なぜ「多バイカー(私の造語で、バイクを4~5台持つ人のことを指します)」たちは複数のバイクを必要とするのでしょうか。
勝っちゃん(41歳)はいま、4台ものバイクを持っていますが、5台目を物色中です。
勝っちゃんの現在のラインナップは、ドゥカティ・ポールスマート、ヤマハ・YZF-R1、ホンダ・シャドウ400、XL250ディグリーで、このどれかを売ることなくKTM・690 DUKEを加えるかどうか考えているのです。
勝っちゃんが5台目として購入を検討している690DUKE
しかし、こんなに必要なのでしょうか。勝っちゃんがいる北海道釧路市は、冬の6カ月間はバイクに乗ることができません。勝っちゃんは会社勤めの板金塗装職人ですし家庭もあるので、バイクには週に1回乗れるかどうかです。1年は52週なので、年間30回乗れるかどうかです。つまりバイクが4台もあったら、1台当たりの出動回数は年10回もないわけです。
バイク店か多バイカーでしか撮ることができないぜいたくなショット。
ちなみに私はNSR250Rしか持っていません。
この1台で「お腹いっぱい」です。増車するつもりはありません。
私のお腹を1台で満たしてくれるNSR。庭に置いて居間から眺めるだけで満足です。
勝っちゃんは、子供のころ畑で小さなバイクに乗ったきり、38歳までバイクを購入したことがありません。それまで四輪とアウトドアを趣味にしていました。それらの趣味をすべてやめて、不惑の40歳直前にバイクに没頭することに決めたのです。
勝っちゃんが最も大切にしているポールスマート。
保有台数が多いだけではありません。勝っちゃんは、トランスポーターにバイクを積んでツーリングに出かけます。バイクを雨に濡らしたくないからです。かなり変わっています。
しかし今回のインタビューでは、仕事の話も聞いたのですが、勝っちゃんはまさに職人気質です。
「汗水流して働いて、家計をやりくりして必要なバイクをそろえる」という思考は、極めて常識的です。
ホンダ・シャドウ400はガールフレンド用に勝っちゃんが購入。
勝っちゃんはバイクについて熱く語るのですが、押しつけがましくありません。バイク選びでも、ポールスマートには「歴史と現代の融合」を求め、R1には「最高性能」を求めるなど、コンセプトが明確で秩序的です。物欲のままフェラーリとランボルギーニを買いあさるアラブの石油王とは違います。
勝っちゃんのバイクライフは、常識人による異常な行動といったところでしょうか。とても好感が持てるのです。
「このロケットカウルがいいんだよねえ」と語る勝っちゃん。よくみたらパーカーもドゥカティでした。