表参道パーキング・チケット値下げの真相

掲載日: 2011年02月01日(火) 更新日: 2013年12月11日(水)
カテゴリー: トピックス  タグ: , ,  
この記事は2011年2月1日当時の情報に基づいて制作されています。

山下剛=取材・文

2011年2月1日より、東京・表参道にあるバイク用パーキング・チケット(東京都港区北青山三丁目)は、これまで1時間300円の手数料が実質200円の値下げとなる1時間100円へと改められた。

これについて、同チケットを管理する警視庁交通部駐車対策課の担当官は「周辺にある民間駐車場の料金との比較や、東京都が行ったバイク駐車場に関する利用者アンケートの結果を参照して決定した」と話す。

表参道周辺のバイク用駐車場は1時間100円から利用できるところも多く、最初の30分は無料という駐車場も増えている。

また、アンケート結果でも「1時間100円が妥当」とする回答がおよそ半分あり、今回の手数料改訂は現状に沿いつつ、利用者の意見を反映させるために警視庁が実施したものといえる。

パーキング・メーターやパーキング・チケットの手数料は、警視庁関係手数料条例第二条で規定されている。

そこには「時間制限駐車区間での駐車時間が40分とされているものについては200円、60分とされているものについては300円」とされているが、四輪車と二輪車は区別されていない。

今回は新たに二輪車の手数料を規定し、その内容を「60分100円」とすることで実現したものだ。そのため四輪車が利用する際はこれまで通りに1時間300円のままだ。

前出の担当官によれば、今回の条例改正は2010年4月頃から警視庁の主導により準備を進めてきたという。そもそも警察や公安委員会は「原則的に自動車の駐車は路外(道路ではない土地)にするもの」としていることから考えれば、路上に駐車可能な場所を作り、さらに手数料を値下げすることは異例ともいえる。

「これは二輪車の違法駐車対策の一環で、値下げではなく適正化というべきものです。アンケート結果では“無料を望む”という意見もあったが、パーキング・チケットの利用にあたっては手数料が発生すること、また公平性という面から考えれば四輪車は有料なのに二輪車だけ無料というわけにはいかないし、周辺の民業(編集部註=周囲にある民間のバイク用駐車場)を圧迫してもいけない」(同担当官)

表参道バイク用パーキング・チケットの運営が開始されたのは2009年11月30日で、この14ヶ月間における1日の平均利用台数は約12台となっている(※表1参照)。

駐車可能台数が34台だから、利用率は約30%だ。これについて同担当官は「パーキング・チケットは周辺交通の円滑な流れを実現するのが目的であって、利益を追求するものではない」としている。

いずれにしても、利用者にとってみれば今回の手数料改正がその使いやすさを大きく向上させることは確かなことだといえるし、これをモデルケースとしたパーキング・チケットが全国的に普及すれば、都市部におけるバイクの利便性はさらに良くなる。

現在のところ、東京・表参道以外では沖縄・那覇(2010年3月8日より運用開始。1時間200円)、千葉市中央区(2011年1月1日より運用開始。1時間100円)の2ヶ所にバイク用パーキング・チケットが設置されている。

さらに警視庁の同担当官によれば「四輪車を圧迫しないように検討と調整を重ねながら、繁華街での設置も検討している」とのことで、平成23年度中の運用開始を目標に、新宿や池袋にバイク用パーキング・チケットの設置を予定しているという。

パーキング・チケットはその設置目的が円滑な交通の流れの維持と短時間駐車に対応するためというところを考えると、さらなる利便性の向上となる1時間以上の駐車や20時以降の駐車が可能になることは難しい。しかし当然ながら日中における1時間未満の駐車需要があることは確実だ。

なによりも交通違反を取り締まることではなく、未然に違反を防ぐための措置として警視庁が新規にバイク用パーキング・チケットを設置、さらに条例改正してまで手数料是正に踏み切ったことは大きな意味を持っている。このたびの手数料改正が、バイクユーザーの利便性を良好にしていく起爆剤になることを期待したい。

●表1 表参道バイク用パーキング・チケット利用者数推移(2009年12月~2010年12月、警視庁調べ)

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

このページの一番上へ

サイトのトップページへ

このページの一番下へ