
ファンティックがイタリアにおいて2026年モデルの発表を行った。目玉となるネイキッドスポーツ「ステルス500(STEALTH 500)」が登場するほか、2026年後半にはフルフェアリングをまとったスーパースポーツ「イモラ」シリーズを投入予定。「キャバレロ」シリーズに新色を追加するほか、エンデューロやモトクロスカテゴリーではモデルチェンジを行う予定であることが明かされた。なお、各モデルは日本でも順次販売が進められるとのことだ。
イタリアで50年を超える歴史を誇るモーターサイクルメーカー、ファンティック・モーター社(FANTIC MOTOR SPA)。2025年はEICMA会場での出店を行わず、同じイタリア・ミラノ市内のトレンドスポット、BASE MILANOを借り切って2026年モデルのモーターサイクルやeBike、アパレル&アクセサリーを展示。合わせて2030年までのロードマップを示し、ファンティック・コミュニティーに力強いメッセージを送った。
BASE MILANOで行われたメディア発表会で、2025年5月に新たにCEOに選任されたコンスタンティーノ=サンブイは、同じく新たにCFOに選任されたジャンニ=ナルデロットとともに登壇。今の姿のファンティックが再生してきてからの過去10年間を振り返りつつ、次のステップを踏むためのプランについて、力強く語った。ファンティックはその強みを生かしながら、社内体制を整備し、ファンティックが最も得意とする分野を強化しながら、これまでのディーラーやディストリビューターとの深いつながりを大切にし、お客様第一主義を貫きつつ、素晴らしい商品を投入していく計画である。

2026年の目玉は、「ステルス500(STEALTH 500)」だ。ヨーロッパでは唯一となる欧州生産によるA2クラス・モデルであり、わずか147kgという超軽量な車体構成を生かしたエッジの効いた走りが自慢のモデルだ。そのスタイルは弟分の「ステルス125」ですでに市場から高い評価を得ている。26年モデルではニューカラーを用意。ロードレース世界選手権・MOTO2クラスでのチームチャンピオンを獲得した実績を背景に、キャバレロシリーズで高い評価を得た新型・モトーリ=ミナレッリ製の460ccエンジンを搭載し、唯一無二のネイキッド・スポーツを待ち望むファンに訴えかけていく予定だ。
2026年後半には、さらにフルフェアリングをまとったスーパースポーツ、「イモラ」シリーズを投入。ストリートスポーツにステルスとイモラの2機種、合計4モデルを投入し、ファンティック・ブランドの新しいイメージの先頭を担わせていく。もちろん、ファンティックの主軸といっていい「キャバレロ」シリーズは2025年にフルモデルチェンジを行ったばかりで、現在もなお高く評価されている。こちらは新色を加えてさらに魅力を高めていく。エンデューロ・モデルやモトクロス・モデルはもちろん戦闘力を高めるモデルチェンジを敢行し、今年のレースでの成功を背景に一般のライダーがその恩恵を被れるよう、最先端の技術を提供していく。
それぞれのモデルは日本でも順次販売を進めていく。今後のファンティックにますます目が離せない展開となるだろう。

2018年に市場投入を開始して以来、2025年に初のフルモデルチェンジを行ったキャバレロ・シリーズ。新型460ccエンジンはファンティックのグループ企業でもあるモトーリ=ミナレッリ社が設計し製造する純イタリア産のエンジンだ。コンパクトで軽量なエンジンは、ファンティックのDNAでもあるレース活動からダイレクトにフィードバックされて生まれた鍛造ピストンやスリッパ―クラッチ、ライド・バイ・ワイヤを兼ね備え、溢れるトルクと、のびやかなパワーとの完璧なバランスを提供する。
26年モデルではソフトウェア・アップデートによりエンジンマップをさらに最適化。もちろん25年モデルにもレトロフィットが可能で、すでに新型キャバレロを手に入れたユーザーをも満足いただける仕上がりだ。


ヨーロッパではプレミアムな位置づけながら販売のコアの一つでもあるのがキャバレロ125。同じくモトーリ=ミナレッリが設計したVVA(可変バルブタイミング)機構を持つエンジンは、伸びやかでありながら粘り強いトルクを発揮する、信頼性の高いユニットであり、多くのヨーロッパの競合メーカーも採用するベンチマークだ。一方、最も新しくキャバレロ・ブラザースに加わった700シリーズは、ヤマハ製CP2エンジンを継続して搭載。74HPを発揮しながらも優れたバランスでオンオフいずれも十分以上に楽しめるツーリング・スクランブラーとして高い評価を得ている。
車体はいずれも25モデルを踏襲するが、500と700には新色、ホワイト・リバリーを追加。日本のカスタマーの間でも流行しつつあるカスタム・ペイントを取り入れ、カリフォルニア・サーフ・スタイルにインスパイアされたラインが新鮮だ。500Rallyにはセレブラトリィ=レッドを追加。歴史あるスクランブラー・スタイルをさらに際立たせる、ソリッドなレッドが鮮やかにマシンを引き立てている。
キャバレロ・シリーズの価格は以下の通り。2026年モデルの生産は26年3月以降に開始される予定だ。
・スクランブラー125/99万円
・スクランブラー125 デラックス/110万円
・ラリー125/110万円
・スクランブラー500/129万円
・スクランブラー500 デラックス/134万円
・ラリー500/140万円
・スクランブラー700/175万円
・スクランブラー700 デラックス/180万円
・スクランブラー700 トラベル/185万円



