捨てるだけの使用済みてんぷら油で世界一周?

掲載日:2009年01月26日

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山下剛 = 文 バイオディーゼルアドベンチャー = 写真


捨てるだけの使用済みてんぷら油で世界一周?
ガソリンがなくちゃクルマは走らない。それは常識だけど、実は常識じゃない。クルマやバイクは“天ぷら油”でも走ってしまうのだ。しかも海老や豚肉なんかを揚げた使用済みの天ぷら油でも走るのである。といわれても、エンジンを動かす油と僕たちが口にする油とは結びつきにくいし、すぐには信じられない。

でも、「天ぷら油を燃料に世界一周」を成功させて凱旋帰国した日本人がいるのだから、信じるしかないのだ。しかも旅の先々で出会った人たちから“使い古しの植物油”をわけてもらい、それを自ら設計したという精製プラントを用いて“燃料”を作りながら世界一周を成功させたというから驚かずにはいられない。つまりガソリンスタンドを一度も利用せずに、4万7853kmを走ってしまったというのである。これが快挙でなくて、いったい何だ?

この快挙を成し遂げた山田周生さんは、25歳の時にバイクでサハラ砂漠を縦断し、その後は世界放浪の旅を続けながらパリダカールをはじめとするラリーを写真に収めてきたフォトグラファーである。取材や旅を通じて自然に接してきた山田さんは、「自然と人間の共生」について考えるうち、このバイオディーゼル燃料に辿りついた。植物由来だからカーボンニュートラルなのは当然として、廃棄処分されるはずの油を再生できるバイオディーゼルは、まさに「共生」を実現する燃料だったのだ。

この冒険よりも前の2007年、山田さんはオーストラリアで開催された『第20回ワールドソーラーチャレンジ』にバイオディーゼルエンジンを搭載したバイクで出場、環境プロフィールベスト賞を受賞している。

今回の冒険は、クルマとバイクの将来、そして地球の未来に新たな可能性を見出した歴史的成功だ。しかし山田さんの最大の偉業は「土地土地の人たちから燃料をわけてもらい、世界を一周した」という点だろう。それは人々が“クルマの新しい可能性”に希望を託した、ということなのだ。クルマやバイクは、まだまだ人々の夢で在り続けられることを実証したのだ。未来は捨てたもんじゃないのである。

捨てるだけの使用済みてんぷら油で世界一周? 【1】2008年12月1日、過酷な世界一周の冒険旅行を終え、東京に凱旋して仲間とともに喜びのパレードをする山田周生さん(写真左)。右はスポットながらこの冒険をサポートした明石雄介さん。山田さんによればバイオディーゼルとして有効活用できる廃植物油は年間でおよそ40万トンあり、年間1万キロ走行するクルマ20万台分の燃料になるという。
【2】チャールズ皇太子御用達ケータラーを務めるシェフ、アントンさんから廃植物油をもらう。銀色に輝く精製プラントは山田さん自ら設計した世界一コンパクトなバイオディーゼル燃料精製機だ。
【3】アメリカのサンディ・スプリング・フレンズ・スクールの生徒たちは環境保護問題に熱心に取り組んでいる。もちろん彼らも廃植物油を提供した、新しい時代へと続く冒険を成功に導いた人々だ。

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