」のライン取りと呼んでいる。自分の左右に常に幅1mのスペースを作りながら走ることで、センターラインをはみ出してくるクルマやバイク、道路脇に積もった落ち葉や砂利などにも余裕を持って対処することができるはずだ。

Point2
「危険な右コーナー」

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■タイヤは車線内でもライダーはハミ出す
「右コーナーが苦手」というライダーが多い。理由は様々だが、外側にはみ出しそうでガードレールや側溝が気になってしまうという声を耳にする。曲がり切れないという恐怖心から、ついついセンターライン近くを走ってしまうが、実はそのほうが危険。バイクは車体を傾けながら曲がる乗り物なので、タイヤは車線内にあっても上半身や頭は反対車線に入っている場合も。対向車が孕んできたら正面衝突の恐れも。

Point3
「タクティカルライン」

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■最適ラインを臨機応変に組み立てる
1/3ミドルを意識していても、路面状況や落下物などによってキープできない場合も出てくる。そんなときは臨機応変に自分でラインを組み立てればいい。これを「タクティカルライン」と呼んでいる。たとえば先が見えないタイトコーナーでバイクを寝かすのが怖い場合などはV字ラインが有効(図)。やや直線的にコーナーの奥まで行ってしっかり減速、くるっと小回りしたら直線的に立ち上がるライン取りにすれば、車体を寝かしている時間も最小限で安全にメリハリの利いた走りができる。

スマテク2.0 講師 プロフィール

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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