2026年、新たに登場するステルス500は、キャバレロ500のエンジンをステルス125の軽量な車体に搭載したスーパーネイキッドだ。ファンティックはストリートファイターと呼ばず、スポーツネイキッドと表現するのは、その卓越した性能とスタイル、何よりもファンティックらしく「バイクで遊ぶ」を実現しているからに他ならない。遊びの愉しみを狭めることなく、ライダーが思うがままに走らせるための良きツールであり、パートナーであってほしい。それがステルスなのだ。
クラス最軽量の147kgのボディに搭載される500ccエンジンが楽しくないわけがないことは容易に想像できるだろう。キャバレロのエンジンをステルス専用にチューンして搭載するが、ライディングモードも4セットに拡張。とはいえスポーツモードにあっても、コントロールしやすい敏捷な車体と優れたメカニカルグリップがステルス500の身上だ。125ccがデビューして2年目に入るタイミングでニューカラーのレーシング・ホワイトとアシッド・グリーンを用意。
生産開始は3月を予定し、量産に向けた最終調整を行っている。
・ステルス125/96万円
(88万円:ファーストエディション)
・ステルス500/価格未定・2026年3月発表予定


2026年モデルとしてはトレール・シリーズに大きな変更はない。熟成を重ねてきたファンティックのトレールモデルは、驚異の燃費性能(125ccモデルで50km/L 以上、250ccモデルで40km/L 級の実用燃費)と信頼性の高いエンジンにより、国産トレールモデルに勝るとも劣らないプレミアム・トレールとして日本でも愛されてきた。4サイクル125ccVVAエンジンを搭載するXEF125には兄弟車のXMF125も用意されさらにバリエーションが広がるほか、根強いファンがいるXE/XM50シリーズは今や貴重な50ccフルサイズモデルとして支持され続けている。
保安部品を備えたトレールモデルでありながら、250ccでも115kg、125ccは104kgという軽量さも高く評価されてきた特徴だ。フルサイズならではの走破力、比較的容易なローダウン、軽量、トルクフルで伸びやかなエンジン。他に比べるもののないファンティック・トレールモデルは2026年も貴重な定番トレールマシンとしてそのポジションを確固たるものとしていく。
・XE50/XM50/92万円
・XEF125/XMF125/110万円(88万円=E5)
・XEF250Trail/115万円(90万円=E5)


2026年モデルでは4サイクルシリーズ(XEF250/XEF310/XEF450)がフルモデルチェンジ。ファンティックがエンデューロへの挑戦を開始してからの5年間で、47もの国内/国際タイトルを獲得してきた実績を引っ提げて、さらに充実したモデルを提供していく。
中でも唯一無二といえるのがXEF310だ。アクセル=セムが2025年のジュニア・世界チャンピオンを獲得し、その名を轟かせたこのモデルは、パワーと扱いやすさが完璧にバランスしたマシンとして、多くのファンを獲得してきた。
2026年モデルでは、新しい環境規制Euro-5+に適合しながらも、エンジン/シャシーを一新。250ccクラスの操作感を得ながらも450ccクラスのパワーを誇るXEF310には、クラスを超えた魅力が凝縮されている。エンジンは新しいエキゾーストが用意され、Athena製のECUはハンドルバーでのセレクタブル・マップと10段階のトラクションコントロールを装備。もちろんスマートホンに提供されるアプリを使っての細やかなチューニングにも対応し、さらにスタート/キルスイッチを新しく、より転倒などの破損にも対応しやすい形状で用意した。
サスペンションは新たにカヤバ製SSSを採用。ボディワークはさらにフィットを高めながらヨーロピアンならではの美しくアグレッシブなフォルムを採用。モトクロッサーの兄弟たちを想起させるようなバランスを提供する。
ジェド=エッチェルズやジェーン=ダニエルズたちが過去4年間で12ものタイトルをもたらしてきた傑作、XEF250。26年モデルではアップデート以上のモデルチェンジを敢行。エルゴノミクスやサスペンションなどの装備はXEF310に倣う形でアップデートされ、さらに多くのファンライダーたちが扱いやすく、勝ちを狙えるマシンとして選ぶに違いない。
XEF450はスタビリティ向上を目指してフレームを一新。エンジンに与えられたAthena製ECUや新しいカヤバSSSサスペンションなどの造りは兄弟と変わらない。

2サイクル・エンデューロシリーズは2026年は熟成の年となる。モトーリ=ミナレッリ製の300ccエンジンを搭載するXE300は、ケビン=クリスティーノがISDEでユースクラス・タイトルを獲得するなど、その性能とともに高い耐久性も魅力の一つだ。2026年モデルではチャンバーのデザインを一新し、低速域からのリッチなトルクをさらに太くさせることに成功した。もちろん新規制であるEuro-5+に適合しながらのパワーを犠牲にすることなく、シリンダーヘッドを新造。クランクシャフトも新たにし、排気バルブも一新。ジェネレーターの発電容量も増加させ、より安定した走行を可能としている。もちろん扱いやすい2つのパワーマップと10段階のトラクションコントロールは健在。メインスイッチはさらに耐久性を求めてモデルチェンジしている。
若いライダーをターゲットに、すでにクラスのベンチマークとなっているのがXE125だ。冷却系をアップデートして旧来より35%もの冷却能力向上を果たし、より安定してエンデューロを走破できるモデルとした。9Lのタンクも設計を見直してさらにスリム化してライディング時の違和感をなくし、モトクロッサーのようなエルゴノミクスを与えつつ、125ccならではの軽快な操作感を大切にしている。
・XE300/170万円(153万円:登録不可モデル)
モータリスト合同会社(2025年11月11発行)
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(バイクブロス・マガジンズ編集部)