パイクスピーク・4,300mの頂上を目指す5組の日本人たち(4)

掲載日: 2014年06月23日(月) 更新日: 2014年06月23日(月)
この記事は 2014年6月23日に書かれたもので、内容が古い可能性があります。

取材・写真・文 = 山下 剛

Pikes Peak International Hill Climb 2014
4,300mの頂上を目指す5組の日本人たち

アメリカ・コロラド州で開催される登山レース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」は、2012年にコースが全面舗装化となり、様相が一変した。2013年は二輪クラスに2組の日本人が参戦して話題となったが、今年はさらに3組が増え、あわせて5組がエントリーしている。

彼らは、なぜわざわざ海外のレースに参戦するのか。どうしてパイクスピークに挑むのか。6月29日に行われる決勝レースまでの間、彼らのプロフィールを紹介するとともに、パイクスピークにかける彼らの意気込みを紹介しよう。

■第4回 渡辺正人さん、大関政広さん
「目標はコースレコードの更新。総合順位での上も目指したい」

マシン/Kumano Motorsport LCR GSX-R1000
参戦クラス/Pikes Peak Challenge – Sidecar

サイドカードライバー・渡辺正人さんは昨年に続いて2回目のパイクスピークにチャレンジする。目標にこそ届かなかったものの、クラス2位という成績で終えた昨年を超えること、これが大きなテーマだ。そのため今年はマシンを一新した。

「昨年は600ccエンジンのマシンでしたので、やはりパワー不足は否めませんでした。今年は1000ccエンジンのモノコックシャシーのマシンに替えて挑みます!」

マシンを手がけたのは元サイドカードライバーで世界GP経験者であり、現在はサイドカー製作の第一人者である熊野正人さんだ。昨年、渡辺さんが走らせたマシンも熊野さんが製作したものである。

「製作されたのは少し前なのですが、優勝した実績もあるマシンです。今回、それを一度バラしてシャシーから組み上げてもらっています」

5月初旬、埼玉にある本庄サーキットでシェイクダウン(初走行)をこなした渡辺さんにマシンの感触を聞いた。

「まだ本調子ではないけれど、感触はとてもいいですね。やっぱりエンジンパワーが違うからぜんぜん速い。久しぶりにGPマシンを走らせましたけど、安定しているから走らせていても楽しいですね。これならコースレコード出ちゃいますよ(笑)」

昨年の目標のひとつはコースレコードの更新だったが、惜しくも及ばなかった。だが、パワーアップしたこのマシンなら狙える、と自信をのぞかせる。

変わったのはマシンだけではない。昨年パッセンジャーを務めた安田武司さんに代わり、大関政広さんがを務める。大関さんは昨年サポートメンバーとしてチームに参加しており、パイクスピークのコースを知っている。もちろんサイドカーレースの経験も豊富で、自身のチームを持っているほどのベテランだ。それだけではなく、パッセンジャーもドライバーもこなせるマルチなレーサーでもあるのだ。

「パッセンジャーをやるのは4年ぶりですが、今日走らせてみてだいぶ勘が戻ってきましたし、GPマシンの乗り方もわかってきました。改善が必要な点はいくつかありますが、渡米前に解消できますね」

昨年はメカニック兼サポートメンバーとしてパイクスピークに参戦している大関さんは、インジェクションセッティングの方向性も肌身で知っている、実に心強いパッセンジャーだ。

「残念ながら今年はサイドカークラスのエントリーが少なく、クラスとしては賞典外になっていまいました。そのぶん、コースレコードを狙っていきたいと思ってます。去年は意気込みすぎて最終コーナーでリアを滑らせてしまってタイムロスしてしまいましたが、今年はコースのことも知っているし、気持ちのゆとりもあります」

昨年、初めてのパイクスピークチャレンジに際して、渡辺さんは「50歳になる前にやっておきたいこと」を理由のひとつに挙げたが、今年は「50歳になっても自分の限界に挑戦できることを多くの人に知ってもらいたい」と話す。

「同世代はもちろんですが、いろんな世代の人にチャレンジするおもしろさを知ってもらいたいですね。新しいことや未知のことに挑むのに年齢は関係ないと思うんです」

昨年までのコースレコードは11分41秒406で、600ccで挑んだ昨年は11分41秒837とわずかに0.4秒及ばなかった。しかし渡辺さんが言うように最終コーナーのミスがなければ記録更新は確実だっただろう。1000ccに対して排気量差を感じさせないタイムを叩き出した実績が、渡辺さんをさらに強くする。コースレコードは昨年の優勝者、ウェイド・ボイドが叩き出した11分26秒987に更新されているが、勝機は十分にある。ウェイドもやはり今年も参戦している。渡辺との熱い戦いに注目したい。

「もちろん完走して無事に帰国することが第一目標です。開催100周年となる2016年まではチャレンジし続けたいと思っています。今年も楽しみたいですね!」

高地に合わせた低酸素トレーニングも重ね、準備は万端。まずは24日からはじまる練習と予選を確実にこなし、29日の決勝レースに挑む。

ドライバー・渡辺正人さん(左)と、パッセンジャー・大関政広さん(右)。大関さんは昨年サポートメンバーとしてチームに参加しており、二人の呼吸はバッチリだ。

5月6日、埼玉・本庄サーキットで新しいマシンをシェイクダウン。この後も数度に渡って国内での試走を重ね、セッティングを詰めている。

「Kumano Motorsport LCR GSX-R1000」はニーラー(レーシングサイドカー)最高峰のGPマシン。その形状はレーサー独特のオーラを放つ。

カウルを外すと、モノコック構造のボディが剥き出しになる。バイクともクルマとも違う、特異な構造を持つ乗り物だ。

ハンドルやメーターなどベースとなったGSX-R1000のものを使っているが、異様なまでに狭められたハンドル幅を見ると、ドライバーがいかに体力を求められるかがわかる。

フロントタイヤを支持するシャシーはトラス構造を持っており、モノコックのボディに接続される。フロントブレーキはAPレーシング製6ポッドが装着されている。

エンジンはスズキ・GSX-R1000(K6)がベースで、ニーラー用にチューンナップされている。

~Pikes Peak International Hill Climb 2014 関連レポート~

■第1回 高野昌浩さん「無事に帰ることを目標に、アメリカのレースを楽しみたい」

■第2回 新井泰緒さん「パイクスピークに行くと決まってから夢が広がった」

■第3回 岸本ヨシヒロさん「TT零は自分が作ったバイクだからこそ、自分で走らせたい」

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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