「バイクの日スマイル・オン2016」二輪4社合同記者会見

掲載日: 2016年08月21日(日) 更新日: 2016年08月21日(日)
この記事は2016年8月21日当時の情報に基づいて制作されています。
取材・写真・文=バイクブロス・マガジンズ編集部

「8月19日(バイクの日)」を記念したバイクイベント「『バイクの日』スマイル・オン2016」(主催/一般社団法人日本自動車工業会、一般社団法人日本二輪車普及安全協会)が、2016年8月21日に東京・秋葉原「ベルサール秋葉原」で開催された。主催者は、イベント開会前に、報道関係者に向けて二輪4社の合同記者会見を実施。二輪車を取り巻く現状と、2020年国内二輪車販売台数100万台の目標を掲げる「二輪車産業政策ロードマップ」に基づいた取り組みが報告された。

4社の国内での二輪車販売台数は堅調な海外市場とは対照的に、厳しい状況に立たされている。2015年の販売台数は40万6,591台と「100万台」には遠く及ばない状況だ。消費税増税といった障害要因だけでなく、取り組み事案とされている二輪利用環境の整備・改善といった事柄が、いまだ成果としてライダーに見えてこないことも影響していると考えられる。

スマイルオン2016

2016年の二輪車販売台数は39万台レベルと予想
「2020年100万台」目標は堅持

「二輪市場は新興国、特にアジアでの回復が進み、また欧米は安定している。一方で、日本市場は厳しい状況だが、原付2種市場は底堅く、これまでの政策成果がでている」という日本自動車工業会(以下、自工会)の二輪車特別委員会 柳委員長による挨拶の後、青山副委員長による二輪車市場動向が報告された。

スマイルオン2016

日本自動車工業会 二輪車特別委員会 柳 弘之委員長

厳しい販売状況の中で原付2種が奮闘
青山副委員長は「2015年の国内販売実績は40万6,591台で、対前年比で1割減。2010年以降、原付は減少し続けているが、原付2種以上のカテゴリーは安定販売を維持。2016年も原付2種は前年同期比で114.5%で、これにより自動二輪全体も100.7%と2015年の水準を維持している」と、二輪車の国内販売は厳しい販売状況ながら、原付2種が奮闘していることを報告。なお、2016年は「4月の軽自動車税増税や熊本地震による生産被害もあり、出荷実績に影響がでている」と、その背景を説明した。

一方、2015年の二輪車全体の販売台数の23.3%を占める原付2種の成長については「各社とも魅力的な商品を市場投入した成果」とし、「普通自動二輪免許(小型限定)の合格者数は年々増加しており、便利なコミューターとしての認識が広がっている。今後もこうしたトレンドが続くものと予想している」と語った。

ロードマップ政策課題への取り組み報告
次いで、「二輪車産業政策ロードマップ」に記されている政策課題の進捗を報告。政策課題のひとつである【快適・楽しさの訴求】活動として、若者や新規層への魅力訴求活動の実施をあげ、各種イベントやキャンペーンの実施と共に「各メーカーとも、若者・新規層にとって魅力のあるモデルを手ごろな価格で提供する努力もしている」と語った。

さらに、同政策課題である【安全・安心な二輪車利用観光の醸成】、【社会基盤の整備】については、それぞれ「高校生だけでなく高齢者対象の二輪車講習や原付通学許可校への研修」、「高速道路の二輪車料金の適正化要望と二輪車通行禁止の解除要望、二輪車駐車場事例集を自治体に配布」などの実施報告を行った。

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日本自動車工業会 二輪車特別委員会 青山真二副委員長

浅野副委員長からは、【社会との共生実現】という政策課題の取り組みとして「二輪車の機動力や経済性をいかした社会貢献をまとめたパンフレットによるPR」や「熊本地震における二輪車の活動状況調査とその報告」を行ったほか、海外活動事例として【国際基準調和の推進】という政策課題への取り組みである「日本が技術的に先行している分野で日本主導による国際基準・規格をつくっていく活動」の成果報告と、【交通安全への取組み】に対して「世界二輪車工業会・アジア二輪車工業会連盟を通じて海外での二輪車の交通安全啓発活動に参加」していることが報告された。

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日本自動車工業会 二輪車特別委員会 浅野 剛副委員長

質疑応答
発表後は質疑応答が行われた。以下、その内容となる。

質問/国内市場の見通しは、どれくらいの量を見込んでいるか?

青山副委員長
「全体的に厳しい状況と認識している。需要拡大に向けて各社が営業努力に加えて、自工会としても二輪車の利用と利用環境の改善、マナーアップ、交通安全啓発というところに注力しながら販売拡大をしていきたい。全体としては減少トレンドが続くとみており、2016年は39万台レベルと見込んでいる」

質問/原付2種が好調とのことだが、その理由と現在23%のシェアはどこまで伸びるのか?
青山副委員長
「2015年で9万7,000台ほど、前年比で5%増えた状況。2016年度についても堅調な需要が予測される。10万台を少し切るくらいではないか。全体構成比については25%程度ではないか」

質問/2020年国内販売100万台という目標について、100万台を頂上とすると今は何合目か?
柳委員長
「現在40万台なのでそのまま計算してもらってもいいが、ここ2年ほど税制変更などの環境変化が影響していることもある。実態としては6合目くらいという感触がある。2020年100万台という目標は、各関係省庁を含めて決めた目標で、意味のある数字だと思っている。したがって、引き続き堅持したまま私どもは活動する」

質問/二輪車の利用環境で「高速道路料金」が大きく発表されたが、この問題が最も解決に近いのか?
浅野副委員長
「高速道路料金の問題を優先的にやっているわけではなく、駐車場問題など、いろいろな要因を同レベルでやっている。高速道路問題の進捗だが、明確な回答が難しいが、我々自工会だけでなく、オートバイ組合やオートバイ議連の先生方も含めて活動をすすめている」

質問/普通自動二輪免許(小型限定)の取得容易化の進捗は?
渡辺副委員長
「高速道路料金や駐車場問題などと合わせて、4項目ほど自工会から要望書を提出していて、そのひとつがこの免許の問題だ。普通自動車運転免許を持っている人は、2日間で免許が取れるようにという要望を提出している。今年4月に自民党政調会長の下に『二輪車問題対策プロジェクトチーム』が設置され、5月には官民業含めたプロジェクト会議が2回開かれ、そこで免許の改正について説明等が行われている」

スマイルオン2016

日本自動車工業会 二輪車特別委員会 渡辺克明副委員長

(バイクブロス・マガジンズ編集部)

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