な、な、なんじゃこりゃーーっ!
2018年5月末、イタリアの避暑地コモ湖畔で行われた世界的なコンクールデレガンス「Concorso d’Eleganza Villa d’Este(=コンコルソ・ディレガンツァ・ヴィラ・デステ。何回読んでも舌かみそう)」の会場でBMWがこんな車両を展示していました。
S1000RRの前方に四輪車のフロント周りをドッキングさせたような得体の知れないこの乗り物。よく見ると、パイプフレームで囲われた車体には四輪用の丸いステアリングと、やたらと着座位置の低いバケットシートもチラリ。これは一体なんなんスか……。
ジャーン!
ということでネタばらしです。ディスプレイでなんとなーく察しがついた方もいるかもしれませんが、このヘンテコなステアリング機構を持つフロント二輪のS1000RRはトム・クルーズ主演「MISSION:IMPOSSIBLE – ROGUE NATION(ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション)」の撮影に使用されたという特殊車両です。2015年公開、シリーズ第5作に当たるローグ・ネイションでは、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントや敵役がS1000RRでド派手なアクションを繰り広げたことでも知られていますね。
この写真はヴィラ・デステの閉幕後レポートとしてBMWが公開したのですが、車両に関する説明はなーんにもありません。しかも写真はこの1枚だけ(意地悪!)。なので、これから書くことは僕の想像なんですケド、この車両は女優レベッカ・ファーガソン演じる敵役のイルサがS1000RRを走らせるシーンで使われたのではないかと。
「危険なアクションでも全部オレがやる!」っていうトム・クルーズはさておき、世界的女優にバイクを運転させて何かあったらマズイ。でもCGは使いたくないから特殊な車両を作ったのではないか。(※バイクアクションのほとんどはトムやスタントマンのガチな走行です)
↑フロント周りの機構が気になるけど写真が1枚しかないので拡大。
フレーム先端には、マスターシリンダーらしきモノが見えますね。最初は「油圧式のパワステ?」とも思ったんですが、足周りのアームの付け根にバッテリーらしきモノが見えるので、この車両は電動パワステじゃないかと(他に電気を必要とする理由が特に思い当たらない)。だとすると、このマスターは左右両輪のブレーキ用じゃないかなぁ。つまり操舵・ブレーキの操作はフレーム中央に座るドライバーがやる。
となると、スロットル操作もドライバーがやらないと乗り物としては成立しません。でもS1000RRは元々フライバイワイヤだし、それならワイヤ延長してドライバーの足元にスロットルペダルくっつけてアレコレゴニョゴニョやればできそう。(←適当)
「ちょっと待て! 変速はどーすんだ」とツッコミが入りそうだったんで、高解像度の元画像を超〜拡大してS1000RRの左ステップを見てみたらチェンジペダルがない! その代わりにステアリング脇にシフトレバーみたいな棒が生えてる。つまりこのヘンテコな車両は変速含めてすべての操作をドライバーがやる、ってのが僕の仮説です。
そらそーと、フロント二輪はヤマハのLMW機構みたいにリーンしてますよね。写真でもパイプフレームごと傾いてるのも分かるし。バイクとパイプフレームはリジッドで連結されてるっぽいので、ステアリング操作に合わせて後ろのバイクもわずかに傾けることも可能。これは撮影用の特装車ですが、こういうところにも未来の乗り物のヒントがあったりするかもしれませんよ。ま、ぜーんぶ想像ですけど(笑)。
今回のヴィラ・デステでは「映画に出てきたクルマとバイク」ってテーマで企画展をやってたようです。上の写真は「007 ゴールデンアイ(1995年公開)」でデビューしたBMW Z3。
こっちは「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999年公開)」でデビューしたBMW Z8。Z8はいまむちゃくちゃプレミア付いてて、中古でも1500万越えです。ピアース・ブロスナン時代の007シリーズでは、BMWが発売前の新車をボンドカーとしてデビューさせる手法を連発してましたよね。クルーザーモデルのR1200Cのデビューもそのパターンでした(1997年公開の007 トゥモロー・ネバ・ダイ)。あ、僕007シリーズ大好きなんです。ロジャー・ムーア派ですけど。
<Ferrari 250GTO Targa Florio>
「HOLLYWOOD ON THE LAKE」と書いてあるステージ。ハリウッドっていうくらいですからこれも劇中車企画の一部と思われます。この超かっこいいクルマはフェラーリの250GTOです(多分)。車種とゼッケン番号を頼りにググってはみたものの、1964年のタルガ・フローリオ(イタリアでやってた公道レース)に出た車両っぽいってことまでしかわからず。何の映画に出てたんだろ?
言い忘れてましたが、ヴィラ・デステは自動車のコンクールデレガンスとしてはアメリカのペブルビーチで開催されるイベントと同じくらい格式のあるイベント。会場にはスーパーリッチな方々が持ち込んだクラシックカーがこれでもかと並んでいます。せっかくなので今回の目玉車両も少しご紹介しておきます。
<Alfa Romeo 33/2 Stradale>
むちゃくちゃかっこいい! ガルウイングの角度もスゴイ。これはアルファ・ロメオの33/2ストラダーレだそうです。アルファはこんなクルマも作ってたんだなあ。イタ車に詳しい会社の先輩が「ストラダーレってことは公道用ってことだね」と。なるほど。ググったら、60年代後半に発売されたレーシングカーの公道版だそうで。素晴らしいデザインです。
<BMW 507 Roadster>
日本にも何台かあるBMW507ロードスター。この流麗なフォルムが最高です。キドニーグリルもデカくて良い。白いテッチン?もお洒落。前出のBMW Z8はこの507へのオマージュだそうですね。言われてみれば確かに面影あるかも。
<1970 Lancia Startos HF Zero>
クルマが平べったすぎて後ろのマリリン・モンローみたいな女性にばかり目が行ってしまいますが、これはあのランチア・ストラトスのコンセプトだそう!
(※ヴィラ・デステにはコンセプトモデル&プロトタイプのクラスもある)
コレ見た瞬間に子供の頃に自動車図鑑で見た「童夢・零」を思い出したのですが、年代的にはこっちの方が全然古い。
<BMW Motorrad Concept 9cento>
先日ニュースでもお伝えしたBMWのコンセプトバイク「9cento(ノーヴェ・チェント)」。今回のヴィラ・デステでお披露目されました。新型F750GS/F850GSの発売が待たれる中、次の駒もしっかり用意してるBMW。新生Fシリーズのアドベンチャースポーツツアラーとして市販版が発表されるのはいつでしょう? 今年のケルンショー?それともミラノショー?
ということで今回はヴィラ・デステの話題をお届けしました。
「9cento(ノーヴェ・チェント)」について詳しく知りたい方は下記リンクをどうぞ。多分どこよりも詳しく解説してます。
BMWが新型Fシリーズのスポーツコンセプト「9cento(ノーヴェ・チェント=900)」を発表! それってつまり・・・
情報元=BMW Group
戦前のブガッティやロールスなんかがゴロゴロしてるヴィラ・デステ。写真奥がコモ湖です。ドレスコードが厳しそうなイベントですが、いつか行ってみたい!