パイクスピーク・雲の上を目指すレースに挑む男たち(5)・決勝

掲載日: 2015年06月30日(火) 更新日: 2015年06月30日(火)
この記事は 2015年6月30日に書かれたもので、内容が古い可能性があります。

取材・写真・文 = 山下 剛

Pikes Peak International Hill Climb 2015
雲の上を目指すレースに挑む男たち

アメリカのモータースポーツ史上、2番目に長い歴史を持つレースであり、2862mのスタート地点から4301mの頂上を目指す登山レースである「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」。

今年、二輪クラスには3組の日本人がエントリーし、雲の上の頂上に向かってチャレンジしている。その模様を現地からレポートしよう。

■第5回 決勝レース結果報告
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム2015は、6月28日(日)午前8時から10分遅れながらもスタートした。天候は快晴、スタートゲートからはゴールのパイクスピーク山頂がくっきりと見える好天に恵まれた。

レースは2輪からはじまり、クラスごとに順次スタートしていく。日本人選手の1番手はUTV/Exhibitionクラスに参戦した新井泰緒選手で、次いでElec-Electric Modified Bikeの岸本ヨシヒロ選手。サイドカーで参戦の渡辺正人選手・栗原亨選手は3番手となるが、サイドカーの出走は四輪の後になるため、まずは新井選手と岸本選手がスタートしていった。

スタートゲート付近にはライブタイミングを表示するモニターが置かれており、ピットで待機するチームクルーたちにとってはそれが情報源となる。4つに分けられたセクターごとにタイムが表示され、ライダーが無事に走行を続けていることが確認できる。タイムが更新されるごとにチームクルーたちから「おおっ!」というどよめきが起きる。

新井選手、岸本選手ともに順当にタイムを刻んでいき、どちらも無事にパイクスピーク山頂のゴールに到達。新井選手は11分18秒667、岸本選手は10分58秒851のタイムでそれぞれ完走を果たした。新井選手は昨年と同じKZ1000MK2での参戦だが、ボアアップによるパワー増大、足まわりの軽量化などで挑み、セクターすべてでタイムを更新し、トータルでは15秒短縮する好走を見せた。岸本選手は新たに開発した軽量なマシンで10分台を記録し、電動バイクの可能性をあらためて知らしめた。

ゴールのパイクスピーク山頂で互いの完走を喜ぶ新井選手と岸本選手。(撮影=飯田裕子)

四輪のレース中に天候が急変、スタート地点は激しい雨と雹、ゴールの山頂も雹が降り積もり、あたり一面真っ白になるほどの積雪となった。そのためレースは一時中断され、このまま悪天候が続けばレース中止とも危ぶまれたが、天候はおよそ30分で回復し、再び晴れ間が広がった。

しかし山頂付近の積雪はいかんともしがたく、レースは中間地点となるグレンコーブにてゴールという措置が取られての続行となった。

悪天候のあおりを受けた渡辺選手は、ウェット路面に対してハードレインタイヤに換装してスタートしたが、大陸特有の乾いた空気があっという間に路面をドライにしたため苦戦。それでも予選よりも3秒タイムを縮めてゴール、クラス優勝を果たした。

天候急変、そして積雪によるレース中断。「パイクスピークには四季がある」といわれるとおり過酷なレースとなった今年のパイクスピーク・ヒルクライム。今年も予選中に不幸な事故によりライダーが命を落としてしまったことについては、あらためてレースの厳しさを知らされるとともにバイクと人生について考えさせられることとなった。亡くなったカール・ソレンセン選手に敬意を払うとともに冥福を祈りたい。

以下、各選手たちのコメントのまとめを紹介して、今年のパイクスピーク・ヒルクライムのレポートを締めよう。

新井泰緒選手(11分18秒667 クラス2位、総合37位)
「マシンの仕上がりもよかったし、2年目ということで不安なくコースを攻めることもできて、気持ちよく走れる場面も増えてました。目標だった10分台に届かなかったことの不甲斐なさもありますが、チームや応援してくださったみんなのおかげでレースを無事に完走できたことはうれしいです」

岸本ヨシヒロ選手(10分58秒851 クラス1位、総合29位)
「レース中盤にはモーターの熱が上限に達してしまい、それ以降は補正モードになってしまったため出力がおよそ50%しか出せない状態でしたし、ハイサイドで転びそうになるなど走りのミスもありました。それでも冷静にレースを走り切ることで結果を出せて、目標だった10分台とクラス優勝を果たせたことは素直にうれしいです。今回新たに開発した韋駄天ZEROの性能も実証できましたし、この勝利が新たなステップとなってくれると思います。応援してくださった皆さんにもあらためてお礼をいいたいです。ありがとうございました」

渡辺正人選手(クラス優勝、悪天候中断のため総合順位は未確定)
「決勝を走りきれなかったのは悔しいですが、これもレースですね。決勝ではレインタイヤを選択したのですが、路面が乾くのが早く、ウェットパッチが残っているといわれた部分もすっかりと乾いていましたし、雨でホコリが浮いていたため後半はかなり滑ってしまい、うまく走れなかったのも悔しいですね。この悔しさは来年にぶつけて、来年こそ目標を達成したいと思います!」
栗原亨選手
「レースを最後まで走れなかったことは悔しいですが、初めての海外レースのスピード、そして雰囲気は大変身になりました。この数日間で、日本国内での数年分のレース経験をできたように思えます。決勝では予選よりもいいタイムを出せたこともうれしかったです」

~Pikes Peak International Hill Climb 2015 関連レポート~

>>雲の上を目指すレースに挑む男たち ■第1回 岸本ヨシヒロさん

>>雲の上を目指すレースに挑む男たち ■第2回 新井泰緒さん

>>雲の上を目指すレースに挑む男たち ■第3回 渡辺正人さん

>>雲の上を目指すレースに挑む男たち ■第4回 決勝直前レポート

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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