リリース = BMWグループジャパン
世界的に有名な自動車メーカーである「MINI」から、ゼロ・エミッションで都市部のモビリティを担うコンセプトモデル「MINI Scooter E Concept」が、2010年のパリ・モーターショーで発表される。MINI Scooter E Conceptは後輪に内蔵された電気モーターで駆動。搭載されるリチウムイオン・バッテリーへのエネルギー供給は、付属の充電ケーブルを使って電源プラグからチャージできる仕様となっている。このコンセプトモデルは、プレミアム品質と先進技術に関心を持ち、サステイナビリティ(持続可能性)に対する意識、個性的なスタイル、情熱的な走りを重視するターゲット・グループのモビリティに対する声に応えたものとなるだけでなく、若年層が早くからMINIブランドに触れる機会を創出するという狙いもあるとのこと。以下はメーカー発表資料による、MINI Scooter E Conceptの特徴となる。
MINI特有のデザイン ? 二輪車で初めて実現
世界で初めて2種類の個性的なデザインが公開されるMINI Scooter E Conceptは、MINI特有のドライビング・プレジャーを二輪車で実現する、という全く新たな可能性を生み出し、しかもMINIブランドとしての特徴がすぐにわかるモデルである。これは、この新しい車両コンセプトにもMINIのデザイン哲学が徹底して反映され、特徴的な細部のデザインに対して新しい解釈を採り入れることにより実現している。デザインの手法や多くの繊細なディテールにおいて、このコンセプト・モデルはMINIブランドの最新モデルを手本としている。
コンセプトを忠実に表現したプロポーション、柔らかい曲線的なフォルムによってMINI Scooter E Conceptは優美なたたずまいを見せ、MINIブランドの四輪車との類似性をはっきりと示している。ここではホィールと車両全体の寸法の比率が重要な役割を担っている。MINI Scooter E Conceptの11インチ・ホィールは、MINIの四輪モデルと同様、この試作モデルの力強さとたくましさを感じさせる。側面から見たとき、この印象は巧みに配されたラインによって強調されている。これらのラインは視覚的に車両のフロントとリアを区別させ、ほぼ理想的な角度で上方へと向かっている。 MINI Scooter E Conceptのウインドシールドは、MINIの四輪モデルのフロント・ガラスと同様に直立したイメージとなっている。外側に行くにつれて湾曲するスタイリングも、MINIのフロント・ガラスからAピラーへと移行する部分のカーブを連想させる。
独立フレーム付きの丸型ヘッドライト、MINIのフロント・グリルと同じスタイルの開口部があるウインドシールド
MINI Scooter E Conceptのフロント・ビューでは、非常に大きな丸型ヘッドライト・ユニットが目を魅きつける。そのアウトラインは、MINI Countryman(注:日本での名称はMINI Crossover)のヘッドライトと同様に完全な円形ではなく、周囲の曲面形状に合わせたデザインとなっている。MINI Countrymanのヘッドライト・ユニットのフレーム部分は、力強いカーブを描くホィール・ハウスと大きなフロント・グリルに対応するようにデザインされており、MINI Scooter E Conceptのヘッドライトは、ずっと下まで続くウインドシールドに合わせたデザインとなっている。ヘッドライトはくさび形のクロム・フレームに縁取られ、MINIと同様、これがさらなるアクセントとなっている。ヘッドライト・ユニット内部には、メイン・ヘッドライトの周囲を丸く縁取るイルミネーション付きのカラー・リングが組み込まれている。
突き出すようにデザインされたターン・インジケーターは、クラシックMiniのフロント・ビューを思い起こさせる。ターン・インジケーターのカバー・ガラスは伝統あるオリジナルMINIと同様のカーブを描き、クロム・フレームで縁取られている。
フロント・ビューでは、ウインドシールド上のヘッドライトの下部に配置されたスタイリッシュな開口部が、MINIブランド特有の顔つきを表現しており、その形状はMINIの六角形のフロント・グリルをイメージさせる。この開口部も、クロム・フレームで縁取られている。その上に配置されたMINIブランドのロゴにより、MINIらしい優美さがいっそう引き立てられている。ウインドシールド自体は、周囲を樹脂フレームで縁取られている。さらに2種類の試作モデルのそれぞれのウインドシールド、ホィール・カバー、フレーム・トリムは、個性に合わせた塗装が施されている。ウインドシールドの表面にはそれぞれコントラスト・カラーに塗装された部分があり、MINIのカーブを描くエンジン・フード上の光と影の効果にならい、グラデーション塗装が施されている。
紛れもないMINI:クロム・パーツ、丸いミラー、直立する2個のテールライト
シート後部のグリップとフットレストにも、クロム・パーツを採用している。このグリップは、MINI Cooper Sのリア・スポイラーを連想させる形状である。シートのすぐ下を取り囲むように配置されたクロム・ストリップは、同じ方法で強調されているMINIのウエスト・ラインに相当する。MINI Scooter E Conceptのバック・ミラーも、MINIの四輪モデルに合わせてその形状とサイズが決められており、MINIブランドらしい特徴となっている。その特徴とは、ミラーの丸い輪郭と半球状のミラー・カバーによる力強い立体感であり、さらに異なるデザインのミラー・カバーを装着することでさらに個性化することができる。
MINI Scooter E Conceptのリア・エンドも、MINI特有のデザイン的特徴を新たな解釈によって実現している。リア・ホィール・カバーの左右に位置するテール・ライト・ユニットは、直立配置されている。MINI Crossoverと同様、透明なカバー・ガラスによりテールライト、ブレーキ・ライト、ターン・インジケーターを立体的に見せている。MINI Scooter E Conceptのテール・ライト・ユニットも、同様にクロム・フレームで縁取られており、2つのテールライトの間にはMINIのロゴが装着されている。
1つのコンセプト、2つのキャラクター
2種類のデザイン・コンセプトを同時に発表することで、新しいモビリティ・コンセプトの優れた可能性が強調される。これら2つのキャラクターは、それぞれの試作モデルの基本的な特徴であるドライビング・プレジャー、サステイナビリティ、スポーティなキャラクター、ライフ・スタイル重視のイメージを前面に打ち出している。この2つのコンセプトの機能上の違いは、乗車人数の違いである。今回紹介されるMINI Scooter E Conceptには、ドライビング・プレジャーを2人で享受するために開発された2人乗り仕様と、特にスポーツ性やピュアな走りを重視した1人乗り仕様がある。
MINI Scooter E Conceptの2人乗り仕様は、MINI Eのカラー・デザインをベースとしており、特にゼロ・エミッションの駆動コンセプトを強く打ち出している。マット・アンソラジットの塗装が、シート表面のイエローとの魅力的なコントラストをかもし出す。これに加え、ヘッドライト・ユニット周りのさまざまに色が変化する塗装面と、イエローのミラー・カバーがアクセントを添えている。シート表面には丈夫なファブリック素材を採用し、イエローのシート表面を囲むようにイエローのパイピングがあしらわれている。MINI Scooter E Conceptの2つのキャラクターとも、このパイピングのラインはそれぞれシートの前側で急激に下方に向きを変え、そのままフレーム・カバーへと続き、フットレストの周りを巡って前方へと向かい、ウインドシールドをぐるりと囲んでいる。これにより、乗員の乗るエリア(フットスペースやコクピットを含む)とボディを視覚的に明確に区別している。
MINI Scooter E Conceptのもう1つのバリエーションは、MINIブランドの伝統とその輝かしいルーツからインスピレーションを受けたデザインが施されている。特にソロ走行用にデザインされたこのキャラクターは、新しい車両コンセプトの最もスポーティな側面を表現している。ブリティッシュ・レーシング・グリーンのボディ・カラーはクラシックなレーシング・カーを思い起こさせ、鮮やかな輝きを見せる塗装により、特にプレミアム感と新しい解釈による外観を見せる。シート表面はレザー仕様のダーク・ブラウンで、その表面は長年使い込んだような「ユーズド・ルック」加工が施されている。シルバーのミラー・カバー、グリーンとシルバーの間で微妙に色彩が変化するヘッドライト・ユニット周囲の色合いが、深みのあるグリーンの塗装との魅力的なコントラストを生み出している。
操作性:斬新、スタイリッシュ、簡単
MINI Scooter E Conceptは、突き抜けるような爽快な走りを味わいたいというニーズに応えるためのモデルである。このニーズをかなえるのが、俊敏な走行特性と優れた操作性である。MINIらしいピュアなモビリティとは、操作が直感的で、ストレートに理解できることを意味する。これは、実際の走りにとっても、リチウムイオン・バッテリーへの電源供給にとっても重要なことである。さらにこの操作コンセプトは、ドライビング・プレジャーを向上させるさまざまな機能を、簡単かつ安全確実な方法で使用できるようにすることを目指している。
この目標は、新しい方法、つまりモバイル端末を組み込むことで実現される。MINI Scooter E Conceptのコクピットには、MINIでお馴染みの丸型センター・メーターが装備されており、中央にはアップル社のiPhoneが組み込まれている。丸型スピード・メーターの速度は温度計のように液体が封入されたチューブで表示する方法を採用しており、走行速度に応じて封入された液体が移動する。センター・メーター下部には走行可能距離を知らせるために、バッテリー充電レベル・インジケーターがある。ライト、ターン・インジケーター、その他の走行に必要な機能すべての操作ボタンは、MINIのマルチファンクション・ステアリング・ホィールのボタンと同じデザインになっている。
キー、ディスプレイ、集中操作機能を提供するアップル社のiPhone
丸型メーターの内側には、キー、ディスプレイ、集中操作機能を受け持つアップル社のiPhone用のスナップイン・アダプターが装備されている。ライダーがそこにiPhoneをはめ込むと、すぐにイグニッションがオンになり、スクーターを走行させることができるようになる。この構成により、MINI Scooter E Conceptで二輪車におけるインフォテイメント、コミュニケーション、ナビゲーションの機能の統合を実現できる。その場合、必要に応じてiPhone をナビゲーション・システム、ミュージック・プレーヤー、電話として利用することができる。またBluetoothインターフェースを利用すれば、 iPhoneとMINIコレクションのヘルメットとを無線接続することができる。このヘルメットにはマイクロフォンとヘッドフォンが付いているので、ドライバーは走行しながら電話をかけたり、自分のミュージック・コレクションを楽しんだりすることができる。
革新的な操作コンセプトによってドライバー、車両、その周辺を結ぶネットワーク化を実現することで、多くの新しい対話形式の機能を利用する道がひらける。すでに現行のMINIモデルで利用されているMINIコネクテッド・サービスとリンクすれば、iPhone専用のアプリケーションを追加することで特別な使い方が可能である。たとえばナビゲーション機能にGoogleマップの地図表示を追加すれば、付近にいる同じMINIスクーターの現在位置が表示される。この場合、インターネットのソーシャル・ネットワークと同じように、親しいライダーを識別し、ボタンを押すことで相手を誘い、落ち合うこともできる。仲間意識をいっそう強め、しかも親しみのあるキャラクターの乗り物であることを強調するため、MINI Scooter E Conceptにはさらに、あいさつ機能が開発された。2人乗り同士が出会ったときにはヘッドライトが自動で点灯し、連帯感を高めるのに役立つ。
新装備:MINIセンター・レールと専用アクセサリー
わかりやすい操作方法や対話形式の機能の他にも、MINI Scooter E Conceptの簡単かつ魅力あふれる操作性を象徴する最新の機能が用意されている。ウインドシールドの内側には、自分の持ち物を収納するための小物入れが2個備わっている。さらにこの試作モデルには、MINI Countrymanrに初めて採用されたアルミニウム製MINIセンター・レールと同じ機能が用意されている。ウインドシールド内側には、垂直方向に足元まで伸びるレールが取り付けられており、独特のクリップイン・メカニズムを利用して、走行中や目的地で使うために手近に置いておきたい物を運ぶことができる非常に便利な機能だ。
試作モデルの2つのキャラクターには、それぞれ専用のセンター・レール用装備品が用意されている。規格化された固定方法を採用しているため、気軽に車両同士で取り替えることができ、またMINI Countryman用純正アクセサリー・プログラムの装備品を付け加えることもできる。センター・レール用のアクセサリーには、MINIコレクションのヘルメットや傘のホルダー、サングラス、保温ボトル用のホルダーが用意されている。またロック付き小物入れやドライバーの両足を保護する拡張レイン・ガードなども、簡単にセンター・レールに追加することができる。さらに、ミュージック・プレーヤー、カレンダー、ストップウォッチ、そしてMINI Scooter E Concept専用のティーカップも、センター・レールにしっかりと固定することができる。
コンセントがあればOK:内蔵充電ケーブルにより最大限の便利さを実現
MINI Scooter E Conceptでは、車載バッテリーを充電するための時間がより短縮されている。このため、電動二輪車を使用する際の便利さと柔軟性は著しく向上する。後輪内側の塗装されたホィール・カバー内に収納されている電気モーターには、リチウムイオン・バッテリーから電源を供給している。MINI Scooter E Conceptの後部には、コンパクトなバッテリーの他に、充電システムと専用接続ケーブルがコンパクトに収納されている。充電ケーブルには電源プラグが付いており、一般家庭のコンセントに差し込んで充電できる。したがってバッテリーを充電するための専用充電ステーションを用意する必要はない。ショッピングやカフェで楽しんでいる間に、簡単に充電することもできる。電源プラグとケーブルは、MINIの丸いフューエル・リッドに似たカバーの下に収納されている。照明付きのカバーを開け、最長5mの長さの電源プラグ付き充電ケーブルを引き出して、コンセントに接続することができる。充電プロセスが終了したら、ボタンを押すとスプリング機構によりケーブルが巻き取られるようになっており、収納スペースもコンパクトにまとまっている。